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「非課税枠だから安心」孫の口座に“毎年100万円”を振り込み→10年後、税務署から届く“思わぬ通知”【お金のプロが解説】

  • 2026.7.10
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

孫の将来を想い、子どもや孫の名義口座へコツコツとお金を貯めている方も多いのではないでしょうか。「年間110万円の非課税枠だから安心」と思っているなら注意が必要です。

実は、そうした善意の援助にこそ、思わぬ税務リスクが潜んでいます。いざという時に税務署から「贈与と認められない」と指摘され、多額の税金を課されるケースが後を絶ちません。

なぜ「名義を変えておけば大丈夫」という理屈が通用しないのか、どうすれば安全に財産を残せるのか。今回は孫への贈与で陥りがちな落とし穴と正しい防衛策について、FPの柴田充輝さんに詳しく解説していただきました。

税務署が目を光らせる「名義預金」の罠とは?

---孫のために口座を作り、毎年110万円以下の範囲でコツコツ積み立てをしています。それでも税務署から指摘を受けることがあるのでしょうか?

柴田 充輝さん:

「税務署から指摘を受けるトラブルの多くは、非課税制度の誤解よりも「贈与の実態が伴っていない」という根本的な問題に起因しています。その代表格が「名義預金」の問題です。

名義預金とは、孫の名義で口座を開設していても、通帳・印鑑・キャッシュカードを祖父母本人が管理し、孫がその口座の存在すら知らないような状態の預金を指します。たとえば、父が「将来渡すつもりで」子ども名義の口座を作り、毎年コツコツお金を入れていたとします。しかし通帳や暗証番号は父が管理し、子どもはその口座を知らない、または自由に使えない状態です。この場合、名義は子どもでも中身は実質「父のお金」とみなされます。これが名義預金です。

贈与とは本来「あげます」「もらいます」という双方の意思が合致して初めて成立します。「子どもの名前にしておけば大丈夫」は通用しないので注意が必要です。

孫に内緒で口座に積み立て、通帳や印鑑なども祖父母が管理している場合は、贈与の実態がないと判断され、祖父母が亡くなった際に相続財産として扱われる可能性があります。

税務調査では、通帳や印鑑の管理状況、口座の利用実態などをもとに、贈与が成立していたかどうかが総合的に判断されることがあります。

さらに、贈与契約書を作成していない、あるいは祖父母が孫に代わって勝手に贈与税の申告書を提出しているケースも、贈与の成立自体を否定される要因になります。形式だけ整えても管理実態が伴わなければ、税務署は名義預金と判断するということを理解しておくことが大切です。」

「よかれと思って」が仇に? 定期贈与と学費送金のリスク

---他にも、祖父母が孫へ援助する際に、知らずにやってしまいがちなNG行動はありますか?

柴田 充輝さん:

「善意で行いがちな援助方法にも、思わぬ税務リスクが潜んでいます。まず注意すべきは、毎年同じ時期に同じ金額を孫名義の口座に振り込み続けるケースです。

たとえば「毎年4月1日に、孫に100万円ずつ10年間」振り込んでいると、税務署から「最初から合計1,000万円を贈与する約束があり、分割して渡しているだけ」と判断され、通知が届く可能性があります。これが「定期贈与」と呼ばれるもので、最初から一定額を分割して贈与する合意があったと認定された場合には、総額を基に贈与税の課税対象となる可能性があります。

年間110万円以下であっても、贈与の実態や契約内容によっては、意図した非課税の取り扱いが認められない場合があります。

また、学費を親の口座にまとめて送金する方法にも注意が必要です。

教育費として通常必要と認められる都度支払う場合は、一定の要件のもとで贈与税が非課税となることがあります。一方、将来分をまとめて渡した場合は、教育費として非課税の対象と認められない可能性があります。

学費は入学金や授業料の支払時期に合わせて、その都度必要額を渡すことが原則です。「まとめて渡す方が便利」という発想が、かえってリスクを生むことを知っておいてください。」

今日からできる!税務署に疑われない正しい贈与のステップ

---では、税務リスクを回避して、安全に確実に財産を渡すためには、具体的にどのような対策をすればよいのでしょうか?

柴田 充輝さん:

「最初の一歩として、今日からでもできる効果的な対策は「贈与契約書を毎回作成する」ことです。難しく考える必要はなく、日付・贈与者名・受贈者名・金額・署名捺印があれば十分です。孫が未成年の場合は親権者が代理人として署名します。

贈与契約書は、その都度贈与の意思があったことを示す資料の一つになります。ただし、契約書だけでなく、実際の管理状況なども含めて総合的に判断されます。

次に、お金の受け渡しは必ず銀行振込で行い、記録を残してください。手渡しでは客観的な証拠が残りません。

振込先は本人が日常的に使っている口座が理想で、名義預金と認定されるリスクが極めて低くなります。通帳・印鑑・キャッシュカードは必ず本人(未成年なら親権者)に管理させてください。

加えて、毎年独立した贈与として双方の意思を確認し、その都度必要に応じて贈与契約書を作成するなど、贈与の実態を整えておくことが重要です。

そしてもう一つ大切なのが、最新の税制改正の動向を把握しておくことです。これまで使えた制度が使えなくなれば、贈与の方法そのものを見直す必要があります。税制は毎年のように改正されますので、「以前聞いた知識」のまま行動するのはリスクが伴う点も押さえておきましょう。」

「正しい知識」が大切な家族と財産を守るカギになる

孫の将来を想う「よかれと思って」の援助が、予期せぬ税務トラブルを招いてしまうリスクについてお伝えしました。

せっかくの財産を無駄なく引き継ぐためには、「贈与契約書を必要に応じて作成する」「銀行振込など記録が残る方法で行う」「通帳や印鑑は本人または親権者が適切に管理する」といった形で、贈与の実態を整えておくことが大切です。

また、税制は常に変化しています。「昔聞いたから大丈夫」と過信せず、最新のルールを把握して適切に対応していくことが、大切な家族への最高の贈り物になるはずです。


監修者:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1200記事以上の執筆実績あり。保有資格は1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、社会保険労務士、行政書士、宅地建物取引主任士など。

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