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美容・医療ジャーナリストの海野由利子さんが医師に聞く、人生100年時代の美容医療との付き合い方

  • 2026.6.20
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美容医療や再生医療は、美や若々しさを求めるリシェス世代にとって関心の高い分野だからこそ、適切な知識をもつことが必要です。美容・医療ジャーナリストの海野由利子さんが美容医療分野のドクターに取材。ロンジェビティ視点で読者のリテラシーを高めるアドバイスや、医師自らの哲学などを教えていただきます。

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<Profile>
海野由利子(うみのゆりこ)/美容・医療ジャーナリスト

1981年より女性誌編集部でファッションと美容を担当。’89年、美容ライターとして独立。90年代後半から美容医療の体験と取材を開始。21世紀に入り幹細胞培養研究が盛んになると再生医療にも注目し取材を行う。日本抗加齢医学会会員。

美容医療&再生医療を受診する前に

KENICHI YOSHIDA

大人が利用する美容医療の傾向は、かつての“若見え至上”から、エイジングサインを穏やかに整え、健康的な印象を保つことへ。そのニーズに応えるのが美容医療のボディ治療や、研究が進む再生医療。これらは自由診療として提供されるほか、さらなる発展に向けた臨床研究も続けられています。自らの意思で選択できるからこそ、安全性の確保と信頼できる医師選びが重要。長年、保険診療や美容医療の最前線に携わり、研さんを積む4人の医師に最新知見を取材しました。 今回は、美容医療との上手な付き合い方を考えます。


【貴志和生医師】大学病院の美容医療外来の“安心・安全”なかかり方

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<Profile>
貴志和生(きしかずお)/慶應義塾大学医学部形成外科学教室 教授・診療科部長

医学博士。日本専門医機構認定 形成外科専門医。慶應義塾大学医学部卒業。慶應義塾大学医学部形成外科学教室、浦和市立病院外科医員、英国マンチェスター大学生物科学部留学、済生会中央病院形成外科医員などを経て、2011年より慶應義塾大学医学部形成外科学教室教授。

美容医療を受けられる大学病院が増えてきています。2024年5月に初の美容医療外来を開設した慶應義塾大学病院もその一つ。開設の背景と、一般の美容クリニックとの違いを貴志教授にお聞きしました。「昨今の美容医療では問題点が数多く報告されています。安心・安全が使命の大学病院が美容診療を行うことで社会貢献となり、当院の形成外科チームにとっては今までとは違う経験を積めるのではないかと考えました」。そもそも形成外科は、外から見て分かる変形を正常に、あるいは元の形に近づける治療を行う科です。そして、正常な状態をさらに美しくしていく美容外科・美容医療は、形成外科学の一分野に含まれています。「どんな治療を行うべきか、院内でディスカッションを重ねました。老化により現れた変化を元に戻す治療、抗加齢や創傷治癒を中心とした、エビデンスに基づいた美容医療を、外科・非外科の治療でご提供します。加齢で現れたたるみ、ほくろ治療、傷痕治療、脂肪凍結痩身治療など。また、過去に行った美容医療による合併症に対応できる場合もありますのでお問い合わせください」。ロンジェビティの一環として良き治療を受けるために、大切なことも教えていただきました。「医療である以上、合併症のリスクはあります。当院や日本形成外科学会のホームページで創傷治癒に関することなどを含め、美容医療の知識を得ることも有益でしょう」

「“最新”ばかりが良い治療ではありません」と貴志医師。美容医療で手掛けているのは、加齢による変化を元に戻していくような治療。HPに記載がない、扱っていない治療については関連施設へ紹介することもあります。 Hearst Owned

【中北信昭医師】大人の美容外科は“顔を変える”のではなく、専門医による“機能維持と美の調和”を目指すもの

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<Profile>
中北信昭(なかきたのぶあき)/自由が丘クリニック総院長

医学博士。日本専門医機構認定 形成外科専門医、日本美容外科学会(JSAPS)認定 美容外科専門医。北里大学医学部卒業、北里大学病院形成外科入局。神奈川県立こども医療センター・形成外科、北里大学医学部形成外科准教授などを経て2007年自由が丘クリニックに。

「当院は1995年の開院当初から患者さまの健康サポートも目指しています」と中北医師。「近年は、外見と身体機能の両面から、健やかで若々しい印象を追求することをテーマにしています。外見の美容医療で患者さまが喜び、気持ちが前向きになる様子を長年拝見していますが、加齢による機能障害や痛みがあると日常の行動が制限され、意欲も減っていきます。健康かつ見た目に悩んでいないこと、その両方があってこそロンジェビティといえるのでは」。そう話す中北医師が担当しているのは形成外科・美容外科。「最近は美容整形に対する後ろめたさのような感覚が減ったと感じます」。その要因は? 「眼瞼下垂の治療です。老化による眼瞼下垂(腱膜性眼瞼下垂)はまぶたが下がって視界が狭まるため“見る機能の低下”として保険適用(※医師の診断により確定)になります。手術でまぶたが開くと瞳に光が入るので元気な印象になり、表情も明るくなります。機能改善の治療で見た目も若々しくなると理解され、自然に仕上がるなら手術を、という変化が起こっています。見た目の治療は急を要するものではありませんので、まずは相談を」。手術の場合は安全性に配慮し、事前に血液検査などを行います。治療後の日常がより良くなるように心を砕くのも、ロンジェビティのための美容医療の姿でしょう。

