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「さすがにおかしい」愛車のオイル交換を何度も先延ばしにした結果…整備士がすぐに察した“異常事態”

  • 2026.7.14
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

エンジンオイルが少し減っていることに気付き、「家にあったオイルを足しておけば大丈夫だろう」と考えたことはありませんか。実は、自動車用エンジンオイルはAPI規格などに適合し、メーカー指定の粘度範囲内であれば、異なるメーカーや銘柄同士を少量混ぜても、それだけで重大な故障につながることは基本的にありません。

しかし、「減ったら継ぎ足すだけ」を繰り返し、長期間オイル交換をしなかったり、車に適さないオイルを使用したりすると、エンジン内部に深刻なダメージを与えることがあります。今回は、自己流のオイル管理によって高額修理につながった事例を紹介します。

「少し減っただけだから足せばいい」が落とし穴だった

ある日、オーナーはエンジンオイルの量を点検した際、レベルゲージが少し下がっていることに気付きました。

「少し減ってるな。でも交換するほどじゃないか」

そう思ったオーナーは、自宅のガレージに保管してあった開封済みのエンジンオイルを取り出します。

「これ、前の車で使ってたやつだったかな。でもエンジンオイルには違いないし、大丈夫だろう」

粘度やAPI規格、メーカー指定規格は確認せず、そのまま不足分だけ補充しました。補充後しばらくは、特に異常はありません。問題なかったと安心して、その後もオイル交換はせず、量が減るたびに手元にあるオイルを継ぎ足すだけの管理を続けていました。

実際のところ、自動車用エンジンオイルであれば、同じAPI規格に適合し、指定粘度内である限り、異なる銘柄を混ぜたこと自体が原因で急激な故障が起きるケースはほとんどありません。

今回問題となったのは、「継ぎ足しそのもの」ではなく、長期間オイル交換を実施しなかったことと、使用したオイルの規格が車両に適合しているか確認しなかったことでした。

オイル交換を先延ばしにした結果、内部では汚れが蓄積していた

数か月後、エンジン音に少し変化が現れ始めます。

「最近、カラカラ音が大きくなった気がするな」

さらにアイドリングもわずかに不安定になりました。それでも警告灯は点灯していなかったため、

「まだ走れるから大丈夫」

と、そのまま使用を続けます。しかし、エンジン内部では古く劣化したオイルが洗浄性能や潤滑性能を失い、酸化による汚れが徐々に蓄積していました。

オイル交換には、古いオイルとともに燃焼によって発生した汚れや金属摩耗粉を排出する役割があります。継ぎ足しだけでは新しいオイルが少し加わるだけで、内部に溜まった汚れがリセットされるわけではありません。その結果、スラッジが少しずつ生成され、細い油路にも汚れが蓄積。オイルの循環が悪化し、油圧制御を利用する可変バルブタイミング機構にも影響が及び始めました。やがてエンジン警告灯が点灯し、アイドリングの振れも大きくなります。

「さすがにおかしい」

そう思って整備工場へ持ち込むことになりました。

「継ぎ足していたから安心」は誤解だった

点検した整備士は、オイルフィラーキャップ内部を確認してすぐに状況を察しました。

「オイル交換は、いつされましたか?」

「減るたびに足していたので、交換はかなり前ですね」

その答えを聞いた整備士は説明します。

「補充自体は悪いことではありません。ただ、交換をせず継ぎ足しだけを続けると、汚れは残ったままです。内部にもスラッジがかなり蓄積しています」

診断の結果、可変バルブ機構の油路には汚れが詰まり始め、内部摩耗も進行していました。オイル交換や内部洗浄だけでは改善せず、一部部品の交換が必要となり、修理費用は想定以上になってしまいました。もちろん修理費用は車種やエンジン構造、損傷の程度によって大きく異なりますが、オイル管理不足が原因で数万円から十数万円以上の修理になるケースも珍しくありません。

エンジンオイルは「量」と「状態」の両方が重要です。オイルが減った場合は、車両メーカーが指定する粘度・規格に適合した同等品を補充しましょう。また、補充したからといって定期交換が不要になるわけではありません。

「まだ量はあるから大丈夫」と考えず、交換時期を守ることが、エンジンを長く健康な状態で使い続けるための最も確実な方法です。


ライター:松尾佑人(二級ガソリン自動車整備士・二級ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り、約8年間整備に従事したのち、現役メカニックに向けた故障診断アドバイザーや各種講習の講師として活動。年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路や配線図の読み解きを基盤とした電子制御システムの解説を得意としている。


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