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「なんで2階だけ…」約600万円かけて内装を一新した中古戸建て、夏に2階で起きた“想定外”【一級建築士は見た】

  • 2026.7.17
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「中古の戸建てを買って、中をすっかりリフォームしたんです。見た目はきれいになったのに、夏は2階が暑くて。冷房をつけても効きにくいし、夜も寝苦しくて。なんで2階だけ…」

そう話すのは、郊外に築28年の中古戸建て(木造2階建て・4LDK・延床30坪)を約2,700万円で買い、壁紙も床も水回りも一新する内装リフォームに約600万円をかけて住み始めたFさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。寝室と子ども部屋は2階にしました。

「内装にはこだわったのに、暑さのことは考えていませんでした」とFさんは振り返ります。

なぜ2階は、夏に暑くなりやすいのか

2階が夏に暑くなるのには、はっきりした理由があります。屋根からの熱が、天井を通じて伝わってくるからです。

夏の強い日差しを浴びた屋根は、表面が高温になります。その下にある屋根裏は、熱がこもって40〜60℃ほどに達することもあります。この熱が天井を通じて、すぐ下の2階の部屋に伝わってくるのです。天井は夜になっても冷めにくいため、冷房を切ると暑さがぶり返す、ということも起こります。

さらに、暖かい空気は上にたまる性質があります。2階の寝室や子ども部屋はドアを閉めて使うことが多く、熱がこもりやすいのも、暑さに拍車をかけます。これは新しい家でも起こりますが、築古の家には、この暑さがさらに逃げにくくなる事情が重なります。

リフォームできれいにしても、「暑さ」は別の話

ここで見落とされがちなのが、「内装をきれいにすること」と「暑さをやわらげること」は、別の話だということです。

壁紙や床、水回りを新しくするリフォームは、見た目や使い勝手を大きく変えますが、壁や天井の中にある断熱材には手を加えないことが多いのです。つまり、表面は新しくても、断熱は古いまま、ということが起こります。

そして、家の断熱性能は、建てられた時代によって大きく違います。日本の住宅の断熱基準は、1980年に初めて定められたあと、1992年、1999年と段階的に強化されてきました。古い家ほど基準がゆるく、天井の断熱が薄かったり、隙間があったり、そもそも入っていなかったりすることもあります。

実際、国の調査では、今の断熱基準を満たす住宅は全体の約1割にとどまるとされています。Fさんの家も、内装は新しくなったものの、屋根まわりの断熱は昔のままでした。

Fさん夫婦はどう対応したのか

Fさん夫婦がまず取り組んだのは、天井裏に断熱材を足すことでした。夏の暑さ対策では、屋根や天井の断熱を強めるのが効きやすいからです。屋根裏に入り、薄くなっていた既存の断熱材に厚みを足すように敷き詰める工事です。引っ越す必要はなく、住んだまま数日のうちに終わりました。

「天井の断熱を足しただけで、夜の寝苦しさがずいぶん変わりました。冷房の効きもよくなった気がします」とFさんは話します。

費用は、断熱材の種類や家の広さによって幅がありますが、屋根裏に入って天井をはがさずに施工できる場合は、十数万円から数十万円ほどが目安です。断熱のリフォームには、国や自治体の補助制度や減税が使える場合もあり、内容は年度ごとに変わるため、工事の前に確認しておくと安心です。

すぐにできる工夫としては、朝晩の涼しい時間に窓を開けて風を通したり、窓の外側にすだれやシェードを付けて日差しを遮ったりすることも、暑さをやわらげる助けになります。

築古の家を買うときは「断熱」も確かめて

中古の戸建ては、価格を抑えながら好みの内装に作り替えられるのが魅力です。一方で、見た目の新しさと、夏の暑さ・冬の寒さを左右する断熱性能は、別物です。断熱材の状態は、屋根裏の点検口からのぞいたり、専門家による住宅診断(ホームインスペクション)を受けたりして、ある程度確かめられます。買うときやリフォームのときには、内装だけでなく、以下の点もあわせて確かめておくと安心です。

・いつごろ建てられた家か(古いほど、当時の断熱基準はゆるい)
・天井裏や壁の断熱材の有無・状態を確認できるか
・リフォームの内容に、断熱の工事が含まれているか
・夏の暑さが気になるなら、天井や屋根、窓の断熱から考える

大切なのは、「きれいになった家」と「夏も快適な家」は、同じではないと知っておくこと。そのうえで、内装と一緒に断熱まで見ておけば、見た目の満足と住み心地のよさは、両立できます。

参考: 省エネ性能に優れた断熱性の高い住宅の設計ガイド(国土交通省)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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