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金になるキャラを生まなければ人権なし!? 底辺デザイナーが伝説の営業マンとタッグで挑む、売れる「カワイイ」の作り方【書評】

  • 2026.6.8

【漫画】本編を読む

『カワイイは金なり』(志茂:漫画、ファンシー研究所:原案/ぶんか社)は、「カワイイ」という価値がどのように作られ、どう消費されていくのかを、「生み出す側」であるエンタメ業界から描いたお仕事漫画だ。

主人公・一ノ瀬いちかは、大手キャラクター企業「ラブリル」に勤めるデザイナー。入社2年目ながら、全力で描いたキャラクターはことごとく「ブス」と言われボツにされ、任される仕事は既存の人気キャラ「わたぷぅ」の監修ばかり。クリエイターとしての自信は削られていき、「自分は底辺」と思い込んでいた。

転機となるのは、ラブリル創立30周年を記念したオリジナルキャラクターコンペだ。いちかにとっては無関係なイベントだったが、会社の伝説的な敏腕営業マン・叢雲百矢が「君が欲しい」と迫ってくる。思いがけない形で、ずっと評価されてこなかった自分を必要とする存在が現れたことで、いちかの止まっていた時間が動き出す。

本作は「カワイイは金」という現実を突きつける。今の時代、世の中には無数の「カワイイ」キャラクターがあふれているため、感性だけでは生き残ってビジネスとして成立させることはできない。ターゲット層の分析、競合との差別化、そして「なぜこれが人々に愛されるのか」について徹底的な言語化が必要になる。本作は、そうしたキャラクタービジネスの裏側を描いているのだ。

叢雲のプロデュースのもと、いちかはビジネスとしての「カワイイ」をあらためて学んでいく。挫折ばかりの彼女が、仕事そのものの楽しさに気づいていく過程も見どころだ。そして、叢雲と向き合う中で、いちかはこの先も彼のもとでデザイナーとして働きたいと願うようになる。しかし、その願いは思いがけない形で揺らぐことになり――。

どんな仕事でも、決して楽なものはないだろう。だが、目標を立て、実行し、結果が出たときの喜びは何物にも代えがたい経験だ。いちかと叢雲が「カワイイ」を追い求める姿を見て、明日からの仕事への向き合い方が変わるかもしれない。

文=つぼ子

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