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「ここだけ塗れば1〜2万円で直りますよね?」バンパーを少し擦っただけの修理費が20万円超になるワケ

  • 2026.7.19
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。自動車販売・整備・保険業に27年従事している河野みゆきです。

「駐車場でバンパーを少し擦ってしまいました。ここだけ塗れば1~2万円くらいで直りますよね?」

このようなご相談をいただくことがあります。しかし、実際に車を確認し、見積もりを作成すると修理費が20万円を超えるケースも珍しくありません。

お客様からは「そんなに高いんですか?」と驚かれることも少なくありませんが、決して整備工場が特別高い見積もりを出しているわけではありません。

近年は、車そのものが大きく進化し、それに伴って修理方法や使用する部品も大きく変わっています。さらに物価高騰の影響も重なり、自動車修理費は以前より確実に高くなっているのです。

バンパーの傷だけでは済まない最新車

昔の車はバンパー交換や板金塗装だけの修理が一般的でした。

しかし、現在販売されている車の多くは、バンパー周辺に衝突被害軽減ブレーキ用のミリ波レーダーや、駐車支援用の超音波センサーなど、さまざまな安全装備が搭載されています。

そのため、外から見ると「少し擦っただけ」に見える事故でも、内部のブラケットやセンサーが損傷していることがあります。さらに、部品を交換した場合にはエーミングと呼ばれるセンサーの校正作業が必要になるケースも少なくありません。

エーミングは専用設備を使い、メーカーが定める基準値に調整する重要な作業です。もし、適切に調整されていなければ、衝突被害軽減ブレーキや運転支援システムが本来の性能を発揮できなくなる可能性があります。

つまり、高額になっているのは部品代だけではなく、安全性を確保するために必要な作業が増えていることも大きな理由なのです。

修理費を押し上げているのは物価高騰と修理工程の複雑化

近年の修理費上昇には、物価高騰も大きく影響しています。

板金塗装で使用する塗料やシンナーなどの材料はここ数年で大幅に値上がりしており、業界全体では約30%、価格が上昇した資材もあります。それに加え、メーカー純正部品の価格改定や物流費、人件費の上昇も続いています。

その結果、例えば、以前であれば10万円程度だった修理が15万円から20万円程度になっているのです。

お客様から「傷は小さいのに高すぎませんか?」と言われることもあります。しかし、その見積もり額は、メーカーが定める修理手順に従い、安全性を回復させるために必要な作業を積み重ねた結果なのです。特に、先進安全装備が搭載された車では、見た目以上に修理範囲が広がることも多く、修理費はどうしても高額になりやすい傾向があります。

車両保険は保険料だけでなく車の価値で判断を

こうした修理費の高騰を受け、「バンパーを擦っただけだから自己負担で直せると思っていた」というお客様が、見積もりを見て車両保険を利用する判断をされるケースは少なくありません。一方で、物価高の影響から家計を見直す中で、毎年の保険料を抑えるために車両保険を外す方が増えているのも事実です。

しかし、車両保険は「保険料がもったいないかどうか」だけで判断するのではなく、ご自身の車の価値や万が一の際に自己負担できる金額まで含めて検討することが大切です。

特に、輸入車や高額な国産車、最新装備の車は、部品代や修理費が高額になりやすく、軽微な事故でも数十万円の修理費が発生することがあります。また、修理費が車両の時価額を上回れば、保険会社から「経済的全損」と判断されるケースもあります。一方で、年式が古く車両価値が低くなった車は、支払う保険料と補償額のバランスを考えた結果、車両保険を付帯しないという選択が合理的な場合もあります。

だからこそ、「車両保険は必要・不要」と一律に考えるのではなく、現在の車の価値や修理費の水準を踏まえ、自分に合った補償内容になっているかを定期的に見直すことが重要です。

小さな傷でも修理費は想像以上になる時代

現代の車は安全性能が向上した一方で、修理には高度な設備や専門的な作業が欠かせなくなりました。

さらに、部品価格や塗装資材、工賃などの上昇も重なり、「バンパーを少し擦っただけ」と思っていても20万円を超える修理費になることは決して珍しくありません。

整備工場としても、できるだけ修理費を抑えたいという気持ちは同じです。しかし、安全性能を確実に回復させるためには、メーカーが指定する部品や修理方法を省略することはできません。

これからは「傷が小さいから修理代も安い」というイメージではなく、「見えない部分まで修理が必要になる時代」であることを知っておくことが大切です。

また、予想以上の修理費が発生した際には、車両保険が大きな助けとなるケースもあります。保険を利用するかどうかは修理費や等級への影響を踏まえて判断する必要がありますが、現在の修理費水準を考えると、補償内容を一度見直しておくことも有効です。

万が一の際に「こんなに修理費がかかるとは思わなかった」と後悔しないためにも、現代の車の修理事情を知り、日頃から備えておくことが大切ではないでしょうか。


ライター:河野みゆき
自動車販売・整備・保険業に27年従事。損害保険募集人資格を保有し、車両購入からメンテナンス、カーライフに関わる保険まで幅広く対応。現場経験をもとに、ユーザー目線でわかりやすい情報発信を行っています。


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