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家族旅行の高速道路で突然「パン!」…整備士が警告する、夏のドライブを台無しにする“危険な思い込み”

  • 2026.7.26
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

夏休みや帰省シーズンになると、高速道路を利用する機会が増えます。しかし、その前に見落とされがちなのがタイヤの空気圧です。「溝はまだあるから大丈夫」「見た目は問題ない」と判断して出発した結果、高速道路で突然タイヤが破裂してしまうケースは少なくありません。

今回は、私が自動車整備業界で勤務していた頃に来店されたお客様の実例をもとに、空気圧不足が招く危険性についてお伝えします。

「溝は残っているから大丈夫」その思い込みが危険だった

これは、私が自動車整備業界で勤務していた頃に点検を担当したお客様、Bさん(40代男性)のお話です。

Bさんは家族旅行を控え、荷物をたくさん積んで高速道路を利用する予定でした。

「タイヤはまだ新しいですし、溝もあるので問題ないですよね」

そう話しながら来店されたのですが、点検記録を確認すると、最後に空気圧を調整したのは数か月前でした。念のため空気圧を測定してみると、4本ともメーカー指定値よりかなり低い状態になっていました。

「えっ、パンクしていないのに減るんですか?」

Bさんは驚いた様子でした。

実はタイヤの空気は、パンクしていなくても少しずつ自然に抜けていきます。そのため、数か月点検していないだけでも規定値を下回ることは珍しくありません。空気圧不足は見た目では判断しにくく、「タイヤが潰れて見えないから大丈夫」と思ってしまう方も多いのですが、それが思わぬ事故につながることがあります。

夏の高速道路はタイヤにとって過酷な環境

空気圧が不足すると、タイヤは走行中に必要以上にたわみます。すると接地面が増え、ゴムが何度も変形を繰り返すことで内部に熱が発生します。さらに夏場は路面温度が60℃近くまで上昇することもあるうえ、高速道路では100km/h前後で長時間走り続けることになります。

荷物を多く積んでいたり、家族全員が乗車していたりすると、タイヤへの負担はさらに大きくなります。内部にはカーカスやスチールベルトと呼ばれる重要な構造がありますが、高温状態が続くことで劣化が進み、限界を超えると突然バーストしてしまうことがあります。

「パン!」

という大きな破裂音とともにハンドルを強く取られ、車線を維持することすら難しくなるケースもあります。実際、私が勤務していた整備工場でも、高速道路でバーストし、そのままレッカー搬送されてきた車を何台も見てきました。タイヤだけの交換で済めばまだ幸運です。破裂したタイヤがフェンダーやバンパーを巻き込み、ホイールまで変形したり、ブレーキホースや足回りを損傷したりすることもあります。さらにガードレールへ接触すれば、修理費は数十万円規模になるケースも決して珍しくありません。

数分の点検が、大きな事故を防ぐ

タイヤの安全性は、溝の深さだけでは判断できません。空気圧が不足していても、外見上はほとんど分からないことが多く、走行中に内部だけがダメージを受けている場合もあります。そのため、長距離ドライブや高速道路を利用する前には、4本すべての空気圧を確認する習慣を付けましょう。荷物をたくさん積む場合や、乗車人数が多い場合は、車種によって高速走行時の推奨空気圧が指定されていることがあります。取扱説明書や運転席ドア付近のラベルを確認し、条件に合った空気圧に調整することが大切です。

また、縁石へ強く乗り上げたことがあるタイヤや、製造から年数が経過したタイヤは、溝が残っていても内部が傷んでいる可能性があります。ひび割れや偏摩耗、片減りが見られる場合は早めに整備工場へ相談しましょう。空気圧点検はガソリンスタンドや整備工場であれば数分程度で終わる作業です。費用もほとんどかからない場合が多く、大きな負担にはなりません。

旅行先で突然レッカーを呼ぶことになれば、せっかくの予定は大きく狂ってしまいます。それだけでなく、高速道路でのバーストは、自分の車だけでなく周囲を巻き込む重大事故に発展する危険もあります。「空気圧くらい大丈夫」という油断が、大きな後悔を招くことになりかねません。

楽しいドライブにするためにも、出発前の数分間を惜しまないことが、最も効果的な安全対策と言えるでしょう。


ライター:松尾佑人(二級ガソリン自動車整備士・二級ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り、約8年間整備に従事したのち、現役メカニックに向けた故障診断アドバイザーや各種講習の講師として活動。年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路や配線図の読み解きを基盤とした電子制御システムの解説を得意としている。


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