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「離婚するから夫の口座残高を教えてほしい」銀行窓口で実際にあった要望に…銀行員「意外と多い相談です」

  • 2026.6.22
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。くまえり銀行員です。

今日は、銀行窓口で実際にあった意外と多い『実はお受けできないお客様からのご要望』についてお話しします。

銀行というと、お金を預けたり下ろしたりする場所というイメージが強いかもしれません。

しかし窓口では、お金だけでなく、家族関係や相続、離婚、借金、人間関係のトラブルなど、さまざまな事情が交差しています。

そのため時には、

「えっ、それを銀行に求めますか……?」と思わず言いたくなるような要求を受けることもあります。

もちろん、お客様にとっては切実な事情があることも少なくありません。

ですが銀行には法律やルールがあり、「今日だけ特別」は基本的に存在しません。

今回は私が窓口で経験した中でも、特に印象に残っているエピソードを3つご紹介します。

「家族なんだから下ろせるでしょ?」

ある日、高齢のお父様名義の通帳を持った娘さんが来店されました。

「父は体調が悪いから来られないの。家族なんだから下ろせるでしょ?」

しかし、預金は名義人本人の財産です。

たとえ家族であっても、本人確認や適切な手続きなしに自由に払い戻すことはできません。

事情を説明すると、「なぜできないのか!」と怒り気味に言われました。

ですが銀行が確認しているのは、人を信用するかどうかではありません。

本当に本人の意思による取引なのか。

そこを確認する義務があるのです。

近年は特殊詐欺や親族間トラブルの防止の観点からも、本人確認は以前より厳格になっています。金融機関は犯罪収益移転防止法などに基づき、本人確認や取引目的の確認を求められています。

もし後日、

「勝手にお金を下ろされた」

という事態になれば、被害を受けるのは預金者本人です。

窓口で断られた経験がある方もいるかもしれませんが、その確認は大切な財産を守るために行われています。

「本人確認書類?今日は持ってないから特別で」

口座開設や住所変更などの手続きでは、本人確認書類が必要になります。

ところが、

「今日は忘れた」
「何十年も利用してるんだから顔で分かるでしょ」

というお客様もいらっしゃいます。

実際、何年も利用してくださっている常連のお客様の場合、職員が顔を覚えていることもあります。

それでも手続きに必要な確認を省略することはできません。

銀行員としては、

「私もお客様だと分かっています」

と言いたいところです。

ですが制度上、分かっていることと確認したことは別問題です。

たった一度の例外が、不正取引やなりすまし被害につながる可能性があります。

だからこそ、「今日だけ」が認められないのです。

窓口で厳しく感じる場面があったとしても、それはお客様全員を同じ基準で守るためでもあります。

「離婚するから配偶者の残高を教えて」

これも意外と多い相談です。

夫婦間のトラブルが起きると、

「離婚するから妻の口座残高を教えてほしい」
「夫がいくら持っているか調べてほしい」

という要望を受けることがあります。

お気持ちは理解できます。しかし銀行は口座名義人本人以外に残高や取引内容を伝えることはできません。

たとえ夫婦であっても同じです。

中には、

「私は家族なんだから知る権利がある」

と言われる方もいます。

ですが銀行から見れば、その口座はあくまで名義人個人の財産です。

家庭内の事情と、金融機関が守るべきルールは別の話なのです。

実際には、こうした相談の背景に相続問題や離婚協議、家族間の金銭トラブルが隠れていることも少なくありません。

窓口で交わされる短い会話の裏には、想像以上に複雑な事情があるのです。

銀行員が守っているのは「ルール」ではなく「お客様」

窓口で断られると、「融通が利かない」「冷たい対応だ」と感じることがあるかもしれません。

ですが銀行員が守ろうとしているのは、単なる社内ルールではありません。

お客様の財産。
お客様の個人情報。
そして、お客様自身をトラブルから守ることです。

目の前のお客様だけを見れば、例外を認めたほうが楽な場面もあります。

それでも例外を作らないのは、その先に起こり得るリスクを知っているからです。

窓口で「できません」とお伝えするとき。

実は銀行員も意地悪で言っているわけではありません。

その言葉の裏には、「お客様を守るため」という理由が隠れていることを、少しだけ知っていただけたら嬉しいです。


ライター:くまえり銀行員
金融機関の窓口業務に携わり、日々さまざまなお客様対応を経験。忙しい日常の中で起こりがちな銀行手続きの行き違いやトラブルを、窓口の内側から見た視点で、読者に寄り添いながら伝えています。「知らなかった」が「なるほど」に変わる瞬間を大切に執筆中。


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