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「今飲んでいる薬はない」60代患者に薬を渡した“数時間後”→発覚した“ヒヤリとする事実”に「気づいてくれてよかった」

  • 2026.6.21
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

薬局では、薬をお渡しする前に何重ものチェックを行っていますが、それでも窓口だけでは気づけない情報があります。

特に、他の医療機関でもらっている薬の情報が手元になかった場合、後になって飲み合わせの懸念が浮かび上がることも。

本記事では、お薬を渡した後に判明したヒヤリとした出来事と、それを未然に大きなトラブルへと発展させないために薬剤師が日々取り組んでいることをご紹介します。

あわせて、患者さんご自身ができる小さな備えとして「お薬手帳の活用」の大切さもお伝えします。

お薬を渡した後に判明した「飲み合わせ」の懸念

窓口での確認は丁寧に行っていても、その時点で把握できる情報には限りがあります。

後から新たな情報が分かったときの対応こそ、薬剤師にとって大切な場面のひとつです。

他院で処方された薬の情報が後から分かったケース

60代の男性に新しい薬をお渡しした数時間後のことでした。

記録を見返していた薬剤師が、以前ご家族から伺った「別の病院にも通っている」という情報を思い出し、改めて確認の連絡をしたところ、他院で似た作用の薬が処方されていることが分かりました。

窓口では「今飲んでいる薬は特にありません」とおっしゃっていたため、その場では問題が見つからなかったのです。

決して悪気があったわけではなく、ご本人にとっては「もう何年も飲んでいる薬なので、わざわざ伝えるものではない」という感覚だったのかもしれません。

すぐに連絡を取り、事なきを得るまで

すぐにご本人へ電話を差し上げ、服用を一旦控えていただくようお伝えし、処方医にも連絡。

結果として薬の調整が行われ、大きな問題には至りませんでした。

電話を受けた男性は「気づいてくれてよかった」と安堵された様子だったそうです。窓口を離れた後でも、気になることがあれば追いかけて確認する。地味ではありますが、こうしたひと手間が安心につながっています。

記録を見返して気づく、小さな違和感

その日のうちに、あるいは翌日以降にも、薬剤師は記録を振り返ることを習慣にしています。

忙しい窓口では拾いきれなかった小さな違和感が、見返してみると浮かび上がることがあるのです。

「あの時の確認」がトラブルを防いだ瞬間

ある日の午後、50代の女性にお渡しした薬について「以前は別の規格を使っていたはず」と気づいた薬剤師がいました。

記録をたどると、確かに用量の変更があったものの、ご本人は前回までの感覚で服用される可能性がありました。

電話で飲み方を改めてご説明したところ、「ちょうど飲もうとしていたところだった」とのこと。窓口での説明だけでは伝わりきらない部分を、後追いで補えた一例でした。

複数人でのダブルチェックが支えになる

一人の薬剤師が見落としても、別の薬剤師が気づくことができるよう、多くの薬局ではダブルチェックの体制を取っています。

人の目には限界があるからこそ、複数人で確認し合う仕組みが安全を支えています。

「念のためもう一度」を惜しまない文化が、ヒヤリとした出来事を実際の事故に発展させないための土台になっているのです。

読者へのワンポイントアドバイス

薬局側でできる確認には限りがあります。患者さんご自身の小さな工夫が加わることで、安全はさらに高まります。

お薬手帳を一冊にまとめておく安心感

複数の医療機関にかかっている方ほど、お薬手帳を一冊にまとめていただくことをおすすめします。

病院ごとに別の手帳を持っていると、それぞれの薬剤師が全体像を把握しづらくなり、飲み合わせの確認が難しくなってしまうからです。最近ではスマートフォンのアプリで管理できるお薬手帳もありますので、ご自身に合った方法で構いません。

また、市販薬やサプリメントを習慣的に飲まれている場合も、ぜひ一言お伝えください。

「これくらいなら言わなくても」と思われる情報こそ、薬剤師にとっては大切な手がかりになります。小さな共有が、思わぬヒヤリを防ぐ大きな力になります。


ライター:下田篤男

京都大学薬学部総合薬学科を卒業後、調剤薬局やドラッグストアグループで薬剤師として勤務してきました。総合病院の門前店舗では管理薬剤師を務め、たくさんの患者さんと向き合う日々の中で、「薬を渡す」だけではない、人と人との関わりの大切さを実感しています。現在は薬剤師として現場に立ちながら、医療記事の執筆・編集や薬局経営コンサルタントとしても活動中。読者の皆さまに、薬局がもっと身近で頼れる場所になるような情報をお届けしていきたいと思っています。


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