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「いぃよぉ~」吉本新喜劇座長アキが別人に! 自身の“全て”と語る時代劇『時が来た』今夏、東京・名古屋で再演

  • 2026.5.30
吉本新喜劇座長・アキ クランクイン! 写真:高野広美 width=
吉本新喜劇座長・アキ クランクイン! 写真:高野広美

「いぃよぉ~」のギャグでおなじみの「吉本新喜劇」座長・アキ。「吉本新喜劇座員総選挙」では2022~24年に3年連続1位を獲得し殿堂入りするなど人気を博す彼が、2025年3月に『吉本新喜劇アキプロジェクト「時が来た」』を初演。幕末の動乱の中で思いをたぎらせる土佐の志士たちを描いた青春時代劇を緊張感・迫力たっぷりの殺陣&アクションで魅せる本舞台は、好評を得てすぐさま再演が決定。今年1月の大阪公演に加え、今夏、その“熱さ”が東京・名古屋を席巻する。現在56歳のアキが「僕の“全て”」だと語る、まさに全身全霊の舞台。東京・名古屋での上演を前にアキがその思いを語ってくれた(ネタバレあり)。

【写真】吉本新喜劇座長アキ56歳、ダンディーな魅力あふれる撮り下ろしカット

■「35年前から時代劇をやりたいという思いがあった」 アキの原点から生まれた『時が来た』

――本作は幕末を舞台に、実在の人物をモデルにした土佐藩士・千屋虎之助、岡田以蔵、武市半平太、坂本竜馬の幼なじみ4人が時代の波に翻弄されながらも、葛藤や自身の矜持を守ろうとする姿が描かれる群像劇。土佐弁での長ゼリフもある時代劇、かつ大所帯で体力も要る非常にエネルギッシュな舞台で、それゆえにすさまじい熱気と迫力が伝わってきましたが、こうした時代劇を作ろうと思ったきっかけを教えてください。

僕は吉本興業に入る前、18・19歳の頃に東映京都撮影所でスタントマンをやらせてもらっていたんです。その時から、日本をいい国にしようと奮起した幕末の志士たちの熱い思いを、時代劇を通して表現できたらいいなと思っていました。その後、僕は吉本に入りましたが、心のどこかでずっと時代劇をやりたいと思っていて、吉本新喜劇の座長に就かせていただいてからマネージャーに相談して、実現しました。

――上演後の反響はいかがでしたか?

反響は大きかったです。本気の殺陣や号泣する芝居とか、僕が吉本に入ってからこうした姿を見せたことがなかったので、「別人」「新喜劇の顔と全然違う」と、めちゃくちゃ言われました(笑)。おかげさまで、皆さまから高い評価をいただきましたし、「演劇を観に来て泣いたの初めてや!」という方も数多くいて、「やってよかったな」と思いました。上演して1ヵ月も経たないうちに再演の声が上がって、大阪での再演が終わったら今度は「大阪だけで終わらせるのはもったいないから東京と名古屋でもやりましょう!」という話になったんです。


――本作では、アキさんが演じる虎之助をはじめ、メインキャストとしてお笑いコンビ・水玉れっぷう隊でアキさんの相方であるケンさんが岡田以蔵役、吉本新喜劇の西川忠志さんが武市半平太役、そして殺陣の演出もされている劇団「STAR☆JACKS」のドヰタイジさんが坂本竜馬役を演じますが、改めてキャスティングのこだわりを教えてください。

僕の中で35年前から時代劇をやりたいという思いがあったので、大阪で吉本新喜劇に入ってから10年間、「武市は忠志さんやな。Aくん、Bくん、Cくんもありやな」「以蔵は…ケン以外なら誰やろうな」「この役はこの人かな」とか、自分の中のイメージと照らし合わせながらずっと人を見ていたんです。これはある意味、すごく長いオーディションだったんです、自分の中での(笑)。

――それはすごいですね!(驚)

はい(笑)。だから、キャストが決まるのも早かったです。この舞台は、僕自身、東映時代の本名の「荒木良明」として出るつもりで、新喜劇のアキを全く見せたくないと思っていました。ですから、この舞台では「いぃよぉ~」も言わないですし、笑いもお芝居の流れで取っています。演出をお願いしたドヰさんにも「殺陣が上手い人しか出さない」という考えを伝えました。結果、事務所もバラバラなんですが、本当に殺陣が上手い人が集まりました。普段からちゃんと舞台で殺陣をしている人がほとんどですし、殺陣の上手い人が僕の見てないところでもすごく練習してくれていたんです。稽古の時点ですでに「お前、そこまでやるんか! じゃあ、俺も負けてられねぇな」みたいな空気もあって、役者の皆さんの相乗効果が見られたのがすごく気持ちよかったです。役者の皆さんから熱い心をいただけました。

