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「SNSで見た黒い外壁にあこがれて」約5,400万円の注文住宅、初めての夏に30代Dさんが直面した誤算

  • 2026.7.15
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「SNSで見た黒い外壁の家にあこがれて、同じようにしたんです。でも夏になったら、壁が手で触れないくらい熱くて。西側の部屋は夕方まで暑いし、冷房の効きもいまひとつな気がするんです」

そう話すのは、都内近郊に注文住宅(築2年・延床32坪・約5,400万円)を建てたDさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。マットな黒い外壁のキューブ型の家は、写真映えする見た目が決め手でした。

「見た目で決めてしまって、夏の暑さまでは頭が回りませんでした」とDさんは振り返ります。

なぜ黒い外壁は、夏に熱を吸い込むのか

黒い外壁が夏に熱くなるのには、はっきりした理由があります。色によって、太陽の熱をどれだけ反射するか(日射反射率)が変わるからです。

白に近い色ほど日ざしをよく反射し、黒に近い色ほど反射せずに吸収します。吸収された日ざしは熱に変わるため、黒い外壁は表面温度がぐっと上がります。夏の日中、濃い色の外壁は表面が60〜70℃に達することもあり、白系より10〜20℃高くなるという測定例もあります。手で触れないほど熱くなるのは、このためです。

環境省の実証実験でも、反射率の高い仕上げは標準的な仕上げにくらべて、表面温度の上昇を最大で約15℃おさえられることが確かめられています。それだけ、色による差は大きいのです。

室内が暑くなるかは「断熱しだい」

ただ、外壁が熱いことが、そのまま「室内の暑さ」につながるわけではありません。壁の中の断熱材や空気の層が、外の熱が室内へ伝わるのをやわらげるからです。実際、表面温度の差が10〜20℃あっても、室内の温度差は1〜3℃ほどにおさまることが多いとされます。

とはいえ、影響がゼロというわけでもありません。断熱が手薄だったり、西や南に面した壁だったりすると、壁から伝わる熱で室内が暑く感じられたり、冷房が効きにくくなったりします。冷房は設定温度を1℃下げるだけで消費電力が約1割増えるとされ、壁からの熱が増えれば、そのぶん電気代にもひびきます。築2年のDさんの家は断熱も今の水準ですが、西日が長く当たる西側の部屋は、この影響が出やすい場所でした。

もう一つ、黒い外壁には見落としがちな弱点があります。表面が高温になりやすいぶん、塗膜の劣化や色あせが進みやすいことです。黒は汚れが目立たないと思われがちですが、白っぽい粉ふきや色あせは、かえって目立ちます。

Dさん夫婦はどう対応したのか

外壁の色は簡単には変えられないため、Dさん夫婦は「壁や窓に当たる日ざしを減らす」ことを中心に工夫しました。

まず西側の窓に外付けのすだれやシェードを取り付け、窓から入る日ざしそのものをやわらげました。夏に室内を暑くする熱は、壁よりも窓から入る分が大きいため、窓からの熱をおさえる効果は小さくありません。室内側にも遮熱性のあるカーテンを足し、西日の時間帯の暑さをやわらげました。

そして、いずれ外壁を塗り替える時期がきたら、見た目の色は活かしつつ、近赤外線をよく反射する高日射反射率の塗料を選ぶつもりだといいます。

「黒っぽい色のままでも、熱を反射しやすい塗料があると知って、次はそれにしようと思っています」とDさんは話します。表面の温度が上がりにくくなれば、色あせや塗膜の劣化の進行をおさえることにもつながります。

黒い外壁を選ぶときは「夏の暑さ」も考えて

黒やダークトーンの外壁は、引き締まった上品な見た目で、家全体をスタイリッシュに見せてくれます。一方で、色は見た目だけでなく、夏の暑さや外壁の傷みにも関わってきます。選ぶときは、映える見た目だけでなく、以下の点もあわせて考えておくと安心です。

・外壁の断熱がしっかりしているか(色の影響は、断熱しだいで小さくできる)
・西や南など、日ざしの強い面に濃い色を大きく使っていないか
・近赤外線を反射する、高日射反射率タイプの色を選べるか
・窓の日よけ(外付けのシェードや庇)など、日ざし対策とセットで考えているか

大切なのは、「映える色」は「熱を吸う色」でもあると知っておくこと。そのうえで、断熱や日よけ、塗料の種類まで考えておけば、黒い外壁のかっこよさと、夏の快適さは両立できます。

参考: 環境技術実証事業 ヒートアイランド対策技術分野(建築物外皮による空調負荷低減等技術)(環境省)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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