美を提供する施設らしく、明るい院内には多くの絵画、アート作品を展示しています(写真上)。数多くの専門医が在籍し、手術のほかにレーザーや注入などの切らない肌治療のメニューも。術後の肌ケアまで含めた、トータルなサポート体制があります。また遠方からの患者にも配慮した滞在環境を整えています。膝の治療を行える整形外科も開始。必要に応じて、再生医療の専門施設とも提携しています。 Hearst Owned

【根岸圭医師】美容医療で肌を治療することで気持ちや行動への「ドミノ効果」も

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<Profile>
根岸圭(ねぎしけい)/ウェルクリニック院長

医学博士。東京女子医科大学医学部卒業。東京女子医科大学附属第二病院形成外科、東京女子医科大学東医療センター美容外科などを経て、2021年ウェルクリニック開院。2000年に日本に導入された照射機器の開発や、日本人用のプロトコルの設定に現在も多く関わる。

ロンジェビティにおける美容医療とは「見た目の健やかさは健康寿命に影響するということでは」と根岸医師。治療後の患者さんの変化に気付いて臨床研究をしたところ「シミやシワなどの悩みが軽減したことで活動的になり、行動範囲が広くなります。ジム通いを始めた例では血圧、コレステロール値が低下し、加齢による機能低下が緩やかになる傾向がありました。治療をした部位だけでなく、身体、精神面にも良い影響が及ぶことが分かりました」。ただし「若く見えることを追求し過ぎず、自身が受け入れられる程度の老化は人生の履歴と捉えること」が重要だそう。加齢現象であるシミ、シワの治療で代表的なのはそれぞれレーザー、ボトックス注入治療ですが、根岸医師のカウセリングでは「どのシミを取る? シワはどの程度残す?」という問いもあり、見た目のエイジングマネジメントの相談も可能です。また、光治療に分類される医療用IPL機器は、日本に導入された2000年から注目し、信頼しているとのこと。「設定変更で複数の効果が得られ、肌の赤み、シミ、肌を整えることも可能です。IPL治療を長年続けている患者さんの肌は若々しいと感じていましたが、スタンフォード大学の論文で、“IPL治療を受けた皮膚は若い皮膚の状態に近づいていた”と発表されていて、確かなことだったと嬉しくなりました」。適切な頻度で無理なく続ける美容治療の“経年効果”が明らかになってきています。

白が基調の明るい院内(写真上)。機器を使用する肌深部までの診断、カウンセリング、治療までを根岸院長が行っています。院長自身が敏感肌だった経験から、肌に炎症の兆候がないかどうかを慎重に観察。 Hearst Owned

【藤本幸弘医師】複数の照射機器を緻密に組み合わせ痛みに配慮しダウンタイムの少ない治療を

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<Profile>
藤本幸弘(ふじもとたかひろ)/クリニックF院長

医師。医学博士、工学博士、薬学博士、MBA(経営学修士)、DBA(経営管理学博士)。米国レーザー医学会(ASLMS)認定専門医。欧州皮膚科泌尿器専門医。慶應義塾大学経済学部中退、信州大学医学部医学科卒業。東京大学大学院医学系研究科医学博士課程修了、博士(医学)など。

クリニックの個性が分かるのが治療メニュー。藤本医師はレーザーなどの機械治療のみを行っており、その理由を尋ねると、「痛い施術が嫌いな人が多いですから。また痛みが続くダウンタイムもできるだけ短くしたいからです」。さらに、「その人らしさをなるべく消さないように、けれど患者さまの願望には応えたいと心掛けてます。若い印象を望まれる場合はやり過ぎないように。簡単ではありませんが、老化にブレーキをかけるイメージです」。この治療方針にかなうのが照射機器だったというわけです。藤本医師はレーザーにほれ込み工学博士の学位も取得するほど。構造や効果のメカニズムを理解することで、症状に合わせた機器や設定が可能になるそうです。そして近年は新たな働きが分かったそう。「レーザー治療でハリや弾力が良くなることは経験者の方なら実感されていますが、米国スタンフォード大学医学部皮膚科の論文で“若かった頃に発現した、タンパク質をつくり出す遺伝子を再発現させる”という可能性が示唆されました。肌の力が引き出されることは希望になりますね!」と嬉しそうです。そして「人は動くから、きれいという印象には肌の美しさはもちろん、豊かな表情や笑顔が欠かせません」とも。レーザー治療で笑顔が増えそうです。大人の肌でもコラーゲンにアプローチできる可能性があることは、美容医療の確かな進化を感じさせます。

動線がスムーズな居心地のいいクリニック(写真上)。カウンセリング、治療は全て個室で。個々の肌の状態に合わせて治療機器が複数提案されます。パワーや照射の仕方も細かく設定され、データを残すという緻密な管理体制が、一人一人に寄り添う藤本医師の治療を支えています。 Hearst Owned

初出:リシェスNo.55 2026年3月27日発売
EDITING:MIHO KASHIWABARA

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