――その稽古場の熱量も物語とシンクロしていますね。

そうなんです。僕自身、稽古の時からそういう熱量でやっていかないと、と思っていました。稽古が終わったら、ずっとふざけて、笑いばっかりなんですけどね(笑)。だから演劇の役者の皆さんが「こんなに楽しい現場ってあるんですね」と言っていました。いざ稽古が始まったら、みんなが顔色を変えて挑んでいて、とてもメリハリがある現場ですね。

■アキとケン、お笑いコンビ・水玉れっぷう隊が物語で共闘! 「“運命”を感じます」


――殺陣のプロが集結しているからこその大立ち回りのシーンは、音響も含めて圧巻でした。

音響も特殊なんですよ。やっぱり殺陣に詳しい人じゃないと、音が出せないんです。だから殺陣の音響は、殺陣をやっている人が何回も殺陣の動きを覚えて、楽譜みたいに音を出してもらっているんです。

――ドヰさんが演出されている殺陣のシーンにもこだわりを感じます。

僕は東映時代に「殺陣では殺気を絶対に感じさせなくてはいけない」という見せ方を叩きこまれたんです。人が若くして亡くなっている幕末の実話が元になっているからこそ、舞のような殺陣はしたくなかった。その思いをドヰさんに汲んでもらっています。あの時代に生きた人たちの思いを何とか伝えたかったんです。なので、実際に京都にある坂本龍馬たちの墓参りも行って「その志高き思いを、僕らはちゃんと引き継いでやらせていただきます」と伝えました。


――その時にアキさんの中で心の変化はありましたか?

ありましたね。この舞台の中で「輪廻転生」という言葉が出てくるんですけど、昔も今も「日本を良くしよう」「みんながより良く生活できるようにしよう」という思いがつながっているように、そうした思いはちゃんと伝えないといけないなとお墓の前で素直に思いました。

――そして、『時が来た』では虎之助役のアキさんと以蔵役の相方のケンさんと共闘も見どころですが、あのシーンにどんな思いがありますか?

特に「コンビとしてやろう」という意図はなかったんですが、たまたま実際にいた以蔵がケンにすごく合っていて、ほかの役者さんも「以蔵はケンさんです」と言ってくださるぐらい、生まれ変わりのようだったんです。僕が演じる虎之助も含め、舞台では実際の人物をモデルとした架空の人物を演じていますが、上がってきた脚本を読んだ時に、僕ら水玉れっぷう隊で演じる以蔵と虎之助が仲間で共に闘うシーンに僕も驚きました。「コンビに寄せてくれ」とは言ってないですし、物語の流れ上たまたまそうなっただけなんですけど、皆さんに「あれはシビれた! わざとなん?」「あそこ、めっちゃ泣いた」と言われましたね。その流れが、まさに「輪廻転生」みたいなんです。舞台で僕らは死んでいくけども、死んでからも生まれ変わってまた一緒にやろうな!みたいな流れは、本当に“運命”を感じます。

■新喜劇の座長となり実現した『時が来た』は「僕の芸能人生の“全て”」


――長年新喜劇で鍛えられたことで、『時が来た』で活かされたことはありますか?

物語の中で笑いを取っている部分はアドリブなんです。(新喜劇の)ケンや太田(芳伸)くんもいるので、みんなで助け合ってちゃんとアドリブでお笑いとして成立するので、そこはやっぱり新喜劇のチーム感が出てますよね。普段から新喜劇でやっているので呼吸や間が合うんだろうなと思って、怖いもんなしやなと感じます(笑)。この舞台を観に来られるお客さんも新喜劇が好きな方が多いので、その部分はやっぱりホッとしてるというか、「これこれこれ! こういうの求めてた」みたいな反応をしてくれています。その部分だけ、演劇の役者さんたちが楽屋のモニターに集まるみたいなんです。「毎回違う感じですごいな」と言って見てるみたいです。

――役者さんにも影響を与えるぐらいのアドリブ力はすごいですね。

ありがたいことに365日、公演も数をたくさんやらせてもらってるので、少々のことは大丈夫です(笑)。


――東京・名古屋での再演は、これまでと異なる部分はありますか?

1月の大阪の近鉄アート館での上演は三面の舞台でしたが、東京・名古屋公演では一面の舞台なので、殺陣も変わるし、芝居での大事なところの姿勢も変えていかないといけないので、動きはだいぶ変わってきます。それと、僕が演じる虎之助の終盤の家族のシーンが肉付けされていますし、細かい部分でいろいろと変わっています。

――東京・名古屋公演では2丁拳銃の川谷修士さんがゲスト出演されるのも楽しみです。

修士くんは、吉本の即興芝居「THE EMPTY STAGE」をはじめ、アドリブで芝居をやる企画に参加してもらっていたんです。その頃からやっぱり修士くんは芝居がしっかりしているし、アドリブでやっていく器用さや芝居の締め方もちゃんと見ていたので、皆さんも楽しみにしてください。

――『時が来た』は、アキさんにとってどんな意味を持つ作品になりましたか?

