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池松壮亮主演、仲野太賀・岩田剛典ら出演!日本の敗北を予言した頭脳集団の実話『開戦前夜』7月31日公開

  • 2026.6.8

真珠湾攻撃の前に、すでに「日本は必ず負ける」と結論を出していた集団がいたことをご存じだろうか。彼らが見抜いた未来は、原爆投下以外のほぼすべてが現実になった。その史実を、一発の弾丸も飛ばない異色の戦争映画として描いたのが『開戦前夜』だ。2025年8月に放送されたNHKスペシャル『シミュレーション〜昭和16年夏の敗戦〜』のドラマパートを、地上波では放送されなかった未公開シーンを加えた138分の完全版として、2026年7月31日(金)に全国公開される。

主演は池松壮亮さん。仲野太賀さん、岩田剛典さん、佐藤浩市さんら実力派俳優が集結し、監督・脚本・編集を『本心』でも池松さんと組んだ石井裕也さんが務める。

映画『開戦前夜』本ポスタービジュアル
映画『開戦前夜』本ポスタービジュアル

開戦の4カ月前、「日本の敗戦」は予測されていた

舞台は1941年(昭和16年)4月。官僚、軍、民間から次世代を担うエリートが秘密裏に集められ、「総力戦研究所」という組織が作られた。彼らに課せられた任務は、アメリカを中心とした諸外国との戦争の行方を予測することだった。膨大なデータを積み上げ、シミュレーションを繰り返した末にたどり着いた結論が、日本の「圧倒的な敗北」である。

驚くのは、その精度だ。彼らの予測は、原爆投下以外のほぼすべてを的中させていた。そしてこの結論が出されたのは、開戦のおよそ4カ月前のことだった。初めて脚本を読んだ主演の池松壮亮さんは、知らなかった戦前の敗北の歴史に「脈が乱れ、息が詰まり、涙が止まらなかった」と明かしている。

なぜ、若きエリートたちの声はなかったことにされたのか

総力戦研究所は、所長が自由な議論を奨励する風通しのよい組織だったと記録されている。研究生たちが導き出した「日本必敗」という結論は、首相官邸において総理大臣・閣僚・軍人の前で発表された。しかし最後に、報告内容と矛盾する所長の講評が行われたという。

日米の国力差は、当時の政府や軍部の一部も正確に把握していた。それでも、その事実から導かれる結論を責任を持って口にし、身を挺して戦争を止めることは、限りなく難しかった。正しいとわかっていても、言えない――本作が描くのは、その時代の「空気」だ。

仲野太賀さんは、彼らが対峙していたのは敵国以上に「抗うことのできない時代の奔流や同調圧力」だったのではないかと語る。戦後80年を経て社会が不安定さを増す今、本作が描く不穏さは「決して遠い過去の出来事とは思えない」という。職場で、学校で、SNSで、あるいはニュースの向こう側で、似た息苦しさを覚える人も少なくないはずだ。

池松壮亮、仲野太賀、岩田剛典…豪華キャストが顔をそろえた「模擬内閣」

池松壮亮さんが演じる宇治田洋一。産業組合中央金庫(現・農林中金)の調査課長で、模擬内閣の「内閣総理大臣」を担う
池松壮亮さんが演じる宇治田洋一。産業組合中央金庫(現・農林中金)の調査課長で、模擬内閣の「内閣総理大臣」を担う

総力戦研究所の研究生たちは、本物の閣僚さながらに役割を分担した「模擬内閣」を組み、議論を戦わせる。産業組合中央金庫(現・農林中金)の調査課長・宇治田洋一を演じる池松壮亮さんが内閣総理大臣を、同盟通信社の政治部記者・樺島茂雄を演じる仲野太賀さんが情報局総裁を担う。さらに海軍少佐・村井和正を演じる岩田剛典さんが海軍大臣、陸軍少佐・高城源一を演じる中村蒼さんが陸軍大臣、企画院の事務官・峯岸草一を演じる三浦貴大さんが企画院総裁と、各界から集められた精鋭がそれぞれの大臣になりきる。

仲野太賀さんが演じる同盟通信社政治部記者・樺島茂雄。模擬内閣では「内閣書記官長兼情報局総裁」を務める
仲野太賀さんが演じる同盟通信社政治部記者・樺島茂雄。模擬内閣では「内閣書記官長兼情報局総裁」を務める
岩田剛典さんが演じる海軍少佐・村井和正。岩田さんの祖父は予科練に所属していたという
岩田剛典さんが演じる海軍少佐・村井和正。岩田さんの祖父は予科練に所属していたという

一方、研究生たちと対照をなす、陸軍大臣、のちに総理大臣となる東條英機を演じるのは佐藤浩市さん。陸軍少将役の國村隼さん、陸軍省軍務局の高級課員を演じる江口洋介さん、陸軍中佐役の佐藤隆太さんと、日本映画界を代表する顔ぶれが脇を固める。

佐藤浩市さんが東條英機を演じる
佐藤浩市さんが東條英機を演じる
江口洋介さんが演じる陸軍中佐・西村良穂
江口洋介さんが演じる陸軍中佐・西村良穂

「あの空気は、今も存在する」原案者・監督・キャストが語る現代への警鐘

本作の原案は、猪瀬直樹さんのノンフィクション『昭和16年夏の敗戦』。猪瀬さんはかつて、研究所の第一期生が70代後半になっていたころに直接会い、日本が「空気」に負けた生々しい瞬間を聞き取ったという。「空気ではなく、ファクトとロジックによる意思決定の重要性をこれからも訴えていきたい。戦後80年を超え、迷走する日本の未来のために」という言葉には、当事者に取材を重ねた者ならではの重みがある。

石井監督も「日米開戦直前に漂っていた空気は、確実に引き継がれて現代にも存在する」と語り、日本を代表する俳優やスタッフとともに今この作品を作れたことに、大きな意義を感じているという。

東條英機を演じた佐藤浩市さんの言葉は、とりわけ重い。国に阿(おもね)る新聞、それに踊らされてアメリカ叩きに沸く民、そして世論を看過できずにチキンレースへと突き進む国。佐藤さんは、この三つが重なる「不幸のトリニティ」が生まれる瞬間こそが開戦前夜なのだとし、「日本は未来永劫、戦後でなければならない」と結んでいる。

なぜ日本は、負けるとわかっていた戦いに進んでしまったのか。迷走する時代を生きる今だからこそ、スクリーンでその問いと向き合ってみたい。『開戦前夜』は2026年7月31日(金)より全国公開。

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