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『退職金2,200万』を受け取った60代男性→「預金はもったいない」1,000万をNISAに回すが‥3年後、通帳を見て“青ざめたワケ”

  • 2026.7.9
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、家計・資産形成・相続など、お金に関するご相談をお受けしている、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

退職金を受け取ったあと、「このまま預金に置いておくだけでよいのか」と考える方は少なくありません。物価上昇や老後期間の長期化を考えると、NISAを活用して資産を増やしたいと感じるのは自然なことです。

ただ、老後資金は増やすだけでなく、必要なときに使える形で残しておくことも大切です。退職直後は余裕があるように見えても、生活費の不足、医療費、住宅修繕費などが重なると、数年後に「どの資産を売って生活費にするか」で悩むことがあります。

今回は、退職金2,200万円のうち1,000万円を数年かけてNISAに回した60代男性の事例から、退職金を投資に回す前に考えておきたいポイントを見ていきます。

「預金はもったいない」と退職金1,000万円を数年かけてNISAへ

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

65歳で会社を退職したAさん(仮名)は、退職金として2,200万円を受け取りました。住宅ローンは完済済みで、妻と2人暮らし。子どもも独立しており、「これで老後は安心できる」と考えていました。

夫婦の公的年金は月約22万円。一方、食費、光熱費、通信費、保険料、車の維持費などを合わせると、生活費は月約28万円でした。毎月6万円、年間72万円ほど不足する計算です。

それでもAさんは、「退職金があるから、少しずつ取り崩せば大丈夫」と考えていました。さらに、銀行に預けても大きく増えないことや、物価上昇で生活費が上がっていることも気になっていました。

そこで、Aさんは退職金のうち1,000万円を、数年かけてNISA口座で運用することにしました。投資信託を中心に700万円、高配当株に300万円を振り分ける計画です。投資信託では長期的な値上がりを期待し、高配当株では将来的な配当も期待していました。残りの資金は預金に置いていたため、当初は大きな不安はありませんでした。

ところが、退職後の支出は想定より早く増えていきます。車の買い替えで180万円、浴室と給湯器の修繕で120万円、子どもへの住宅購入援助で100万円。さらに固定資産税、火災保険料、車検代、家電の買い替えも続きました。

現役時代ならボーナスで補えた支出も、退職後は預金から出すしかありません。毎月の生活費不足も重なり、3年後には預金残高が約520万円まで減っていたそうです。

非課税で増やすはずが…生活費に使うときに悩んだ“売り時”

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

Aさんは、NISA口座の資産を一部売却して生活費に回そうと考えます。しかし、その時期は相場が下落しており、投資信託の一部は購入時より評価額が下がっていました。高配当株も一定の配当はあったものの、株価は大きく上がっていません。

Aさんは、「損が出ている投資信託を売るべきか」「配当が出ている株を売るのはもったいないのではないか」「相場が戻るまで待つべきか」と迷うようになりました。

NISAでは、投資で得た利益が非課税になるメリットがあります。一方で、売却損が出ても、他の口座の利益と相殺できるわけではありません。非課税で増やすつもりだったNISA資産が、いざ生活費に使おうとすると、簡単には売りづらいお金になっていたのです。

Aさんの問題は、NISAを使ったこと自体ではありません。退職金を「使うお金」と「増やすお金」に分ける前に、大きな金額を投資へ回す計画を立てたことです。

退職後は年金中心の生活になります。毎月の生活費不足だけでなく、医療費、住宅修繕費、介護費、家電の買い替えなど、現金で対応したい支出も増えます。

特に注意したいのは次の3点です。

  • 数年以内に使う予定のお金まで投資に回さない
  • 生活費の不足分を何年分、現金で持つか決めておく
  • 相場が悪い時期に売らずに済む余裕を残す

必要な時期が近いお金まで投資に回すと、売りたくない時期に売らざるを得ないことがあります。

退職金は「増やすお金」と「使うお金」を分ける

退職金を活用するときは、最初に「いくら投資するか」ではなく、「いつ、何に、いくら使うか」を整理することが大切です。

たとえば、年金収入が月22万円、生活費が月28万円なら、毎月6万円、年間72万円の不足です。5年分なら360万円、10年分なら720万円が生活費の補てんに必要になります。

さらに、医療費、介護費、住宅修繕費、車の買い替えなどを考えると、すぐ使える現金も残しておく必要があります。そのうえで、当面使わないお金をNISAで運用する方が、老後資金としては安定しやすくなります。

退職金は、人生後半の生活を支える原資です。「非課税で増やせるから正解」と考えるのではなく、預貯金、年金収入、投資資産の役割を分けることが重要です。

老後資金では、増やす力だけでなく、必要なときに無理なく使える形にしておくことが欠かせません。退職金をNISAに回す場合も、まずは生活費と予備費を確保し、その残りを長期運用に回す順番で考えたいところです。

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