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【福島】建築好きが行くべき、フォトジェニックな名建築10

  • 2026.6.3
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福島には、思わず足を止めてしまう建築が多く点在している。美術館や水族館、交流拠点など、その用途はさまざまだが、いずれも土地の風景や人の活動に寄り添いながらつくられ、使われ続けてきた場所だ。

その背景には、震災という出来事もある。被害を受けた建築もあれば、その後に新たな拠点として整備された場所もあり、それぞれの役割が更新されてきた本記事では、建築の意図やそこで体験できることに触れながら、福島各地の建築を10件紹介する。


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福島県立美術館/福島市

1984年に開館した「福島県立美術館」は、福島市のシンボルである信夫山のふもとに位置する。約6万㎡にも及ぶ広大な敷地には芝生や日本庭園、水盤が広がり、周囲をケヤキなどの高木で緑化することで、中心市街地にありながらも外界の喧騒を感じさせない静かな環境をつくり出している。散策や休息の場としても市民に親しまれる存在だ。

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設計は福島県出身の建築家、大高正人。地域の風土に根ざした視点から、信夫山の稜線と呼応するような屋根の構成や、自然と調和するスケール感を丁寧に組み立てている。隣接する図書館とは別の設計者でありながら、外壁や屋根素材を統一することで、一体的な文化施設として成立させている点も特徴的だ。

外観はレンガタイル貼りの壁と金属葺きの屋根を組み合わせ、切妻や寄棟など複数の屋根形状が連なりながら、背後の山並みに溶け込むような穏やかなシルエットを描く。エントランスは家型のボリュームが前方に張り出し、そのまま深い庇となって内部へと誘う構成となっている。

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吹き抜けのエントランスホールは高さ18mの傾斜天井とトップライトによって構成され、上部から降り注ぐ自然光が空間を包み込む。御影石貼の列柱と縦長の開口部が垂直方向のリズムを生み、まるで教会のような静けさとスケール感を生み出している。

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2020年から2021年にかけては大規模改修が行われ、耐震補強や設備更新、展示室のLED化などにより、現代的な鑑賞環境へとアップデートされた。

館内には4400点以上の作品を収蔵し、関根正二と同時代の画家たち、フランス印象派、ベン・シャーンやワイエスら20世紀アメリカ美術、さらに斎藤清の版画コレクションなどが核を成す。展示室は木材を多用した温かみのある構成で、落ち着いた空気の中、作品と静かに向き合うことができる。

福島県立美術館

福島市森合字西養山1

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郡山市立美術館/郡山市

郡山市街から安達太良山までを一望できる緑豊かな丘陵地に建つ「郡山市立美術館」は、1992年に開館。自然の起伏をそのまま生かした敷地構成により、訪れる人を日常からゆるやかに切り離し、風景の中へと導くような立地が特徴だ。

設計を手掛けたのは、「東京都現代美術館」などでも知られる建築家の柳澤孝彦。本美術館は「人と自然が呼応する風景の中に芸術の場をつくる」という彼の思想を体現した代表作のひとつである。

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建築は丘陵の地形に沿うように緩やかな曲線を描き、長いキャノピー(庇)の下を歩いてアプローチする構成が印象的。歩みを進めると石を敷き詰めた広場が現れ、建物と庭が連続するように一体化した風景が広がる。

坂上の駐車場からは建物全体を俯瞰でき、そのランドスケープ的な美しさは撮影ポイントとしても見逃せない。

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館内に入ると、ガラス越しに外の緑を望む約100mにわたるロビーが伸び、木材やコンクリートの質感が穏やかに空間を包み込む。ロビーや普及棟、カフェは全面的に開かれ、四季の移ろいがそのまま室内に流れ込むように設計されている。展示室へと向かう動線そのものが、すでに風景鑑賞の体験となっている点も魅力だ。

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コレクションはターナーやバーン=ジョーンズに代表されるイギリス近代美術を核に、日本近代美術、郡山ゆかりの作品など多彩に構成される。国内でも希少なイギリス美術コレクションは特に評価が高く、企画展とともに、丘の上で静かに芸術と向き合う時間を生み出している。

郡山市立美術館
福島県郡山市安原町字大谷地 130-2

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ビッグパレットふくしま/郡山市

1998年に福島県郡山市・旧国鉄郡山操車場跡地に開館した、県内最大規模のMICE施設。多目的展示ホールと国際会議にも対応するコンベンションホールを備え、産業・文化・交流の拠点として計画された。

設計を手掛けたのは建築家の北川原温。公開コンペにより選定された案で、“都市に浮かぶ水滴”や“インキュベーター(孵化器)”をコンセプトに、猪苗代湖からの水がもたらした都市・郡山の姿を織り込むような構想がなされた。

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外観を特徴づけるのは、楕円形の大屋根「マザールーフ」。有機的なフォルムで建物全体を覆いながら、内部には多様な機能が重層的に配置されている。また、昆虫や鳥の体表に見られる“カウンターシェイディング”の考え方も取り入れ、凹凸のある分節的な外装とすることで、光の当たり方をやわらげ、建築の存在感を風景へと馴染ませている点も特徴だ。

