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キャリーバッグを持った“車椅子の男性”がバス停に。運転士が手伝っていると…同乗者の“対応”に「17年経っても忘れられない」

  • 2026.6.19
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。送迎バスの運行管理やバス運転士の経験を持つVenus☆トラベルです。

今回お話するのは、私が送迎バス運行管理の企業で働いていたときのエピソードです。17年ほど前、自治体が運営する市内循環福祉バスに乗務していました。

福祉バスは、車椅子のまま乗車できるよう後部ハッチにリフトが装備され、高齢者や体の不自由な方々に利用されていました。

そんな福祉バスの乗務で目にした、車椅子の方と他の乗客のほっこりエピソードをご紹介します。

車椅子の男性とキャリーケース

福祉バスを運行していたとき、バス停に車椅子の乗客が待っているのが視界に入りました。もちろん、車椅子の乗客でも利用できる福祉バスですが、乗車には時間がかかります。

マイクロバス後部のハッチを開け、リフトを降ろし、乗車後はリフトを上げて車椅子の固定が必要です。

もちろん、時刻表に沿った運行ダイヤには車椅子の操作時間が含まれていないため、実際は大幅な遅れが生じます。そのため、運転士は遅れを意識しつつも、冷静に安全運転を心掛けなければなりません。

バス停に近づいたとき、車椅子の男性がキャリーケースや大きなバックなど荷物が多いことに気がつきました。

時間がかかることが想定できたので、バス停に福祉バスを停車させ、車内の乗客に向けて「少々お待ちください」と伝えて運転席を離れました。

乗客のさりげない優しさに感動

福祉バスは、最後部座席2列がリフトで乗車できる車椅子用の乗車スペースとなっていました。そのため、車椅子の男性が乗車しても、キャリーケースや大きなバッグを乗せても、問題ない広さです。

男性に「これからお出かけですか?」と聞くと、「娘の家へ泊まりに行くんです。孫と一緒に遊ぼうかと思って。」と嬉しそうに男性は答えてくれました。

「楽しんできてくださいね。」と声をかけながらリフトを下げ、荷物を先に乗せることを伝えました。キャリーケースを運びリフトに乗せたとき、ふとバス停の方に視線を移すと、乗客の男性が車椅子の男性に話しかけているのに気づきました。

福祉バスのリフトまで車椅子を押し、さらに男性へ荷物を乗降口から乗せても良いか尋ねていました。「ありがとうございます」と伝える車椅子の男性と乗客の姿を見て、人の優しさに触れたことを、今でも鮮明に覚えています。

見ず知らずの人への心遣い

てっきり知り合いかと思った私は、「ご友人ですか?」と車椅子の男性に尋ねると、実は全く見ず知らずの人であることを知りました。

「他人に優しくできる人は少ないのに、僕も驚きました」と男性が再び嬉しそうに笑った表情は、今でも忘れられません。

車椅子の固定が終わり、荷物を運んでくれた男性に二人で感謝を伝えました。私の場合、優しさに加え、重そうなバッグを抱えてくれたという個人的なお礼も含んでいましたが…

男性は運転席のすぐ後ろに乗車しており、運行を開始した車内で、なぜ手伝おうとしたのか聞いてみました。すると、「何か手伝えることがあるかと思っただけ」とおっしゃていました。

「当たり前の優しさ」は簡単なようで難しい

今の時代、自ら動くことに勇気が必要なケースもあります。手伝おうと思っても、変な注目を浴びてしまわないか、逆に責められはしないかなど、不安を覚える場面もしばしば…

しかし、当時の男性は当たり前のように率先して車椅子の方を手伝っていました。手伝ってくれた男性は、他の乗客とコミュニケーションを取っていたわけではありません。私が話しかけたときも、小さな声で答えてくれた程度です。

しかし、他人を思いやる当たり前の優しさを感じたものです。その当時、私は小学生の子ども2人を育てていました。帰宅後、人の優しさに触れた話を子供たちへ伝えました。

17年が経った今でも、私は困った人を見かけたら声をかけるようにしています。中には、「放っておいて」と怒る人もいます。

しかし、声をかけた1人でも助けになればと思い、あの時の男性のように自ら率先して動くことを意識しています。


ライター:Venus☆トラベル

近畿地方でバスの運転に関わる仕事に携わって約12年、多くの送迎バスを運転しました。幼稚園や自治体、企業や施設など、それぞれの場所で学ぶことが多くありました。その反面、運転士視点で感じた心の声をリアルにお届けします。


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