1. トップ
  2. はじめての【ヤマアジサイ鉢栽培】花が終わったらいつ剪定?どこで切る?挿し木で株を増やすには?

はじめての【ヤマアジサイ鉢栽培】花が終わったらいつ剪定?どこで切る?挿し木で株を増やすには?

  • 2026.5.31

はじめての【ヤマアジサイ鉢栽培】花が終わったらいつ剪定?どこで切る?挿し木で株を増やすには?

もともとは山に自生しているヤマアジサイ。平地での栽培は難しそう、そう思われる方も多いかもしれません。鎌倉アジサイ同好会の前川英吉さんに、はじめてでもできるヤマアジサイの鉢栽培について教えていただきました。今回は「ヤマアジサイの開花後の作業」です。

本来の姿や雰囲気でヤマアジサイらしい風情を楽しむ

近年、ゴールデンウイークごろから、こんもりと花をつけた園芸アジサイの鉢が店頭に並ぶようになりました。ご自分で購入したり、贈答品としていただく機会も多いのではないかと思います。その豪華な咲き姿を見てしまうと、翌年も同じように咲かせたいと望んでしまうものですが、プロが作った株のように毎年、多くの花を咲かせるのは難しいものです。

それにくらべて、ヤマアジサイは自生地でも園芸アジサイの鉢花のようにたくさんの花をつけません。それらの鉢花の咲き姿は別物と考えて、本来のヤマアジサイの姿や雰囲気を鉢植えで楽しんでみてはいかがでしょう。鉢植えで育てるのであれば、1株に3~5輪咲かせるだけで十分喜びがあるのでは、と思います。

ヤマアジサイを鉢植えで育てるメリットとしては、ガクアジサイやエゾアジサイなど株が大きくなるものとは異なり、コンパクトに楽しめることです。栽培スペースが少なくても育てられますし、剪定や植えかえのタイミング、水やりのコツだけつかめば、本格的な設備や難しい技術もいりません。剪定した枝から挿し穂を作り、株を増やすこともできます。趣のあるヤマアジサイの鉢植え、挑戦してみてください。

「日本の自生アジサイ展」のヤマアジサイの鉢植え。うまく管理して花を楽しみたい。

ヤマアジサイの開花後の作業

開花後に、翌年の開花に向けた作業をします。神奈川県湘南エリアでのヤマアジサイの開花は5月上旬~下旬がピークですが、地域によって開花の時期は異なります。それぞれの地域で花を楽しんだら、株の様子を観察して、作業時期の見きわめをするとよいでしょう。

株を剪定する

ヤマアジサイの開花株を翌年も咲かせたいのでしたら、開花後は早めに、遅くても6月末までには剪定をしましょう。株を充実させ、翌年の花芽の形成も促進できます。

剪定前

①花がらを切る

花が終わりかけたら、まずは花がらだけでも早めに切ります。雄しべや雌しべ、花びら(正確にはガクが変化した装飾花)がパラパラと落ちてきたり、ガク咲きアジサイの場合は装飾花が反転したら、花の終わりのサイン。切る場所は花首のすぐ下ではなく、その下の節のすぐ上です。その節から新芽が出て翌年の花芽(新しい枝)が出てくるので、あまり枝を上に伸ばしたくない場合は、もっと下の節で切ってもかまいません。

翌年の新芽が出る節の上で切る。

花のすぐ下の節ではなく、2節目の1cm程度上で切る。この節に来年の新芽がつく。

②枝を切り戻す

花がらを切り戻すと同時に、不要な枝の切り戻しも行うとよいでしょう。特に、まだ1~2年生程度の若い株の場合は、翌年度の開花に向けてできるだけ早い時期に剪定し、樹形を整えます。剪定そのものに決まったルールはありませんが、5号鉢の株でしたら幹の数は2~4本にまで調整するのが適当です。古い枝、混雑している枝、株元に出たひこばえ(その年に出た細い幹)も切ります。「こんなに切って大丈夫?」と思うかもしれませんが、それくらいでちょうどよいのです。思い切って切り戻したほうが、株の中の風通しがよくなることで病害虫予防にもなり、葉の数を程よく減らすと夏場の葉の水分蒸散も抑えられます。

花がらを切り終わり、枝を切り戻す前。まだ枝数がかなり多い。

剪定後

枝数を減らし、すっきりとした株姿に。この状態で夏越しをする。

挿し木をする

枝から挿し穂になる部分を切ったところ。枝のどの位置で切ったかによって、「頂芽(ちょうが)挿し」と「中間挿し」と呼ぶ。挿し穂におすすめなのは、中間挿し。

挿し穂を作る際は、節に出ている新芽も確認する。

①挿し穂を作る

剪定で出た枝を各節の上で切ります。切り口を斜めにすれば断面が大きくなり水揚げがよくなります(切り口がまっすぐでも特に問題ありません)。頂芽挿しの苗は翌年花が咲くことがありますが、株のためにも中間挿しの挿し穂で苗を作り、翌々年に花を咲かせることをおすすめします。

切った挿し穂。水分蒸散を抑えるために葉を1/3程度まで小さくカットする。

1本の枝から5本の挿し穂ができた。いちばん左は頂芽挿しの挿し穂なので、2節つけている。

2時間~一晩くらい水につける。何種類か挿し穂を作った場合は、品種名を書いたラベルと束ねて水につけておく。

②土に挿す

挿し穂ができてしばらく水につけたら、いよいよ土に挿します。新しい清潔な鹿沼土を用意し、品種ごとに挿していきます。挿したあとは、トレーなどに入れて半日陰に置き、水やりは1日1回たっぷりと。挿し穂を触ったりせず、トレーの場所を変えないこと、秋まで肥料なども与えないことがポイントです。

3号のビニールポットに鉢底網と硬質鹿沼土の小粒を入れ、土を洗い流すように水をたっぷりかける。このときに乾いた土の色と湿っているときの土の色を覚えておくとよい。

まず品種ラベルを挿す。割り箸などを土に挿してから、その穴に挿し穂を挿す。指で軽く押さえて挿し穂を固定させる。

土の中央には挿さずに、ポットの周囲に6本の挿し穂を挿した。3週間ほどすると芽が伸びてくるが、秋まで動かさずに管理する。

監修/前川英吉(鎌倉アジサイ同好会)
撮影/黒澤俊宏、柴田和宣

※この記事は『園芸ガイド』2026年夏号の記事を、WEB用に再編集したものです。

元記事で読む
の記事をもっとみる