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元体操日本代表で2児ママ・田中理恵が実践する、子どもを“叱る前”の1ステップ「あえてすぐに謝らせず…」

  • 2026.6.25

体操日本代表としてロンドン五輪に出場し、女子体操界を牽引してきた田中理恵さん。兄の和仁さん、弟の佑典さんと「田中三きょうだい」として世界で活躍してきた姿も印象的です。そんな張り詰めた緊張感の中で演技をしてきたトップアスリートですが、いま日々向き合っているのは8歳の娘さんと3歳の息子さん。世界で活躍してきたからこそ見える子育ての景色。そんな学びの多い子育て論を、全7回連載にてお届けします。第1回のテーマは、子どもがトラブルを起こしたときの対応。つい「すぐに謝りなさい!」と言ってしまいがちな場面で、田中さんがあえて一歩止まる理由とは? アスリートとして自分と向き合い続けてきた田中さんだからこそ辿り着いた、子どもの自律心を育む「感情整理のステップ」を詳しく伺いました。

予測不能な3歳男子にタジタジ!? 「2人育児」の賑やかな日常

――アスリートとして体操界で一時代を築いた田中理恵さん。現役を退かれて13年経ちましたが、最近はどんな毎日を過ごしていらっしゃいますか?今は8歳の娘と3歳の息子の子育てに、全力で奮闘する日々ですね。2023年に息子が生まれて子どもが2人になってからは、家の中がより一層明るくなったと感じています。ただ、3歳の男の子って、本当に行動が予想を遥かに超えてくるんですよね。「え、そこ行く?」「それをやっちゃうの?」と驚かされることばかりですが、そんなハプニングも含めて「子育てって楽しいな」と面白がっています。特に、娘が穏やかなタイプの子だったので、そのギャップがすごいです(笑)。――お姉ちゃんは、どんな存在ですか?まるで“もう一人のお母さん”のような、本当に頼もしい存在です。本人も「お姉ちゃんをしたい!」という気持ちが強いみたいで、「ちょっと弟を見ててね」とお願いすると、一生懸命お世話をしてくれるんですよ。もちろん、娘もまだ子どもですからいつでも頼り切りにはしません。疲れているかな、と感じるときは表情やリアクションを見ながら声をかけるようにしています。――やる気のあるお姉ちゃん、ママを助けてくれそうですね。ものすごく助かっています! それに、息子がお姉ちゃんの真似をしたがるのも面白い発見でした。食事のときにお姉ちゃんの隣に座ると、一生懸命食べている姿を真似して、自分からスプーンを動かしたりして。私が教えるよりもずっと自然にお姉ちゃんから学んでいく姿を見ていると、姉弟の関係っていいな、ありがたいなと嬉しくなります。決して比べるわけではありませんが、娘が2~3歳だったころより、今の息子のほうができることが多いかもしれません。それだけ上の子の影響や頑張りが大きいのかなと感じています。時にはママの言葉より、娘の言葉のほうが届くこともあって。私が「もう寝るよ」と言っても聞かないのに、お姉ちゃんが言うとすんなり布団へ行ったり(笑)。そんなやり取りを通じて、姉弟の間にだけ通じ合う特別な絆があるんだなと感じています。娘もそれが嬉しいみたいで、ニコニコしながらやってくれて。姉弟の間だけで、分かり合えているなにかがあるのでしょうね。

「我慢」を「工夫」に変えて。上の子がストレスを溜めないために

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――微笑ましい姉弟関係ですが、それでもきょうだい喧嘩はありますか?もちろん、ありますよ! お姉ちゃんが大事に作っていた工作を壊されちゃったり、丁寧に折った折り紙を崩されたり。「もーっ!」ってお姉ちゃんも怒っています。そんなとき私は、「お姉ちゃんだから我慢しよう」とは言いません。「まずは、弟の手が届かない高いところに置こうね」「ここなら安全だよね」と、環境を整える工夫を一緒に考えます。もし壊されてもいいものなら、「せっかくだから一緒に遊ぼうか」と遊びに誘うこともありますね。――どうしても、お姉ちゃんが我慢することが多くなりますよね。そうなんですよね。弟が生まれるまではパパとママを独占できていた環境が、一気に変わったわけですから。娘が知らないうちにストレスを溜めないよう、パパやママを独り占めできる「娘だけの時間」を意識的に作るようにも心がけています。

「謝りなさい!」と子どもを叱る前に、まずすること

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――ではお子さんが約束を破ってしまったり、お友達に意地悪をしてしまったとき、ママとしてお子さんにどう向き合っていますか?まず、子どもの話を最後までじっくり聞くようにしています。「どんな感情だったのか」「どうしてその言葉を使ったのか」「なぜその行動をしてしまったのか」……。どちらが悪い、悪くない、と決めつけるのではなく、「こういう気持ちのときに、こんなことをすると相手は傷ついちゃうよね」「じゃあ、どうすればよかったのかな?」と、本人に考えさせるんです。そして「この言葉はよくなかったね」「この行動はダメだったね」と本人がしっかり納得できてから、「よし、謝りに行こうか」と促します。――すぐに謝らせるのではなく、一度立ち止まるんですね。「なんでこうしちゃったんだろう」「あのときはどんな気持ちだったんだろう」と、自分の心の中を整理させるステップが、なにより大事だと思っています。すぐに「謝りなさい!」と叱って無理やり頭を下げさせても、本人の心は置き去りになってしまいますから。――実際、困ったトラブルは今までありましたか?今のところ、大きな事件はないですね。長女が落ち着いたタイプで、ひとりでコツコツ折り紙をするような遊びが好きだったのもあるかもしれません。ただ、小学校に入ってから、ふとした瞬間に少し乱暴な言葉遣いが出たことがあって。本人もハッとしていたようなので、「その言葉を使ってみて、自分はどう感じた?」と、自分の感覚を問いかけて考えさせました。――どんなことをしたら叱るという基準はありますか?「人に迷惑をかけたとき」「嘘をついたとき」「自分が決めたルールを守れなかったとき」が、私のボーダーラインです。そうなった場合は、しっかりと話し合います。「怒る」というより、納得いくまで「対話する」感覚ですね。感情を整理して、二度と同じことを繰り返さないためにはどうすればいいか。自分自身で答えを見つけられるように導いていきたいと思っています。――世界の大舞台を経験してきた田中さんでも、子育ては難しいですか?難しいですよ(笑)! でも、やっぱり楽しいですね。毎日が新しい発見の連続です。連載2回目では、田中家に受け継がれる「目標を達成する力の育て方」についてうかがいます。お楽しみに!

【Profile】田中理恵(たなか・りえ)

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1987年6月11日生まれ。和歌山県出身。体操日本代表として2010年、世界体操競技選手権(ロッテルダム)にて日本人女子選手として初めてロンジン・エレガンス賞を受賞。ロンドン五輪に出場。2013年に現役引退後、現在はタレント、解説者として幅広く活動しつつ、兄・和仁さんが設立した「田中体操クラブ」の特別コーチも務める。

Instagram(@riiiiiie611)

公式サイト

取材・文/山崎永美子 構成/岩崎幸

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