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「団信に入れば、生命保険はすべて解約」ネットで横行する主張は本当? プロが警告する“見落としがちな落とし穴”

  • 2026.7.1
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。大手不動産会社で10年以上の現場経験を持ち、宅地建物取引士の資格を持つライターのT.Sです。インターネットやSNSで「住宅ローンを組んで団体信用生命保険(団信)に入れば、生命保険はすべて解約してよい」という主張を見かけることがあります。

確かに保険料を抑えたい気持ちは分かりますが、そのまま信じて解約し、万一の際に後悔するケースもあります。今回は、団信と生命保険の役割の違いから、この主張が本当かどうかを検証します。

団信と生命保険の役割の違い

まずは団信の役割を確認します。団信は、住宅ローンの返済中に契約者が亡くなったり所定の高度障害状態になったりすると、保険金で残りのローンが完済される仕組みです。

遺族に現金が入るわけではありませんが、ローンの返済がなくなり、住まいは手元に残ります。この仕組みだけを見ると「生命保険は不要」という主張にも一理あるように思えます。

生命保険に住まいの確保を見込んだ死亡保障が含まれていれば、その部分は団信と重なります。そのような場合は、重なっている部分を見直す余地は十分にあります。

落とし穴は住居費以外の生活資金

しかし、団信がカバーするのは住宅ローンだけです。確かにローンの返済がなくなる分、毎月の負担は軽くなります。とはいえ生活費や教育費、葬儀費用といった支出は残り、これらは団信ではまかなえません。

団信は生活費などの現金を遺す保険ではなく、生命保険とは守備範囲が異なります。住宅ローンを組んで団信に加入した30代のIさんも、続けている死亡保障を解約しようか迷っていました。

解約を決める前に、Iさんはファイナンシャル・プランナー(家計やお金の相談に乗る専門家)に話を聞いてみました。

「団信に入れば生命保険は不要と聞きました。本当にすべて解約して大丈夫でしょうか」

するとプランナーは、こう指摘します。

「団信で住宅ローンはなくなりますが、家族の生活費や教育費までは備えられません。すべて解約すると、その分のお金が足りなくなる恐れがあります」

話を聞いたIさんは、ネットの主張をうのみにせず、自分の家庭に必要な保障を見直すことにしました。

必要な保障を見直して出した結論

プランナーと一緒に、Iさんは万一のときに家族へ必要なお金を整理していきました。団信でローンの負担が消えること、国から支給される遺族年金や貯蓄、配偶者の収入も見込めることを踏まえます。

そのうえで足りない分が、生命保険で備えるべき金額です。住居費に当たる保障は団信と重なっていたため、その部分は減らすことにしました。一方で、生活費や教育費に充てる分は、生命保険を解約せずに残します。

「すべて解約せず、重なっている部分だけを見直せばよかったんですね」

納得したIさんは、全部解約でも全部継続でもない、ちょうどよい形に落ち着きました。

自分に必要な額を確かめて判断する

「団信があれば生命保険は不要」というネットの主張は、住居費に関する重複を見直せる点ではあてはまります。しかし、生活費や教育費まで含めて一律に不要になると考えるのは早計です。

各家庭で必要な保障額は異なり、保険を大きく減らせる場合もあれば、手厚く残すべきケースもあります。便利な情報があふれる今だからこそ、一度立ち止まりたいところです。必要に応じて専門家の力も借りながら、自分の家庭に必要な額を確かめましょう。



ライター:T.S(宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランニング技能士)
大学卒業後、大手不動産会社に入社。10年以上にわたり、都心のタワーマンションから郊外の築古戸建てまで、数多くの現場経験を積む。現在は不動産ライターとして「業界の不都合な真実」や、消費者が陥りやすいマネーの罠について、実体験に基づく記事を執筆している。


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