僕の“全て”ですね。18歳の一般人だった僕が東映に飛び込んで、時代劇の世界をいろいろ見させていただいた経験やその時の根性とかが“基礎”となっているんです。吉本のこの競争の激しい芸人勢の中で何とか生き残ってこれたのも、やっぱり東映で培った“基礎”がキープされているからなのかなと思います。今こうして、新喜劇の座長をやらせていただくようになって、この時代劇で評価をいただいて…という流れは、もう僕の芸能人生の“全て”です。

■吉本新喜劇座長としての“アキ”を深掘り 「絶対沸かせて帰らしちゃる!」


――2023年に新喜劇の座長になられてから感じることは?

日々、学びなんだなと思いますね。座長というリーダーでありながらも、常に勉強させてもらってるというか…。以前、東京の「ルミネtheよしもと」で水玉れっぷう隊として座長を経験させていただいた時に、座長は自分だけじゃなくて全体を考えないといけない、しかも共演している仲間をフォローするということをちゃんと責任を持ってやらないといけないと学べたんです。それから僕が大阪に来て新喜劇の座長になりましたが、座員が130人もいて個性の集まりですから、まとめるのが、まぁ大変なんです(苦笑)。人への判断の仕方はずっと学びで、自分のしんどいテーマですね。

――ちなみに、新喜劇の舞台に立つ前のルーティンはありますか?

新喜劇は、幕が開いて一発目からそうそうたる芸人が集まって研ぎ澄まされた笑いを連発した後に休憩を挟んで新喜劇が入るんですよ。もう気を抜いたら、絶対に古典芸になってしまう。だから、新喜劇の前に出演する芸人さんたちを見ながら、お客さんのハードルのラインをちゃんと読むんです。僕、細かいスイッチがいくつもあるんですよ。繊細に丁寧にラインを見ながら、そのスイッチを一つずつ押していくのがルーティンですね。もし客席が重たい空気になっていても、「なめんなよ。絶対重い空気で帰らさへんぞ! 絶対沸かせて帰らしちゃる!」って興奮してくるんですよ。それを積み重ねてきたので、ほぼハズレはないです。

――そんな新喜劇で大人気のアキさんのギャグ「いぃよぉ~」を日常で使うとしたら、どんな場面がおすすめですか?

これ、使い方を周りがめっちゃ作ってくれていて、本人がついていけてないんです(笑)。例えば、「アキちゃん、ここ座ってもいい?」と聞かれて「あ、どうぞどうぞ」と言ったら「そこは『いぃよぉ~』って言ってくれへんねや」とか、「写真、撮ってくれる?」「あ、どうぞどうぞ」「そこは『いぃよぉ~』って言ってや」とか、「そんなんもありなんや」と思いましたね。僕は新喜劇の舞台でしか使ったことがないですけど、周りの皆さんが何でもありの『いぃよぉ~』を求めてくださるので、よく注意されるんですよ。なので、ルールはないですね。もう本当に自由です(笑)。

――(笑)。それと、アキさんが舞台に立つ時に気を付けていることは?

声が命なので、でかい加湿器を家から車に乗っけて持ってきて、自分の椅子の真横に置いて蒸気がブワーと出ている感じで過ごしています。あとはマヌカハニーやハチミツを摂ったり、寝る時に首にタオルを巻いたりして加湿していますね。『時が来た』の時は、ものすごく叫ぶし、号泣するしで、声がカスカスになるんです。それはもうやる前から分かっていたので、だからこそ、この年でもう無理やりにでも「やらせてください」とお願いしたんです。体力的にも、稽古が入ってくる時期までに筋トレや運動の両方をやっています。筋トレと言っても、刀のスピードと刀を振り回せる筋肉だけをつけるためにチューブトレーニングやランニングをしています。

――改めて、『時が来た』東京・名古屋公演を楽しみにしている方々にメッセージをお願いします。

観ていただいたら、“熱さ”は絶対伝わると思います。学生の方も、社会人の方も、次の日からちょっと楽しい人生が送れるかと思いますよ。

(写真:高野広美 取材・文:齊藤恵)

『吉本新喜劇アキプロジェクト「時が来た」~生き様を貫いた男たち~』は、東京・YOSHIMOTO ROPPONGI THEATERにて7月25日・26日、愛知・メニコン シアターAoiにて8月1日・2日上演。

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