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館内へと続く動線も印象的で、駐車場から2階エントランスへと螺旋状にのびるペデストリアンデッキは、建物のスケール感やダイナミックな構造を身体で体感できる導入部となっている。

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内部ではアトリウムや展示空間が連続し、人の流れそのものが建築の構成要素として組み込まれることが意図されている。

そして2011年の東日本大震災では、大規模避難所として機能。避難生活の環境整備の一環として、坂 茂が提案した紙管間仕切りシステムが導入され、多くの避難者の生活空間が確保された。非常時における建築の役割を強く示した場所でもある。

ビッグパレットふくしま
福島県郡山市南2-52

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須賀川市民交流センターtette/須賀川市

福島県須賀川市の中心地に建つ「須賀川市民交流センターtette」は、2019年1月に開館した複合公共施設。東日本大震災で大きな被害を受けた市街地に、にぎわいと交流を取り戻すことを目的に整備され、市民文化復興のシンボルとして誕生した。

<写真>東西南北に出入り口を設けることで、街の2つの通りをゆるやかにつなぐ役割も担っている。

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施設内には屋内遊び場、子育て支援、市民活動スペース、ミュージアムなど多様な機能を集約。床を少しずつずらしながら積層する構成により、各所にテラスや吹き抜けが生まれ、館内外の活動が街へにじみ出すよう計画されている。階段やスロープで各フロアがゆるやかにつながり、街を歩くように建物全体を回遊できるのも特徴だ。

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2〜4階には図書館があり、各フロアごとにテーマが分けられ、こども向けの絵本や図鑑から一般書、郷土資料まで幅広く揃う。吹き抜けやテラスに面した明るく開放的な空間のなかで、本を読むだけでなく思い思いに過ごせるのも特徴だ。図書は館内各所にも配架され、施設全体を図書館や公民館のように使える空間として設計されている。

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5階には、須賀川市出身で“特撮の神様”と称される円谷英二の功績を紹介する「円谷英二ミュージアム」も併設。屋内遊び場「わいわいパーク」やカフェ、屋外テラスも備え、学び・遊び・交流が自然に交わる場となっている。

<写真>各階から出入りできるテラス。遊具やテーブルを備え、館内の活動が屋外へとにじみ出すような、屋内外をシームレスにつなぐ空間として計画されている。

須賀川市民交流センターtette
福島県須賀川市中町4-1

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はじまりの美術館/猪苗代町

2014年に福島県猪苗代町で開館した「はじまりの美術館」は、築約140年の酒蔵「十八間蔵」を改修して生まれた美術館。東日本大震災で大きな損傷を受けた歴史ある建物を再生し、地域の記憶を引き継ぎながら新たな文化拠点へと転換している。

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この美術館では障がいの有無を問わず、誰もが持つ“表現の力”に光を当てている。福祉とアートを重ね合わせた実践の場としても重要な役割を担う。

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建築は会津田島の大工たちの手仕事によって、震災で傷んだ木組みを継手で修復しながら再生されたもの。改修設計は建築家の竹原義二が手掛け、蔵特有の閉鎖性をほどきながら、回遊できる展示空間へと再構成した点が特徴的だ。

長さ約33mの大空間に残る太い梁や木の質感は、そのまま建築の記憶として可視化されている。

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館内は靴を脱いで鑑賞するスタイルで、木の床の温もりを直接感じられる展示室が続く。複数の小空間に分かれた構成で、企画展ごとに異なる表情を見せるのも魅力だ。

屋外の広場ではワークショップやマルシェ、雪遊びなども行われ、カフェスペースでは誰もが思い思いに過ごすことができる。

はじまりの美術館
福島県耶麻郡猪苗代町新町4873

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ホテリ・アアルト/裏磐梯

福島県・裏磐梯の森にたたずむ「HOTELLI aalto(ホテリ・アアルト)」は、2009年に開業した全17室の温泉リゾートホテル。磐梯山や桧原湖、五色沼など豊かな自然に囲まれた国立公園内に位置し、かつて企業の保養所として使われていた築約40年の山荘をリノベーションして誕生した。ホテル名は、フィンランド語で「ホテル」を意味するHOTELLIと、「波」を意味するAALTOを組み合わせたもの。自然とともに暮らすという点で共通する、裏磐梯と北欧の価値観をつなぐ場として名付けられている。

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リノベーションを手掛けたのは、建築家の益子義弘を中心としたプロジェクトチーム。「壊れたものを新たな魅力とともに蘇らせる」という会津の金継ぎ文化にも通じる発想のもと、既存建築を生かしながら再生された。館内には地元産の杉材がふんだんに使われ、木の温もりを感じる空間が広がる。

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客室はそれぞれ異なる設えながら、全室に景色を切り取る大きな窓を配置。アルヴァ・アアルトやハンス J.ウェグナーら北欧デザイナーの名作家具が配され、森の風景とともにゆったりとした時間を過ごすことができる。

