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清原果耶さんが選んだ一冊は『どこにでもあるケーキ』。「目の前が明るくなり、ほんの少し毎日が生きやすくなる気がします」

  • 2026.6.21

※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2026年7月号からの転載です。

「高校生のときに詩を書く女の子の役を演じたことがあり、それから詩集が大好きになりました。短い文章であっという間に別世界へといざなってくれて、その時々に抱えている悩みを解決するヒントをもらえたりする。自分では上手く表現できない感情が言語化されていると、目の前が明るくなり、ほんの少し毎日が生きやすくなる気がします」

清原さんが偶然書店で出合ったという三角みづ紀の『どこにでもあるケーキ』。13歳という多感な1年間を繊細な言葉で表現した詩集だ。

「きっと三角さんが幼い頃に感じていたことを綴られている。その一つひとつに、私自身がこれまで生きてきた中で閉じ込めることしかできなかった感情が想起させられ、同時に、大人になるにつれて、それらを手放すことを選んだ悔しさ、切なさ、愛おしさなどを再確認できるんです」

お気に入りの一篇は『ソワレ』。

「ふとした瞬間に苦々しい記憶が甦ってくるのは誰にでもあることで。でも、そんな弱い自分を認めつつ、詩の最後で〈何度でも世界は やりなおせる〉と生きる強さを残してくれている。飾らないシンプルな言葉の数々ですが、温かさも感じられて、読むたびに勇気をもらえます」

6月より開幕する舞台『レディエント・バーミン Radiant Vermin』。本作で清原さんは、理想の家を探し求める若い夫婦の妻ジルを演じる。

「夢のような家を手にする代わりに、2人は大きな代償を抱えてしまう。それでも夫婦はもっと理想的な家を作り上げることに必死で、やがて後戻りができない状況になっていく。“欲望”が大きなテーマになっているので心に刺さることも多くて。きっと観る人によって、作品の捉え方も大きく異なるように思います」

ジルというキャラクターについては、「とても難しい役柄ですが、不安以上に“演じてみたい”という気持ちが強かったです」と印象を。

「彼女は人間が持つ愚かな欲望にのみ込まれていくにもかかわらず、とても魅力的にさえ見えてくる。それはきっと純粋に幸せを追い求めているから。ただ、そんな彼女を愛おしく感じた時点で、本作が持つ“穴”にまんまと落ちている気もします(笑)」

舞台に挑むのは今作で2度目。

「3人芝居なので緊張しています。稽古も濃密なものになるでしょうし。でもそうした中で、ジルを突き動かすものが夫なのか、子どもなのか、彼女自身なのか、しっかりと見つけていきたいです」

取材・文:倉田モトキ 写真:TOWA

ヘアメイク:YOSHi.T スタイリング:髙木阿友子 衣装協力:トップス3万9600円(RUMCHE contact@rumche.com)、スカート2万350円(IMMEZ http://immez.official.ec/)*すべて税込

きよはら・かや●2002年、大阪府生まれ。15年、連続テレビ小説『あさが来た』で俳優デビュー。21年には『おかえりモネ』でヒロインを務めた。主な出演作にドラマ『透明なゆりかご』、映画『護られなかった者たちへ』など。23年の初舞台『ジャンヌ・ダルク』では読売演劇大賞で杉村春子賞を受賞。

『どこにでもあるケーキ』

(三角みづ紀/ナナロク社) 1870円(税込)

詩人・三角みづ紀が自身の13歳の頃の記憶と重ね合わせながら綴った33篇からなる詩集。まだ何者でもなく、しかしながら自我の芽生えとともに感じる些細な喜びや不安などの感情を繊細に表現。塩川いづみによる表紙絵、半透明のグラシン紙を使ったカバーなど温もりを感じる装丁にも心揺さぶられる一冊。

 撮影:設楽光徳
撮影:設楽光徳

舞台『レディエント・バーミン Radiant Vermin』

作:フィリップ・リドリー 翻訳:小宮山智津子

演出:白井 晃

出演:清原果耶、井之脇 海、池津祥子

6月8日(月)~東京・シアタートラムほか、兵庫、宮崎、新潟、愛知で上演

●現代演劇を代表するイギリスの劇作家フィリップ・リドリーと演出家・白井晃のタッグによる話題作が、キャストを変えて待望の再演。新婚のジル(清原)とオリー(井之脇)は不動産仲介人ミス・ディー(池津)から夢のような物件を紹介される。しかしそれは大きな“秘密”を抱えた家だった。

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