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「カラカラ音がするけど走れてるから」40代男性が整備工場に駆け込んで判明した"車の下の異変"

  • 2026.7.15
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

アイドリング中や発進時に、車の下から「カラカラ」「シャラシャラ」と金属が転がるような音が聞こえたことはありませんか。

「古い車だから仕方ない」「マフラーが熱で鳴っているだけだろう」と考え、そのまま乗り続ける人は少なくありません。しかし、その異音の原因が排気ガスを浄化する「触媒(キャタライザー)」の破損だった場合、放置すると加速不良や走行不能にまで発展することがあります。

今回は、私が自動車整備工場で勤務していた頃に修理で来店されたお客様、Yさん(40代・男性)の事例と、実際に放置して深刻な故障に至った別のお客様のケースをもとに解説します。

「マフラーが鳴っているだけ」が実は触媒の故障だった

「最近、発進すると車の下からカラカラ音がするんです。でも走れているので、熱でマフラーが鳴っているだけだと思っていました」

そう相談に来られたのは、私が整備工場で勤務していた頃のお客様、Yさんでした。

音が出るのは主にアイドリング中や発進時で、走り出してしまえば気にならなくなるとのことでした。実際、マフラーは温度変化によって膨張・収縮するため、「チン」「パキッ」といった音が出ることがあります。そのため、多くの人が異音を「よくある現象」と思い込んでしまいます。

しかし点検を進めると、原因はマフラーそのものではありませんでした。排気管の途中にある触媒の内部で、排気ガスを浄化するセラミック製のハニカム構造が割れていたのです。割れたセラミック片がケースの中で転がることで、「カラカラ」「シャラシャラ」という異音が発生していました。

私はYさんに、

「今なら排気の流れも大きく悪化していません。この段階で交換すれば、大きな故障になる可能性は低いですよ」

と説明し、触媒を交換しました。幸い、排気通路が塞がる前だったため、触媒交換のみで修理を終えることができました。

放置すると排気が詰まり、走行不能になることも

Yさんは早めに修理したため、大きなトラブルには至りませんでした。一方で、私が勤務していた整備工場には、同じような異音を放置した結果、レッカーで搬送されてきた別のお客様もいらっしゃいました。

そのお客様は、

「最初はカラカラ音だけだったから、そのうち修理しようと思っていたんです」

と話されていました。

ところが、そのまま乗り続けたことで、触媒内部で砕けたセラミック片が排気通路を少しずつ塞ぐようになってしまったのです。排気ガスがスムーズに流れなくなると、エンジンは十分に排気できず、本来の性能を発揮できません。

その結果、

「高速道路でアクセルを踏んでも速度が伸びない」

「坂道で急に力がなくなった」

といった症状が現れるようになります。さらに症状が進行すると、アクセルを踏み込んでもほとんど加速せず、自走できなくなるケースもあります。

実際、そのお客様も一般道でまともに加速できなくなり、レッカーで搬送されました。また、ターボ車では排気の流れが悪くなることでターボチャージャーに大きな負荷がかかり、タービンの損傷につながる可能性もあります。修理費用は車種や故障の進行状況によって異なりますが、早期に触媒交換だけで済む場合と比べると、故障範囲が広がり修理費が高額になるケースも少なくありません。

「毎回鳴る」は点検のタイミング。異音は車からのSOS

下回りからの異音は、「まだ普通に走れるから」と後回しにされやすい症状です。しかし、車は重大な故障が起きる前に、小さな異変という形でサインを出していることが少なくありません。

特に、

・アイドリングや発進のたびにカラカラ音がする

・金属が転がるような音が毎回聞こえる

・以前より加速が鈍く感じる

・高速道路で速度が伸びにくい

このような症状がある場合は、一度整備工場で排気系統の点検を受けることをおすすめします。

もちろん、下回りの異音はすべてが触媒の故障とは限りません。遮熱板(ヒートシールド)の緩みやマフラーの取付部品の劣化など、比較的軽微な原因であることもあります。しかし、音だけで原因を判断することは難しく、自己判断で放置するのは危険です。

Yさんのように異音が出始めた段階で点検を受ければ、比較的軽い修理で済む可能性があります。一方、「まだ走れるから」と様子を見続ければ、外出先や高速道路で突然走行不能になるリスクも高まります。

「カラカラ」という小さな異音は、単なるマフラーの音ではなく、触媒が発しているSOSかもしれません。愛車を長く安心して乗り続けるためにも、異音に気付いたら早めに診断を受けることが、大きな故障を防ぐ何よりの近道です。


ライター:松尾佑人(二級ガソリン自動車整備士・二級ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り、約8年間整備に従事したのち、現役メカニックに向けた故障診断アドバイザーや各種講習の講師として活動。年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路や配線図の読み解きを基盤とした電子制御システムの解説を得意としている。


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