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救急車到着までの「10分間」倒れたライダーを救うために僕らができること

  • 2026.6.24

事故や転倒で倒れているライダーに遭遇したとき、救急隊が到着するまでに自分たちができることは何か。安全確認、声かけ、119番通報、胸骨圧迫、AEDの手配など、いざという時に慌てず行動するための基本を知っておこう。まずは知ることが、一歩を踏み出す力になる

もしもの場面で正しい行動ができる準備を

4月、BMW首都圏ディーラーが主催するライダー向け応急処置講習会が実施された。BMW首都圏ディーラーでは合同イベント開催に向けて、ディーラースタッフのスキルアップ向上を目的として同様の講習会を定期的に実施している。今回の講習で学んだのは、事故現場で必要なのは特別な技術だけではなく「自分にもできることがある」と知っておくことの大切さだ。

事故が発生してすぐに119番通報をして救急車を呼んだとしてもすぐ到着するわけではなく、事故現場に着くまでにかかる時間はおよそ10分。その時間、最初にそばにいる人の行動が、救急隊へ命をつなぐ大切なバトンになる。完璧にできるか不安でも、胸骨圧迫や人工呼吸、AEDの使い方などの応急処置の手順を知っているだけで、最初の一歩を踏み出しやすくなるはずだ。

事故現場や倒れているライダーには、いつ遭遇するか分からない。だからこそ、知識を〝いつか使うかもしれないもの〞として終わらせず、仲間や家族と共有しながら、もしもの場面で正しい行動ができる準備につなげたい。

Step 1 まずは自身の安全を確認する

倒れているライダーに近づく前に、後続車や火災、ガソリン漏れ、落下物など周囲の危険を確認する。自分が二次被害に遭わず、応急処置ができる状況かを見極めよう

Step 2 倒れているライダーの意識を確認する

安全を確認できたら、ライダーのそばで肩を軽くたたきながら「大丈夫ですか!?」と大きな声で呼びかける。反応があるか、呼びかけに目を開けるかを確認する

Step 3 周りの人へ救助の助けを求める

反応がない、または様子がおかしい場合は、すぐ周囲に助けを求める。「119番をお願いします」「AEDを持ってきてください」と、相手を指名して具体的に依頼する

緊急時のヘルメットの正しい脱がし方

①頸椎を固定する
まず1名がライダーの頭側に回り、ヘルメットの両側をしっかり持つ。頭や首が左右に傾いたり、前後に動いたりしないよう、声をかけながら頸椎をまっすぐ保つ

②あご紐を外す
もう1名がシールドを開け、顔や口元の状態を確認してから、あご紐を外す。バックルが複雑で外しにくい場合や急を要する場合は、救急用ハサミで切断する

③ヘルメットを外す
開口部を左右に広げ、頭部を固定したまま、ヘルメットだけを少しずつ上下に動かしてずらす。頭が一緒に動かないよう声を合わせ、最後まで首をまっすぐ保つ

Qジャケットは脱がす?

A:AEDなどの処置や熱中症の疑いがある場合は脱がせる

AEDの電極パッドを貼る必要がある場合や、熱中症が疑われ身体を冷やしたい場合は、ジャケットを脱がせる。無理に動かさず、必要ならハサミで切るなどして処置を優先

うつ伏せで倒れている場合は首を固定して仰向けに
うつ伏せのままでは呼吸や意識の確認、胸骨圧迫がしにくい。複数人で首を固定し、頭・首・身体を一直線に保ちながら、できるだけねじらず仰向けにする

呼びかけに応答がない場合は…… 直ちに救命処置

【 胸骨圧迫 】

①胸の真ん中に手を置く
傷病者をあお向けに寝かせ、胸の中央、胸骨の下半分に片方の手の付け根を置く。その上にもう一方の手を重ね、指先が肋骨にかからないように構える

②腕をまっすぐ伸ばして押す
肩が手の真上にくる姿勢を取り、ひじを曲げずに体重をかけて真下へ押す。成人では胸が約5cm沈む強さが目安。怖がって浅くならないよう、しっかり圧迫する

③速いテンポで続ける
1分間に100〜120回程度のテンポで、胸骨圧迫を行う。押したあとは胸が元の高さに戻るまで力を抜き、圧迫のリズムを止めないことを意識する

【 人工呼吸 】

①気道を確保する
傷病者をあお向けにし、片手で額を押さえながら、もう片方の手であご先を引き上げる。頭を後ろへそらせて空気の通り道をつくり、呼吸を吹き込みやすい姿勢に整える

②鼻をつまみ、口をしっかり覆う
気道を確保したまま、額を押さえている手の親指と人さし指で鼻をつまむ。救助者の口で傷病者の口をしっかり覆い、空気が漏れないよう密着させる

③胸が上がる程度に息を吹き込む
約1秒かけて息を吹き込み、傷病者の胸が軽く上がるのを確認する。強く吹き込みすぎず、胸が上がらない場合は気道確保をやり直して、もう一度試みる

④2回行ったら胸骨圧迫に戻る
人工呼吸は2回までにとどめ、終えたらすぐ胸骨圧迫を再開する。胸骨圧迫と人工呼吸2回を、救急隊に引き継ぐまで続ける。AEDが届いたら音声指示を優先する

【 AEDの使い方 】

①電源を入れて、音声ガイドをよく聞く
AEDが届いたら傷病者の横に置き、すぐ電源を入れる。ふたを開けるだけで起動する機種もあるので、落ち着いて音声ガイドを聞き、指示通りに次の操作へ進む

②電極パッドを貼る(AEDが自動解析)
胸をはだけ、汗や雨で濡れていれば拭き取ってから、電極パッドを右胸と左わき腹へ貼る。位置はパッドの図を確認。AEDが解析している間は、身体に触れない

③電気ショックボタンを押す
AEDが「電気ショックが必要」と案内したら、周囲に「離れて」と声をかける。誰も傷病者に触れていないことを確認し、指示に従って電気ショックの操作をする

④胸骨圧迫を再開し、救急隊を待つ
ショック後、または「ショック不要」と案内されたら、すぐ胸骨圧迫を再開する。救急隊が到着するまで、AEDの電源は切らず、音声指示に従って処置を続ける

現場に居合わせたライダーの行動が命を左右する

救急車はすぐに来てくれるもの、と思いがちだが、実際には通報から現場到着までおよそ10分かかる。その間、倒れているライダーのそばに最初にいるのは、救急隊ではなく現場に居合わせた人だ。意識や呼吸の確認、119番通報、AEDの手配、胸骨圧迫など、最初の数分に行う処置が命をつなぐ大きな一歩になる。特別なことを完璧にこなす必要はない。まず安全を確保し、できることから行動することが、救急隊へ引き継ぐまでの重要なバトンになる。

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