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『マッドマックス』超え?この夏最も刺激的な映画体験となるであろうオリベル・ラシェ最新作『シラート』が公開

  • 2026.6.11
オリベル・ラシェのポートレート

スペイン映画の今を、君は知っているか?

今世界が注目するスペインの新しい才能オリベル・ラシェ監督の『シラート』がいよいよ公開される。『マッドマックス』を超える映像体験とも言われるが、監督がこの黙示録的な映画を構想したのは『怒りのデスロード』の公開よりも早かったという。

オリベル・ラシェのポートレート

「不思議なことに観ても動揺はしませんでした。社会の恐怖を描いている点では、むしろ仲間だと思いましたね。でも自分としては、『シラート』の方がもっと社会的でもっと真実を突いた作品だと思っているんです。日本のみなさんにも、この映画はぜひとも劇場で観てほしいですね」

レイブというカルチャーを魂の旅に重ね合わせる

この夏最も刺激的な映画体験となるであろう、オリベル・ラシェ監督の『シラート』。

砂漠で行われるレイブパーティに参加すると言って家を出たまま失踪した娘。彼女を捜しにモロッコまでやってきた父と息子が、車で移動を続けるパーティの主催者たちとともに捜索の旅に出るのだが、その果てに彼らを待ち受けていたものとは……。終末的な世界を舞台に描いた、この予測不可能で極めて独創的な映画は、どのようにして生まれたのだろう。改めて監督に話を聞いた。

「2006年からモロッコのタンジールに住むようになったんですが、そこで最初の長編映画を作った後ふと思い浮かんだのが、砂漠を走る一台のトラックのイメージでした。それから、レイブパーティをしながら砂漠を移動していくグループがあることを知って」

オリベル・ラシェのポートレート

この映画の出演者は、セルジ・ロペス以外、ほとんどがプロではない俳優たちだが、実は本物のレイバーも出ているという。

「私たちは、どこか自分たちの弱さや、身体的な傷も心の傷も隠しながら生きているものですが、彼らはそれを表に出すんです。私もこの映画を作ることで、自分の傷とも向き合えるようになったと思います」

それにしても冒頭のレイブシーンは強烈だ。腹にズシンと響いてくるようなビートの重低音。その優れたサウンドデザインは、アカデミー賞の音響賞にもノミネートされたほどだ。そして、映画の後半、音楽はノンビートのアンビエントに変わっていく。

「テクノのビートは心臓の鼓動と同期しますよね。そこからトランス状態に入っていく。でも、そうなった後は、キックを入れる必要はなくなります。だから、この映画は風景とともに音楽も変化していく。そうやって、あの後半の苛烈なシーンに、心と体が備えることになります。『シラート』は、物理的な旅と、形而上学的な内面の魂の旅が並行して進んでいく映画なんです」

映画『シラート』の場面写真
ペドロ・アルモドバルのプロデュースによるスペインの新鋭オリベル・ラシェの4作目の長編映画。主演にセルジ・ロペス。テクノ界の鬼才カンディング・レイによる音楽も話題に。6月5日、新宿ピカデリーほかで全国公開。©2025 LOS DESERTORES FILMS, A.I.E., TELEFÓNICA AUDIOVISUAL DIGITAL, S.L.U.,FILMES DA ERMIDA, S.L., EL DESEO DA, S.L.U., URI FILMS, S.L.,4A4 PRODUCTIONS

profile

Oliver Laxe

オリベル・ラシェ/1982年パリ生まれ。スペインの映画監督。モロッコやスペインのガリシア地方を拠点に、これまで2本の長編映画を撮る。最新作の『シラート』は、昨年のカンヌ国際映画祭で審査員賞など4冠を獲得。ラシェにとっての聖なる三位一体とは、父:ロベール・ブレッソン、子:アッバス・キアロスタミ、聖霊:アンドレイ・タルコフスキーとのこと。

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