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40〜60km/hを超えると『ゴーッ』『ウォー』…50代男性が「タイヤのせい」と放置し続けた“異音の正体”

  • 2026.7.18
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

走行中、40〜60km/hを超えたあたりから「ゴー」「ウォー」という低い音が聞こえることはありませんか。

「スタッドレスタイヤだから仕方ない」「路面が荒れているだけだろう」と考えて、そのまま乗り続けてしまう方は少なくありません。

しかし、その音の正体はタイヤではなく「ハブベアリング」の摩耗かもしれません。放置すると修理費が大きく膨らむだけでなく、最悪の場合は重大事故につながる危険性もあります。

今回は、私が自動車整備工場で勤務していた頃に修理を担当したお客様の実例をもとに解説します。

「タイヤの音だと思っていた」実はハブベアリングの異常だった

以前、私が勤務していた整備工場へ来店されたお客様、Aさん(50代・男性)は、このように話されました。

「最近、スピードを出すと『ゴーッ』という音がするんですよ」

「タイヤが減ってきたせいですかね?」

詳しく話を聞くと、街中ではそれほど気にならないものの、40〜60km/hを超えた頃から音が大きくなり、高速道路では車内で会話がしづらいほどだったそうです。

「タイヤも古いですし、そのせいだと思っていました」

実際、この症状はタイヤノイズと勘違いされることが非常に多い異音です。しかし試運転を行うと、速度に比例して「ウォー」という音が大きくなり、左右へ軽く荷重を移すと音量が変化しました。

リフトアップして点検したところ、原因はタイヤではなくハブベアリングでした。ハブベアリングはタイヤを支えながらスムーズに回転させる重要な部品です。内部には多数の鋼球とグリスが入っていますが、長年の使用でグリスが劣化したり、内部が摩耗したりすると、回転時に独特の低い異音が発生します。

初期段階では音だけなので、「まだ走れるから大丈夫」と思ってしまう方が多いのです。

放置すると修理費も危険性も一気に大きくなる

Aさんの場合は比較的早い段階で入庫されたため、ハブベアリング交換だけで修理は完了しました。しかし、もしそのまま乗り続けていたら状況は大きく変わっていたでしょう。

摩耗が進行すると、ベアリング内部にガタが発生します。するとタイヤの位置がわずかにずれ始め、異音だけでなく振動やハンドルの違和感まで現れるようになります。さらに摩擦熱によってベアリングは高温となり、内部が焼き付きを起こすケースもあります。ここまで進行すると、ベアリングだけでは済まず、ハブ本体まで交換が必要になることがあります。車種によってはナックル(タイヤ周辺の足回り部品)まで損傷し、高額修理になることも珍しくありません。

そして最も怖いのは、ベアリングが著しく破損した場合です。タイヤを支える力が失われれば、最悪の場合はタイヤの脱落につながる危険もあります。もちろん頻繁に起こる故障ではありませんが、「異音だけだから」と放置し続けることで、重大なトラブルへ発展する可能性は十分にあるのです。

「タイヤのせい」と決めつけず、早めの点検が結果的に安く済む

ハブベアリングの異常は、ドライバー自身でもある程度見分けるヒントがあります。特に注意したいのは、「速度に比例して音が大きくなる」という特徴です。エンジン回転数ではなく、車速に合わせて「ゴー」「ウォー」という音が強くなる場合は、一度点検を受けることをおすすめします。

また、左右に緩やかにハンドルを切った際に音が変化する場合も、ハブベアリングが原因となっているケースがあります。

もちろん、タイヤの偏摩耗や路面状況によって似た音が出ることもあります。そのため、自己判断だけで「タイヤだから問題ない」と決めつけないことが大切です。

整備工場では、試運転やリフトアップ点検を行い、タイヤなのか、ハブベアリングなのか、あるいは別の足回りなのかを比較的短時間で判断できる場合が多くあります。初期段階であれば、ベアリング交換だけで修理を終えられるケースも少なくありません。一方で、「まだ乗れるから」と何カ月も放置すると、周辺部品まで損傷し、修理費用が大きく膨らむ可能性があります。

異音は、車がドライバーへ送っている重要なサインです。「タイヤノイズかな」と思ったその音が、実は重大な故障の始まりだったというケースは決して珍しくありません。もし速度に合わせて大きくなる「ゴー」「ウォー」という音に気付いたら、そのまま様子を見るのではなく、一度整備工場で点検を受けてみてください。

早めの確認が、修理費を抑えるだけでなく、安全なカーライフを守ることにもつながります。


ライター:松尾佑人(二級ガソリン自動車整備士・二級ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り、約8年間整備に従事したのち、現役メカニックに向けた故障診断アドバイザーや各種講習の講師として活動。年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路や配線図の読み解きを基盤とした電子制御システムの解説を得意としている。


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