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「キャリアアップのため」“30万の講座”を申し込み→6ヶ月後、同僚と話していると…判明した事実に50代男性が“後悔したワケ”

  • 2026.7.30
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPの柴田です。

「自分への投資は惜しまない」——かっこいい言葉ですが、惜しまなさすぎて、もらえるはずのお金まで惜しまなかった方がいます。

今回は、自己投資を積極的に行うAさん(45歳・男性)のお話です。

一念発起の30万円

メーカー勤務のAさんは、キャリアアップを目指して一念発起。

仕事に関わる国家資格の対策講座に申し込みました。受講料は約30万円。決して安くはありませんが、「自分への投資に、会社や誰かを頼るのは甘えだ」という信念のもと、全額を自腹でポンと支払いました。

実はAさんとは以前から相談に応じており、筆者からは「金融投資だけでなく、収入を増やすために自己投資も行いましょう」と伝えていました。

アドバイスを真剣に受け取ってくれたため、筆者としても非常に喜ばしい気分です。猛勉強の末、見事に資格を取得。昇進の話も進み、めでたしめでたし……のはずでした。

昼休みの雑談で崩れ落ちる

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

事件は資格取得から半年後、昼休みの雑談中に起きたそうです。同じ講座を受け始めた同僚が、何気なくこう言ったのです。

「あの講座、教育訓練給付の対象だから、修了したら受講料の一部が戻ってくるんですよね」。

Aさん、箸が止まりました。「……戻ってくる? 何の話?」聞けば、雇用保険に一定期間入っている人が厚生労働大臣指定の講座を修了すると、受講料の一部がハローワークから支給される「教育訓練給付制度」というものがあるとのこと。会社員として雇用保険料を納めていれば、多くの人が対象になりうる制度です。

支給率は講座の種類によって変わります。一般的な講座なら受講料の20%(上限10万円)。キャリアアップ効果の高い講座として指定された「特定一般教育訓練」なら40%※、看護師や保育士など専門性の高い資格を目指す「専門実践教育訓練」なら、条件を満たせば最大で受講料の8割が支給されるものもあります。

Aさんの講座は、このうち40%が支給される「特定一般教育訓練」の指定講座。手続きしていれば約12万円が戻っていた計算でした。30万円の出費が、実質18万円ほどで済んだかもしれないのです。

※資格取得等をし、かつ訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合は教育訓練経費の50%(令和6年10月以降に開講する講座の場合)。

「後から申請」はできなかった

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

慌てて調べたAさんでしたが、時すでに遅し。ここに、この制度で一番誤解されやすいポイントがあります。教育訓練給付は、講座の種類によって手続きのルールがまったく違うのです。

支給率20%の「一般教育訓練」であれば、事前の手続きは不要です。修了後にハローワークへ申請すれば給付を受けられるため、「後から知った」場合でも間に合う余地があります。

ところが、Aさんの講座が該当する「特定一般教育訓練」と、支給率の高い「専門実践教育訓練」は違います。この2つは、受講を始める前に「訓練前キャリアコンサルティング」を受けることが必須とされています。

これは、訓練対応キャリアコンサルタントとの面談を通じて職務経歴の棚卸しを行い、講座が自身のキャリア形成にどう役立つかを整理して「ジョブ・カード」の交付を受ける手続きです。そのうえで、原則として受講開始日の2週間前までに、ジョブ・カードなどを添えてハローワークで受給資格確認を済ませておかなければなりません。

つまり特定一般・専門実践では、この事前手続きを忘れると、どれだけ真面目に受講・修了しても給付金は受け取れないのです。すでに修了していたAさんは、いまさら「訓練前」のキャリアコンサルティングを受けることはできず、断念することになりました。

さらに切ないことに、講座のパンフレットの隅には「教育訓練給付制度 厚生労働大臣指定講座」としっかり書いてあったのです。Aさんいわく「読んでいたのに、自分には関係ないと思ってた…」。この気持ち、身に覚えのある方も多いのではないでしょうか。

思い込みが一番高くつく

教育訓練給付制度は、会社員の学び直しを応援するための、国からの「手当」です。雇用保険料を納めてきた人の正当な権利です。

筆者がハローワークで勤務していたときも、年間で数人はAさんのような「制度を知らず先に受講し、後になって相談しに来るケース」がありました。残念ながら、特定一般や専門実践の講座では事前手続きが受給の条件のため、後になってから相談しても、ハローワークとしては対処のしようがありません。

これから講座や資格取得を考えている方は、申し込む前に厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」で講座名を検索してみてください。対象かどうかに加えて、「一般」「特定一般」「専門実践」のどの区分かが一発でわかります。特定一般・専門実践に該当する場合は、訓練前キャリアコンサルティングの予約から受給資格確認まで時間がかかるため、余裕を持って動きましょう。

また、多くの講座では受講開始前や受講中に手続きや書類が必要になるため、スクールの窓口で「教育訓練給付を使いたいのですが」と最初に伝えておくのが確実です。ポイントは「払う前に調べる」こと。修了後に知っても、Aさんのように間に合わないことがあります。

まとめ

なお、Aさんには後日談があります。悔しさをバネに、翌年もう一つ上位の資格講座に挑戦。今度はしっかり事前に調べ、申請書類を家宝のように保管し、無事に給付金を受け取りました。「給付金の申請手続きが、人生で一番真剣に取り組んだ事務作業でした」とのことです。

自分への投資は素晴らしいものの、戻ってくるお金を取り逃すのは、投資ではなくただの「払いすぎ」です。学ぶ意欲に、ほんの少しの「調べる手間」を添えてあげてください。


出典:厚生労働省「教育訓練制度」

出典:厚生労働省「教育訓練給付金のご案内」

執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,200記事以上の執筆実績あり。

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