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「切れ痔になったのかも」“お尻の痛み”を放置→数ヶ月後、突然の高熱と激痛が襲い…20代男性に宣告された“恐ろしい難病”

  • 2026.7.21
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

みなさまこんにちは。周術期管理において、あらゆる病気をお持ちの患者様を日々安全にお守りしている麻酔科専門医の松岡雄治です。

「便秘気味だし、切れ痔になったのかも。ちょっとお尻が痛いけれど、まあよくあることだろう」。学業や仕事に忙しいGさん(20代男性)。お尻の痛みを人知れず感じながらも、病院に行くのも恥ずかしくて市販の痔の軟膏を塗り、じっと我慢してやり過ごしていました。
しかしある日、突如としてお尻の横から熱い膿が溢れ出し、猛烈な高熱と激痛でまともに立ち上がることすらできなくなって救急搬送される事態に。
彼を襲った病気の名は「クローン病」、消化管全体に病変が及ぶ、完治させる治療法が現時点ではない深刻な指定難病でした。
現在は免疫を抑える薬によって炎症は治まり、普通の若者と変わらない生活を取り戻しつつありますが、「あの時、恥ずかしがらずにもっと早く受診していれば、あんなに痛くて怖い思いはしなかったのに」と、深い後悔を口にしています。
なぜ、ありふれた油断がこれほどの悲劇を招いてしまったのでしょうか。今回は、見逃してはいけない「お尻のSOS」について解説します。

クローン病は消化管全体を襲う「免疫の暴走と飛び石の潰瘍」

なぜ「ただの切れ痔」という日常の油断が、のちに深刻な事態へと発展するのでしょうか。お尻からお腹の奥深くへ進行するこの病気のメカニズムは以下の通りです。

【腸管全体が破壊されるフロー】

免疫システムの暴走:本来は体を守るはずの免疫細胞に何らかの異変が生じ、自らの消化管を攻撃し始めます。お口から肛門に至るまでの全消化管が「炎症の標的」となってしまいます。

飛び石状の深い潰瘍:炎症は連続せず、健康な粘膜を挟んで「飛び石のように」広がり、腸の壁を貫くほどの深い「潰瘍」病変などを形成します。

腸管全体の破壊:炎症が腸の壁を突き抜けると、腸と他の臓器、あるいは腸とお尻の皮膚を繋ぐ「瘻孔(ろうこう)」という異常なトンネルが作られてしまいます。このトンネルを細菌が通ってお尻の周りに感染を広げ、大量の膿を溜めてしまうのです。

「ただの切れ痔」と「腸の難病」の危険な境界線

「お尻の悩みなんて恥ずかしくて、絶対に相談できない」「市販の薬を塗って便秘が治れば、そのうち痔も消えるだろう」。忙しい日々の中でご自身の小さな不調をやり過ごしてしまうのは、無理もありません。

しかし、本件を通してお伝えしたい「危険な境界線」があります。実はクローン病が発症するピークは、10代後半から20代の若い世代にあります。そして、腹痛や下痢といった分かりやすいお腹の症状が全くない段階でも、お尻の症状(痔ろうや、治りにくい切れ痔)だけが先行して現れるケースが臨床では非常に多いのです。

市販の薬でごまかしながら放置する習慣は、お腹の奥で静かに進行する「腸全体のダメージ」を見落とし、ある日突然、腸閉塞や大出血を招く罠となります。クローン病からくる痔は通常の痔とは異なり、肛門の周りの皮膚が腫れて特徴的なコブができたり、いくつかできたり、傷口が深くえぐれて全く治らなかったりします。

手遅れになる前に、確認すべき3つのサイン

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

ただの切れ痔と、お腹の奥深くで免疫が暴走しているクローン病を見分けるために、以下の3つの初期サインをご確認ください。

1. 市販の痔の薬を使い続けても「切れ痔の痛みが数ヶ月も続く」

通常の切れ痔は数週間で自然に治りますが、クローン病による痔は、市販薬ではなかなか傷が塞がらないことが多いです。

2. 肛門の横にぽこっとした腫れができ、「熱い膿(うみ)が出る」

肛門の周囲に細菌が溜まり、膿の塊(肛門周囲膿瘍)を作っている状態です。放置すると、腸とお尻の皮膚を繋ぐ、膿のトンネル(痔ろう)へと進行します。

3. お尻が痛むだけでなく、理由もないのに「じわじわと体重が減る」

下痢や腹痛がなくても、目に見えない小腸などで慢性的な炎症が続いている警告です。栄養の吸収能力が低下し、全身の栄養障害が進んでいきます。

お尻の激痛と「高熱」が出たら、迷わず救急外来へ!

単なる痔ではないかもしれないと聞いて、「まさかお尻の悩みが、お腹の難病だなんて信じたくない」そうやって怖くなって受診を先延ばしにしてしまうお気持ちもわかります。

しかし、現在では、免疫の暴走を抑える優れた薬もあり、炎症を劇的に鎮めて、手術をすることなく普通の日常を十分に謳歌できるケースが多くなっています。クローン病の適切な治療を行えば、現在は多くの人が手術を回避し、普通の日常を十分に謳歌できるようになっています。

ただし、もし「お尻の激痛」に加えて「38度以上の高熱」が出たり、お尻から膿が溢れ出したりした場合は、全身に細菌が回る「敗血症」などを起こしている可能性がある超緊急事態です。翌朝まで我慢したりせず、すぐに救急外来を受診するか、救急車を呼んでください。そこまでの急変がなくとも、市販薬で治らないお尻の違和感がある場合は、恥ずかしがらずに早めに消化器内科や大腸肛門科を受診しましょう。


監修者・執筆:松岡 雄治
総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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