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「隣は畑のままだろう」新築4LDKを購入した夫婦→2年後、30代夫婦を襲った“思わぬ落とし穴”【一級建築士は見た】

  • 2026.6.26
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「リビングの窓から畑が見えて、のどかな環境が購入の決めてでした。それが数年後、その畑に単身者向けの賃貸マンションが建つことになって…」

そう話すのは、郊外の新築戸建て(4LDK・延床約35坪/土地約45坪、約5,200万円)を購入したXさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。南側に広がる畑と日当たりのよさが決め手で、ゆったりした住環境を楽しんでいました。

ところが入居から2年後、畑の持ち主が代替わりしたのをきっかけに、その土地が売却され、3階建ての単身者向け賃貸マンションが建設されることに。日当たりや窓からの眺めが変わり、人の出入りも増えました。「畑がずっとそのままだと、なんとなく思い込んでいたんです」とXさんは振り返ります。

「畑のままだろう」という思い込みの落とし穴

家を買うとき、多くの人は「いま」見えている景色を前提に判断します。しかし、隣の畑や空き地が、これからもそのまま残るとは限りません。

とくに市街地の農地は、所有者の高齢化や相続をきっかけに、宅地として売られたり、賃貸住宅に建てられたりすることが珍しくありません。近年は、税制上の節目を迎えた都市部の農地が宅地化に向かう動きもあり、「のどかな畑」が数年後にはまったく違う姿になることもあるのです。

内見で見えるのは、あくまでその時点の風景です。「数年後、隣がどうなるか」までは、買う側にはコントロールできません。

何が建つかは「用途地域」で決まる

では、隣地に何が建ちうるのかを、購入前に知る手がかりはあるのでしょうか。実は、その土地に「どんな用途の建物を、どのくらいの規模で建てられるか」は、「用途地域」というルールで地域ごとに定められています。

用途地域は全部で13種類あり、たとえば「第一種低層住居専用地域」では建物の高さが10mまたは12mに制限され、低層の住宅やアパート程度しか建てられません。一方、「中高層住居専用地域」や「住居地域」では、より高い中高層のマンションが建てられます。つまり、同じ「住宅地」でも、用途地域によって隣に建ちうる建物の高さや種類が大きく変わるのです。

用途地域は、物件の販売資料に記載されているほか、契約前の重要事項説明の際にも伝えられます。役所の窓口や、自治体のウェブサイトの地図でも調べられます。

ただし、用途地域を調べても隣地の建設を止められるわけではありません。わかるのは「最大でどんな規模の建物が建ちうるか」という見通しです。それでも、何が建ちうるかを覚悟したうえで購入を判断できるのは、大きな違いです。

Xさん夫婦はどう対応したのか

隣地の変化に直面したXさん夫婦は、まず建設業者から工事の説明を受け、建物の高さや配置を確認しました。

そのうえで、日当たりや視線への影響をやわらげる工夫を進めました。新しい建物の窓と向かい合う位置には目隠しの植栽を境界沿いに植え、リビングの窓には日中の視線を遮るシェードを設置。さらに自宅と周辺の用途地域を調べ直したところ、あの畑は中高層の建物も建てられる地域で、購入時に確認していれば3階建てが建ちうるとわかったはずだと気づいたといいます。「変化そのものは止められないけれど、何が建ちうるかを知っておけば、必要以上に慌てずに済む」とXさんは振り返ります。

家を買うときは「将来の隣地」まで見据えて選ぶ

戸建ての購入を検討する際は、いまの眺めや日当たりだけでなく、周囲が将来どう変わりうるかも見据えておくと安心です。とくに以下の点を意識してみてください。

・自宅と周辺の用途地域(隣にどのくらいの規模の建物が建ちうるか)
・隣地が畑・空き地・古い建物の場合、将来変化する可能性
・南側など日当たりに関わる土地が、将来どう使われうるか

周辺環境の変化と「付き合っていく」ために

街は、時間とともに少しずつ姿を変えていきます。畑が住宅になり、空き地に建物が建つのは、街が更新されていく自然な流れでもあります。

大切なのは、変化を「想定できるもの」として受け止め、買う前に手がかりを調べておくことです。隣地に何が建ちうるかは用途地域である程度わかり、工事の際には事前説明のルールもあります。

「いま見えている景色」がずっと続くと思い込まず、「隣地は変わりうる」と知って、将来まで見据えて選ぶこと。それが、長く安心して暮らすための第一歩です。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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