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源泉かけ流しの温泉は、敷地内の沼のほとりから湧き出る湯を使用しており、やわらかな湯質とほのかな硫黄の香りが特徴だ。内湯から続く露天風呂では、四季によって表情を変える森の景色を眺めながらくつろぎのひとときを楽しめる。

HOTELLI aalto
福島県耶麻郡北塩原村大字檜原字大府平1073-153

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南相馬みんなの遊び場/南相馬市

2016年にオープンした「南相馬みんなの遊び場」は、東日本大震災からの復興支援プロジェクトとして、Tポイント・ジャパン(現:カルチャ・コンビニエンス・クラブ株式会社)をはじめとする多くの企業協賛のもと整備された屋内遊び場。震災後、放射線への不安から外遊びが難しくなり、砂遊びの経験がない子どもたちも多かったことを背景に、“安心して砂に触れられる場所”として計画された。

設計は、建築家の伊東豊雄と柳澤潤が担当した。サーカス小屋のような円錐状の屋根と、ブロック状の木材が積み重なる構造が特徴で、地域の人々の力が集まり、支え合う姿を建築そのものに重ね合わせている。

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内部には屋内砂場が広がり、裸足で思いきり遊ぶことができるほか、おもちゃコーナーや絵本スペースも併設されている。さらに授乳室やベンチ、多目的トイレも備え、乳幼児から親子まで安心して過ごせる環境が整う。

外のデッキでは走り回る子どもたちの姿も見られ、遊びと安心が共存する地域の拠点となっている。

南相馬みんなの遊び場
福島県南相馬市鹿島区鹿島字広町13

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小高パイオニアヴィレッジ/南相馬・小高

「小高パイオニアヴィレッジ」は、東日本大震災による原発事故で長く避難指示区域となっていた福島県南相馬市小高区において、2016年の避難指示解除を契機に整備された復興拠点施設だ。

設計を手掛けたのは建築家の藤村龍至。本施設は“境界のあいまいな建築”をコンセプトに、居・職・住の区分を溶かしながら、多様な人々が混ざり合う環境を意図してつくられている。

<写真>外壁には半透明の素材を採用。夜になると内部の活動が柔らかな光となって外へ滲み出す。

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建築の中心には大きな吹き抜け空間と雛壇状の階段があり、その周囲にワークスペースやキッチン、ゲストハウスが連続的に配置されている。行き止まりのない回遊動線によって、滞在者同士が自然に出会う構成が特徴だ。

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ここではコワーキングでの仕事や企業研修、メイカーズスペースでのものづくり、ゲストハウスでの滞在などが同時に行われる。人と仕事が重なり合い、小さな出会いが連鎖していく“しごとの工場”として、地域の新しい日常を生み出している。

小高パイオニアヴィレッジ
福島県南相馬市小高区本町1-87

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アクアマリンふくしま/いわき市

福島県いわき市小名浜に建つ「アクアマリンふくしま」は、2000年に開館した環境水族館。黒潮と親潮が出合う福島県沖の“潮目の海”をテーマに、水族館と海洋博物館の機能を併せ持ち、約800種の生物を展示しながら、海と生命のつながりを伝えている。

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自然光を積極的に取り込んだ開放的な建築空間も特徴で、環境そのものを体感できるようなスケール感が広がる。

館内では、川の上流から河口、沿岸、沖合、深海へと続く展示が一本の流れのようにつながり、水の循環を追体験できる構成となっている。なかでも黒潮と親潮が交わる三角トンネル水槽は象徴的な存在で、光と水が交錯するダイナミックな景観は人気の撮影スポットだ。

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屋外には里山や海辺の環境を再現したエリアが広がり、釣り体験や、森の動物の動きに挑戦できるアスレチックなど、学びと遊びが一体となったプログラムも充実している。

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2011年の東日本大震災では甚大な被害を受け、生物の多くを失いながらも約4カ月で再開。その経験は施設の重要なテーマとなり、館内では震災の記録映像やガイダンスを通じて、津波の記憶と復興の過程を今に伝え続けている。(※団体向け、要予約)

アクアマリンふくしま
福島県いわき市小名浜辰巳町50

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矢澤酒造店/矢祭町

「矢澤酒造店」は、福島県と茨城県の県境・矢祭町にある創業天保4年(1833年)の老舗酒蔵で、銘酒「南郷」を醸す蔵元として知られる。久慈川の伏流水と矢祭山の豊かな自然に支えられ、180年以上にわたり伝統的な酒造りを受け継いできた。2023年には新たに“令和の蔵”として新蔵「可染蔵」に加え、カフェ&ショップを併設した複合施設が完成した。

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設計を手掛けたのは、建築家の内藤廣。既存の酒蔵に寄り添うように、木造の切妻屋根が連なる細長い建築を計画し、地元スギによる規則的な架構を繰り返すことで、合理性とスケール感を両立させている。

カフェでは日本酒の試飲や料理とのペアリングも楽しめ、内藤による構造ドローイングも壁面に掲示されるなど、建築そのものを味わえるのも魅力。ショップでは日本酒のほか、甘酒なども購入可能だ。

矢澤酒造店
福島県東白川郡矢祭町戸塚41

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