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「SNSの写真にあこがれて」2階に大きなベランダを造った30代夫婦、初めての夏に直面した“想定外”【一級建築士は見た】

  • 2026.7.18
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「SNSで見た、広いベランダで子どもとプール遊びをする写真にあこがれて。うちも2階に大きなベランダをつくったんです。でも夏になると、暑くて子どもを出せなくて…」

そう話すのは、注文住宅(木造2階建て・4LDK・延床およそ35坪)を約3,800万円で建てたIさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。

SNSで見た開放的なベランダにひかれ、2階の南側に屋根のない大きなベランダをつくりました。ところが夏を迎えると、日ざしが強くて床は熱く、長くは過ごせない場所になっていました。

なぜ、南向きのベランダは夏に「使えない」ほど暑くなるのか

南向きのベランダが夏に暑くなる理由は、二つあります。

一つは、日ざしをさえぎるものがないこと。屋根やひさしのないベランダは、夏の強い日ざしをまともに受けます。とくに南向きは、日中ずっと日が当たるうえ、夏は太陽が高いため、日ざしが水平な床に強く降りそそぎます。コンクリートやタイル、人工木の床は、素足で歩けないほど熱くなることもあります。

もう一つは、照り返しです。熱くなった床や手すりからは、輻射熱(ふくしゃねつ)が出ています。日ざしを浴びて熱くなった地面・建物から出る熱のことで、気温だけでは表せない暑さをつくります。日陰のないベランダはこの照り返しがこもりやすく、体感の暑さがいっそう増します。

SNSの写真には写らない、「子どもを出せない」現実

SNSで見るベランダの写真は、日ざしのやわらかい時間帯の、心地よい一瞬を切り取ったもの。真夏の昼に照りつける床で過ごす様子は、あまり写りません。

そして、とくに注意したいのが子どもへの影響です。環境省も、子どもは熱中症になりやすいとして、地面に近い「子どもの高さ」(50センチメートル)の暑さを観測しています。床に近いほど、照り返しの影響を強く受けるためです。

大人が「少し暑い」と感じる程度でも、背の低い子どもにはもっと過酷です。Iさん夫婦も、楽しみにしていた水遊びを「床が熱くて長くは出していられない」とあきらめる日が続いたそうです。

Iさん夫婦はどう対応したのか

そこでIさん夫婦は、ベランダを夏も使える場所にするため、いくつか手を打ちました。

まずは、日陰をつくることです。すだれ(数千円から試せます)やシェード、オーニングで日ざしをさえぎると、暑さがやわらぎます。環境省の資料でも、日ざしを屋根などでさえぎると暑さ指数(熱中症の危険度を示す指標)が下がることが示されています。強い日ざしのときほど差は大きく、日なたと日陰で最大4度ほどの違いが出た実測例もあります。

あわせて、床の照り返しを抑える工夫も。熱がこもりにくい遮熱タイプのウッドパネルや人工芝を敷き、使う前に打ち水をして床の温度を下げました。使うのは日ざしのやわらぐ朝を中心にし、水遊びも暑さ指数の高い時間を避けたそうです。朝のうちなら、あこがれだったプール遊びも、子どもと楽しめるようになりました。

「最初から日よけまで考えておけば、もっと早く楽しめたのに」とIさんは振り返ります。

大きなベランダをつくるときは「夏の日ざし」も考えて

広いベランダは、子どもの遊び場にも休日のくつろぎの場にもなる空間です。一方で、屋根のない南向きのベランダは夏の日ざしをまともに受け、思った以上に過ごしにくくなることもあります。つくるときは、見た目だけでなく、次の点もあわせて考えておくと安心です。

・夏の強い日ざしを、屋根・ひさし・オーニングなどでさえぎれるか
・床材を、熱がこもりにくいタイプ(遮熱デッキ・遮熱タイプの人工芝など)にできるか
・子どもが使うなら、照り返しや暑さ指数の高い時間帯への備えがあるか
・真夏の昼だけでなく、朝や夕方など使いやすい時間も想定しているか

大切なのは、SNSで見た「映えるベランダ」が夏には「日ざしの照りつける場所」にもなりうると知っておくこと。日よけや床材を工夫すれば、あこがれの広いベランダは夏もちゃんと楽しめます。

参考:
熱中症環境保健マニュアル 2022(環境省)
オーニング(LIXIL)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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