1. トップ
  2. 住まい
  3. “防犯のため”が近隣トラブルに…。玄関前に付けた防犯カメラで「まさか」の苦情が来た戸建て住宅の恐怖体験

“防犯のため”が近隣トラブルに…。玄関前に付けた防犯カメラで「まさか」の苦情が来た戸建て住宅の恐怖体験

  • 2026.6.30
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

最近はニュースなどで空き巣や車上荒らしの話題を目にする機会も増え、防犯対策への関心が高まっています。実際に、新築住宅の購入をきっかけに防犯カメラを設置する家庭も珍しくありません。防犯カメラは、犯罪抑止や証拠保全に役立つ便利な設備です。

しかし防犯のために設置したはずの設備が原因で、思わぬ近隣トラブルへ発展してしまうこともあります。

今日は、新築戸建てを購入した40代ご夫婦が、防犯目的で設置したカメラが原因で近隣住民との関係悪化寸前まで発展してしまったエピソードをご紹介します。

防犯意識の高まりから設置した高性能カメラ

これは、私が数年前に新築戸建ての取引でお世話になったAさん夫婦の話です。Aさんご夫妻は40代で、小学生のお子さまを含む4人家族。念願だった新築戸建て住宅を購入し、新生活をスタートさせたばかりでした。

周辺は落ち着いた住宅街でしたが、近隣では空き巣被害や車上荒らしの話題もあり、防犯への関心が高まっていたそうです。特にお子さまの安全を気にしていたご夫婦は、心配そうにこう話していました。

「このご時世なので、防犯対策はしっかりしておきたいです」

そこで入居後まもなく、玄関付近へ防犯カメラを設置します。選んだのはスマートフォンから映像を確認できる高性能モデル。

外出先からも映像を確認できるため「よかった…これなら安心できる」と、ご夫婦は満足していたそうです。設置後は特に大きなトラブルもなく、ご家族は安心して暮らしていました。

しかし数ヶ月後、その防犯カメラが思いもよらない近隣トラブルの発端になるとは、この時はまだ誰も想像していなかったのです。

隣家から届いた思わぬ苦情

ある日、隣家の方から声を掛けられたそうです。

「Aさん。少し相談があるのですが…」

最初は何の話か分からなかったといいます。すると隣家の方が、不安そうに尋ねてきました。

「おたくの防犯カメラですが、うちの敷地まで映っていませんか?」

Aさんは驚きました。

「…え?」

もちろん悪意はありません。防犯目的で設置しただけだったからです。しかし、隣家の方はこう言いました。

「家族が出入りする様子まで録画されている気がして落ち着かないんです」

まさに寝耳に水。突然の指摘にAさんご夫妻は戸惑いました。

「そんなつもりは全くありませんよ…。防犯のために設置しただけなんです」

必死に説明したものの、相手の不安は簡単には解消されませんでした。

近隣との関係が少しずつぎくしゃくし始める

隣家から指摘を受けた後も、Aさんご夫妻の不安は消えませんでした。これまで普通に交わしていた挨拶にも、どこかよそよそしさを感じるようになったそうです。

もちろん決定的な対立に発展したわけではありません。しかし、一度気になり始めると「もしかして防犯カメラのことを気にしているのだろうか」「近所でも何か言われているのではないか」と考えてしまいます。

Aさんは、こう振り返っていました。

「防犯のために設置しただけなのに、まさか近所のプライバシーに気を遣いながら生活することになるとは思いませんでした」

ご夫妻は次第に居心地の悪さを感じるようになります。近所の方と顔を合わせても以前ほど自然に会話できず、防犯カメラを見るたびに複雑な気持ちになっていったそうです。

防犯のために導入した設備が、思わぬ形で近隣関係へ影響を及ぼし始めていました。

確認すると隣家の駐車スペースが映り込んでいた

不安になったAさんは、防犯カメラの映像を改めて確認しました。すると予想外の事実が判明します。

玄関前や道路を撮影しているつもりでしたが、カメラの画角(撮影できる範囲)が広く、隣家の駐車スペースの一部まで映り込んでいたのです。車だけでなく、人の出入りも確認できる状態でした。

Aさんはその映像を見て初めて「これでは相手が不安になるのも無理はなかったかもしれない」と感じたそうです。すぐに設置業者へ相談し、

  • カメラの角度調整
  • 撮影範囲の見直し
  • 不要部分を映さない設定変更

を行いました。さらに隣家へ事情を説明し、謝罪したことで関係は徐々に改善していきます。幸い大きなトラブルには発展しませんでしたが、Aさんの中には強い後悔が残りました。

「防犯のことばかり考えていて、周囲からどう見えるかまでは考えていませんでした。設置前に撮影範囲を確認していれば、こんな気まずい思いをしなくて済んだと思います」

そう振り返っていたのが印象的でした。

防犯カメラは“撮る範囲”まで確認することが大切

防犯カメラは、空き巣対策や不審者対策として有効な設備です。一方で、戸建て住宅では道路や自宅敷地を撮影するつもりでも、隣地や隣家の駐車場、玄関周辺が映り込んでしまうケースがあります。

そのため設置前には、次のような点を確認しておくべきです。

  • 撮影範囲に隣地が含まれていないか確認する
  • 画角の広い機種は想像以上に広範囲が映ることに注意する
  • 録画の有無や利用目的を整理しておく
  • 必要に応じて近隣へ説明する
  • 設置後も実際の映像を確認して見直す

Aさんのケースでも、防犯目的で設置した設備そのものが問題だったわけではありません。実際には、撮影範囲を十分に確認していなかったことが相手に不安を与える原因となっていました。

戸建て住宅では、防犯対策と同時に近隣との関係も大切な住環境の一つです。

防犯のために設置した設備が思わぬトラブルのきっかけにならないよう、設置前には「どこまで映るのか」という視点も忘れずに確認しておきたいものです。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる