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「買う前に知りたかった」築12年3LDK購入も…数年後、30代夫婦を襲った異変【一級建築士は見た】

  • 2026.6.21
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「購入したときは、隣は高齢のご夫婦が静かに暮らしていました。それが数年後、相続をきっかけに家が解体されることになって…」

そう話すのは、郊外の中古戸建て(築12年・3LDK・延床約30坪/土地約42坪、約4,500万円)を購入したWさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。

落ち着いた住宅地に惹かれて購入しましたが、入居から数年で隣家の高齢の住人が亡くなり、相続した家族が古い家を解体することになりました。いざ始まった解体工事の騒音や振動、舞い上がる粉じんに、Wさん一家の暮らしは大きく影響を受けました。

「家そのものは変わらなくても、隣が解体されるだけで、こんなに生活が変わるとは思いませんでした」とWさんは振り返ります。

隣家の解体は「ある日突然」やってくる

住宅を購入するとき、多くの人は「いま」の隣近所の様子を見て判断します。しかし、開発から年数のたった住宅地では、当初に入居した世代が高齢化していることがあり、相続や住み替えをきっかけに古い家が解体されるのは自然な流れです。

問題は、その解体が隣に住む人の生活に少なからぬ影響を与えることです。数日で終わると思われがちな解体工事も、建物の規模や前面道路の広さによっては、数週間から1か月以上かかることがあります。その間、騒音・振動・粉じんといった影響が続くのです。

解体工事には「事前のルール」がある

不安に感じやすい解体工事ですが、近隣を守るための仕組みは整っています。

まず、床面積80平方メートル以上の解体工事では、建設リサイクル法に基づき、発注者が着工の7日前までに自治体へ届け出ることが定められています。また、多くの自治体では指導要綱により、着工前の標識設置や近隣住民への事前説明を施工側に求めています。こうした仕組みにより、近隣には事前に工事の情報が伝わるようになっています。

また、健康面の備えもあります。大気汚染防止法の改正により、原則すべての解体工事でアスベスト(石綿)の有無を事前調査し、さらに2022年からは一定規模以上の工事で結果を報告することが義務づけられました。古い建物の解体でも、適切に調査・対策が行われる仕組みが整えられています。

解体工事で「直面しやすいこと」

事前のルールがあるとはいえ、工事中の影響をゼロにはできません。

代表的なのが騒音と振動で、重機で建物を壊す音やトラックの出入りの音が日中に続きます。もう一つが粉じんです。解体時には細かいほこりが舞い上がり、洗濯物や窓に付着することがあります。施工側は防音・防じんシートで養生し、水をまいて粉じんを抑えますが、それでも窓を開けていると室内にほこりが入ることがあります。

工事は一時的なものですが、生活への影響は小さくありません。事前に工事の期間や時間帯を確認しておくと、心構えがしやすくなります。

Wさん夫婦はどう対応したのか

隣家の解体に直面したWさん夫婦は、前向きに対応しました。

まず、施工業者から工事の期間と内容について説明を受け、不明な点はその場で質問。そのうえで、工事の時間帯に合わせて洗濯物を部屋干しにし、窓を閉めるタイミングを調整して、騒音や粉じんの影響をやわらげました。粉じんが気になる日は、室外機まわりや窓のサッシをこまめに拭く工夫もしたといいます。

「事前に説明を受けて、いつ何が起こるかを把握できたことで、必要以上に身構えずに済んだ」とWさんは振り返ります。

「隣家の解体」も見据えて住まいを選ぶ

戸建て住宅を検討する際は、いまの隣近所の様子だけでなく、将来の変化もある程度見据えておくと安心です。とくに以下の点を意識してみてください。

・周辺住民の年齢層(高齢化が進み、解体・建て替えが近いエリアか)
・自宅の窓や物干しスペースと、隣家との位置関係(粉じんや騒音の影響を受けやすいか)
・隣地との境界が明確になっているか(解体・建て替え時のトラブル予防)

解体工事と「上手に付き合う」ために

隣家が解体されること自体は、住宅地では避けられない自然な変化です。古い家が新しくなり、街が更新されていく過程でもあります。

大切なのは、解体を「ある日突然のトラブル」ではなく「事前に備えられるもの」として受け止めることです。届け出や事前説明、アスベスト調査といった仕組みがあるぶん、施工側から早めに情報を得て、洗濯物を干す時間や、窓を開け閉めするタイミングを調整すれば、影響は十分にやわらげられます。「隣はいつか解体されるかもしれない」と知って備えること。それが、長く安心して暮らすための第一歩です。

参考:
建設リサイクル法の概要(国土交通省)
建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル(環境省)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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