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水郷のほとりで、近江八幡の風土に浸る。一日2組限定の料理宿「旅籠 八(わかつ)」へ

  • 2026.6.25
写真提供=旅籠 八

水郷を眺めながら、「心を空っぽにする」滞在

近江商人の発祥地として知られる滋賀・近江八幡。豊臣秀次(豊臣秀吉の甥)が築いた城下町として栄えたこの地には、いまも往時の面影が色濃く残っています。なかでも象徴的なのが八幡堀です。1585(天正13)年、秀次が八幡山城を築いた際に整備されたこの運河は、琵琶湖と城下町を結ぶ水運の要として発展。物資を積んだ舟が行き交い、近江商人たちはここを拠点に物資を全国へ運んだといいます。

滋賀・近江八幡、八幡堀沿いに建つ「旅籠 八」。 撮影=森山雅智

そんな歴史ある八幡堀のほとりに建つのが「旅籠 八」。1829(文政12)年築、畳店を営んでいた旧喜多邸を改築した一日2組限定の料理旅館です。オーナーの吉田尚之さんが、「古いものを次の世代に残したい」との思いから再生させたこの宿は、静かな水辺の風景とともに、この土地が育んできた豊かな文化をいまに伝えています。

『婦人画報』2026年7月号の特集<a href="https://www.fujingaho.jp/lifestyle/sumai-kurashi/a71379954/nakatani-miki-kominka02-260607/" target="_blank">「中谷美紀さんが巡る、美しき古民家」</a>のロケ時には、中谷美紀さんも滞在。 撮影=森山雅智

客室はわずか2室。特別室「石の間」は、江戸時代後期に建てられた旧喜多邸の主屋を生かした空間で、当時の梁や土間の趣をそのまま残しながら、現代の家具と美しく調和しています。京都・鞍馬石をくり抜いた岩風呂からは、緑豊かな庭を眺めることができます。

「石の間」には、京都・鞍馬石をくり抜いた大きな岩風呂がある。 写真提供=旅籠 八
特別室「石の間」の居間とベッドルーム。 撮影=森山雅智

もう一つの離れ「木の間」は、数寄屋大工の手によって丁寧に整えられた座敷から八幡堀を一望できるしつらえ。窓の外に広がる八幡堀の眺めは、まるでこの町に暮らしているかのような穏やかな時間をもたらしてくれます。それぞれ客室の趣は異なりますが、古建築の風情を生かしながらも、現代の滞在にふさわしい心地よさを兼ね備えた空間になっています。

水郷から庭へと、心地よい風が抜ける「木の間」の客室。 写真提供=旅籠 八
八幡堀に面した「木の間」の2階座敷。 写真提供=旅籠 八

まずは一杯の水から。湖国の恵みを味わう料理

そして、滞在の楽しみをいっそう深めてくれるのが料理です。

館内の日本料理「溜ル(たまる)」のコースは、伊吹山からの伏流水を汲んだ一杯の水から始まります。そして、清らかな水で体を整えたあとに出されるのは、長浜市西浅井町で育まれた「丸子米」。信楽焼の土鍋でふっくらと炊き上げ、立ちのぼる香りとともに、炊きたての“煮えばな”を味わいます。

「丸子米」の煮えばな。噛むほどに旨みが広がる。 写真提供=旅籠 八
旬味を彩り豊かに表現した八寸。 写真提供=旅籠 八
地元・近江八幡の「亀井牧場」が育てる近江牛の藁焼き。 写真提供=旅籠 八

その後は、季節の恵みを色とりどりに盛り込んだ八寸へと続き、新鮮な湖魚や地野菜を生かした料理の数々、コース終盤には、滋賀県が誇る特産・近江牛が登場。地の素材の持ち味を丁寧に引き出した料理は、滋味に溢れ、一口ごとに深い余韻を残します。近江八幡の風土と季節の移ろいを五感で、心ゆくまで堪能したいものです。

DATA
一泊2食付き2名1室の1名料金 55,000円(税サ別)~
IN13時 OUT10時 全2室
tel.0748-36-2745
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滋賀県近江八幡市玉屋町6
旅籠 八

2026年7月3日に 「別邸ここのつ.」が新たにオープン

2026年7月3日にオープン の「別邸ここのつ.」 写真提供=別邸ここのつ.

「旅籠 八」から徒歩5~6分に位置する近江の守護「日牟禮八幡宮」の鳥居の先に、新たに「別邸ここのつ.」が、2026年7月3日にオープン。かつて大津絵師が暮らしていた一軒の邸宅が、一棟貸しのレジデンスへと生まれ変わりました。蔵を改修した浴室や、アーティスト・山田愛さんとともに手掛けた白に包まれる瞑想室も設けられ、日常から離れ、心身を解きほぐすための滞在が叶います。

写真提供=旅籠 八 編集・文=吉岡尚美(本誌)

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