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50代のひとり旅は「ついで旅」でいい。岸本葉子さんに聞く、おっくうのハードルを下げるコツ

  • 2026.6.22

50代のひとり旅は「ついで旅」でいい。岸本葉子さんに聞く、おっくうのハードルを下げるコツ

「ひとり旅、してみたい。でも少し不安」——そんな方も多いのでは? 「50代は『ひとり旅』の適齢期」と語る、エッセイストの岸本葉子さんが、50代で再開した旅の楽しみ方を綴った新刊が話題です。『50代からのしあわせ「ひとり旅」』から一部抜粋して全5回でお届けします。第2回は、「ついで旅」のすすめ!

始めやすいのは「ついで旅」

ひとり旅をしたくなってきても、一から計画を立てるのは、エネルギーが要るものです。若い頃にひとり旅の経験がある私も、おっくうで、なかなか腰が上がりませんでした。

とっつきやすいのは「ついで旅」。出張でも、別の町に住んでいる子どもに会いにいくとか、親族の集まりとか私的な用事でも、何かで出かけなければいけないとき、ついでにひとり旅をするのです。用事のある町かその周辺で、1泊付け足して。

かつての私は、この「ついで旅」もなかなかできませんでした。出張はしていたので「ついで旅」の機会はあったのに、したことがありませんでした。介護の始まる前もです。

出張の際、初めて行く場所で初めての人々に次々と挨拶し、会話を絶やさないようにするのは、とても消耗するものです。人嫌いなわけではなく、むしろ感じよくふるまいたい、よい雰囲気を保ちたいと思う方です。その思いが過剰なのかもしれません。いわば「頑張りすぎる」。

社会生活では、誰もが多かれ少なかれ努めていることで、頑張り「すぎる」というのはおこがましいようで、いい大人が、誰もがしていることを苦手というのも、みっともない気がして、自分のその性質をなかなか認められませんでした。

なので、なんで疲れているのかわからないまま、とにかく一刻も早く帰りたい。まさしくホームである自分の家に、一刻も早く身を置き力を抜いて、落ち着きたい。

この町で行ってみたいところはあるけれど、機会を改め出直せばいい。息が浅くなっているときに深呼吸を求めるかのように、まっしぐらに家へ向かっていました。

その私が1泊付け足し「ついで旅」をするようになったのは、介護を経たことに加えて、気持ちの切り替えができるようになったことが大きいです。

いい年してみっともないからと、ないフリをしていた自分の弱点を認める。どんな状況に自分が疲れやすいかを、よく観察して、それを避けながら、あるいは疲れをとるように旅をする。

ひとことでいえば旅先を「ホーム」にすることです。旅先でも、慣れた環境に身を置くことです。

その方法として私は、定宿とするチェーン展開のビジネスホテルに泊まります。いつも行っているジムのチェーン展開している店舗で、体を動かし、心の緊張を緩めます。詳しくは後に記します。

私にとっては効く方法であって、誰にでもおすすめの旅のスタイルとするわけではありません。それぞれが自分に合う方法をみつけるための、参考として記す次第です。いつかは、そうした「疑似ホーム」の仕掛けをしなくても、旅を楽しめるようになるのが私の理想で、少しずつ慣れていきたいと思います。

私が今している旅はもっぱら、この「ついで旅」です。必要があって出かけますから、始動のエネルギーが少なくすみます。場所がある程度限定されるので、一から場所選びをしなくてもすみます。

ひとり旅へのハードルは、ぐっと下がります。

出張より、私的な用事に付け足すのが、より始めやすいと思います。リアルな話、出張では交通費は支給されますが、私的な旅となると自分で払わないといけません。「せっかく出すなら、足を延ばして」という動機を持ちやすいです。

気の向かない用事ほど「そのためだけに行くのはもったいなさすぎる」と感じて、旅へのより強い推進力になりそうです。

※この記事は『50代からのしあわせ「ひとり旅」』岸本葉子著(佼成出版社刊)をウェブ記事用に再構成したものです。

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