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「見晴らしばかり見ていて…」中古マンション10階・4,500万円、30代夫婦が気づかなかったこと

  • 2026.7.16
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「眺めのよさにあこがれて、中古マンションの最上階を買ったんです。でも夏は部屋が暑くて、冷房をつけてもなかなか効かない。夜になっても天井のあたりがむわっと暑くて。最上階がこんなに暑いとは、と」

そう話すのは、都市部に築30年の中古マンション最上階(10階建ての10階・専有70平方メートル・約4,500万円)を買い、子育てをしながら暮らすGさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。眺望のよさと、上の階の足音がない静けさが決め手でした。

「見晴らしばかり見ていて、夏の暑さまでは考えていませんでした」とGさんは振り返ります。

なぜマンションの最上階は、夏に暑くなりやすいのか

マンションの最上階が夏に暑くなるのには、はっきりした理由があります。屋上から伝わる熱と、コンクリートの性質が重なるからです。

最上階のすぐ上にある屋上は、直射日光を最も強く受けます。夏の屋上は表面温度が60℃を超えることもあり、その熱が屋上のコンクリート(スラブ)にたまり、天井を通じて部屋に伝わってきます。

そして、マンションの主な材料であるコンクリートは、熱をためこみやすい性質があります。日中にためた熱を、夜になっても長く放出し続けるため、外が涼しくなっても、室内や天井のあたりが暑いまま、ということが起こります。冷房をつけても効きにくく感じるのは、天井や壁から伝わる熱(放射熱)が、体感の暑さを押し上げているからでもあります。冷房が効きにくいぶん、運転時間が延びて電気代もかさみやすくなります。

古いマンションで、暑さが強まりやすい理由

こうした暑さは、新しいマンションでは断熱の工夫でやわらげられているケースも増えています。ただ、古いマンションには、暑さが強まりやすい事情が二つあります。

一つは、断熱の基準です。マンションの断熱性能は時代とともに高まってきましたが、古い建物ほど基準がゆるく、屋上の断熱が薄いことがあります。とくに、断熱が大きく見直された1999年ごろより前のマンションは、最上階が暑くなりやすい傾向があります。

もう一つは、屋上に手を入れにくいことです。マンションの屋上や外壁は、共用部分にあたります。建物の外側から断熱を高める工事は、管理組合の合意や大きな費用が必要で、住戸の持ち主が個人で行うことはできません。そのため、対策は自分の部屋(専有部分)の中でできることが中心になります。

Gさん夫婦はどう対応したのか

屋上に手を入れられないGさん夫婦が取り組んだのは、部屋の中からできる断熱でした。専有部分である室内側の天井であれば工事が可能なため、管理規約に沿って管理組合へ届け出たうえで、いちばん熱が伝わってくる箇所に断熱材を施工したのです。天井からの放射熱がやわらぎ、冷房の効きが変わったそうです。

「天井を断熱しただけで、夜の蒸し暑さがずいぶん楽になりました」とGさんは話します。

天井の内断熱は、部屋の広さや工法によって幅がありますが、おおよそ数十万円が目安です。室内側に断熱材を足すぶん、天井が少し低くなることがあります。専有部分の断熱リフォームには、国や自治体の補助制度や減税が使える場合もあり、内容は年度ごとに変わるため、工事の前に確認しておくと安心です。

すぐにできる工夫として、ベランダによしずやサンシェードを掛けて日ざしを遮ったり、室内の熱気を換気で逃がしてから冷房を入れ、サーキュレーターで空気を回したりすることも、暑さをやわらげる助けになります。屋上そのものの断熱や遮熱は、いずれ大規模修繕のタイミングで、管理組合に相談するという方法もあります。

最上階の中古マンションを選ぶときは「断熱」も確かめて

最上階は、眺望のよさや、上の階の足音がない静けさなど、たしかな魅力があります。一方で、屋上に近いぶん、夏の暑さや冬の寒さの影響を受けやすい場所でもあります。中古で選ぶときは、見晴らしや間取りだけでなく、以下の点もあわせて確かめておくと安心です。

・いつごろ建てられたマンションか(とくに1999年ごろより前は、断熱が弱いことがある)
・屋上や天井の断熱がどうなっているか(住宅診断で確かめられることもある)
・窓が、熱を通しにくいタイプ(複層ガラスなど)か
・夏の暑さが気になるなら、天井の断熱や、内窓の設置など窓の対策ができるかも確認しておく

大切なのは、「眺めのよい最上階」が「夏も快適な最上階」とはかぎらないと知っておくこと。そのうえで、断熱まで見て、必要なら手を打っておけば、眺めのよさと、夏の快適さは両立できます。

参考: 省エネ性能に優れた断熱性の高い住宅の設計ガイド(国土交通省)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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