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70歳を迎えた男性→「医療費の負担が2割になる」と喜んでいたが…2か月後、病院で渡された請求書を見て“絶句したワケ”

  • 2026.7.30
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、家計・資産形成・相続など、お金に関するご相談をお受けしている、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

「70歳になれば、医療費の窓口負担は3割から2割になる」。そう考え、老後の医療費はこれまでより抑えられると思っている方もいるのではないでしょうか。

たしかに、70歳から74歳までの窓口負担は原則2割です。しかし、一定の所得がある場合は「現役並み所得者」として3割負担が続き、高額療養費の上限額も一般所得者とは異なります。

今回は、70歳を迎えて医療費が軽くなると思っていた夫婦が、入院をきっかけに所得区分による負担の違いを知った事例から、確認しておきたいポイントを見ていきます。

「これからは2割」と安心…70歳から2か月後の入院で知ったこと

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

今回の事例は、70歳のTさん(仮名)と72歳の妻です。

Tさんは、定年後も再雇用で働いていました。月の総支給額は約30万円、年間の賞与は約60万円です。公的年金約200万円を合わせた年間収入は約620万円でした。

妻はTさんの健康保険の被扶養者で、年間約120万円の年金を受け取っています。

Tさんが70歳を迎えたのは2026年2月です。70歳から窓口負担が原則2割になると知り、「通院が増えても、以前より負担は軽くなるだろう」と考えていました。

70歳を迎えた際に届いた高齢受給者証も、負担割合まで詳しく確認していませんでした。原則どおり、自分も2割になると思い込んでいたためです。

夫婦で家計を見直した際も、医療費は月1万5,000円ほどで計算。病気に備えていた預金の一部を、自宅の修繕や夫婦旅行に使うことも話し合っていたそうです。

ところが、約2か月後の2026年4月、Tさんは胸の痛みを感じて病院を受診します。

検査の結果、狭心症と診断され、冠動脈のカテーテル治療を受けることになりました。入院は5日間で、保険診療の総医療費は約100万円です。

夫婦は、窓口負担が2割なら20万円、高額療養費制度を利用すれば、最終的な負担は一般所得者の上限である5万7,600円程度になると考えていました。

しかし、入院手続きの際に案内された負担割合は3割でした。

Tさんの標準報酬月額は30万円で、現役並み所得者の基準となる28万円以上に該当していたためです。

本人と70歳以上の被扶養者の年間収入合計が520万円未満であれば、申請によって2割負担になることがあります。

高齢受給者の基準収入額の判定では、1月から8月までの受診は前々年の収入を用います。そのため、2026年4月の受診では、2024年の収入が判定対象です。

Tさん夫婦は、2024年の収入も合計約740万円だったため、この基準を上回っていました。

Tさんは、オンライン資格確認に対応した医療機関でマイナ保険証を利用し、限度額情報の表示に同意しました。そのため、今回の入院にかかる保険診療分について、窓口で30万円全額を支払う必要はありませんでした。

Tさんの所得区分は「現役並み所得Ⅰ」です。2026年4月診療分の自己負担限度額は、次の式で計算されます。

  • 8万100円+(総医療費-26万7,000円)×1%

総医療費が100万円の場合、上限額は8万7,430円です。一般所得者の上限である5万7,600円と比べると、2万9,830円の違いがありました。

このほか、入院中の食事代や病衣を借りた場合の費用など、高額療養費の対象にならない支払いも加わります。

Tさん夫婦にとって意外だったのは、70歳になれば誰でも同じように負担が軽くなるわけではなかったことです。

退院後にFPへ相談し、年齢だけでなく、標準報酬月額や判定対象となる年の収入によって、負担割合や上限額が変わることを知りました。

その後、夫婦は医療費の予備費を年間20万円から40万円へ増額。自宅の修繕の一部を翌年に回し、急な入院に備える預金を残すことにしたそうです。

※プライバシー保護のため、内容の一部を調整しています。

同じ70代でも「2割」とは限らない

70歳から74歳までの窓口負担は原則2割ですが、現役並み所得者は3割です。

高額療養費の上限額も一律ではありません。一般所得者、現役並み所得者、住民税非課税世帯などで異なり、現役並み所得者も標準報酬月額に応じてⅠからⅢまでの3段階に分けられています。

特に、退職後も働いている方や、給与と年金の両方を受け取っている方は、「70歳になったから2割だろう」と考えるだけでなく、実際の負担割合と高額療養費の上限額を確認しておくことが大切です。

「年齢」と「所得区分」を一緒に確認する

70歳を迎える前後は、マイナポータルや高齢受給者証などで、自分の窓口負担割合を確認しておきましょう。

入院や手術の予定がある場合は、加入先の健康保険に所得区分と自己負担限度額を確認すると、必要な資金を見積もりやすくなります。

高額療養費の対象となるのは保険診療分です。入院中の食事代や差額ベッド代なども考え、少し余裕を持って医療費を準備しておくとよいでしょう。

※なお、2026年7月診療分までの現行制度では、基準日時点で一般所得者区分または低所得者区分に該当する70歳以上の方について、一般所得者または低所得者であった月の個人ごとの外来自己負担額を、8月から翌年7月まで合算し、14万4,000円を上限とする「外来年間合算」があります。

厚生労働省では、2026年8月診療分から、高額療養費の月額上限を見直すとともに、外来・入院を含む保険診療の自己負担について、所得区分に応じた年間上限を設ける予定としています。

具体的な内容については、今後必要な法令の整備が行われる予定です。実際に医療を受ける時点の負担割合や上限額は、加入先の健康保険に確認しておくとよいでしょう。


執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、マネーシップス代表。累計1,200件以上の相談対応に加え、金融記事の制作・校正・監修の対応を行っています。専門は「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」。資産運用やライフプラン設計では、分散投資の考え方と人の心理を踏まえた行動設計をもとにサポートしています。
保有資格:証券外務員一種、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、金融リテラシー検定

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