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「気のせいかと思っていました」車から突然の『カチカチ』音…放置した結果、整備士が青ざめた“思わぬ異変”

  • 2026.7.11
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

「ウインカーを出していないのに、どこからか『カチカチ』という音が聞こえる」

最初は数日に一度しか起きず、走行にも支障がないため、「接触不良かな」「そのうち直るだろう」と様子を見る人は少なくありません。しかし、この小さな異変がコンビネーションスイッチ内部の故障の始まりだったというケースがあります。

今回は、リレー音から始まり、やがてウインカーやヘッドライトの動作にも影響が及んだ事例をもとに、電装系トラブルの初期症状について解説します。

「たまに鳴るだけ」が始まりだった

「最近、ウインカーを出していないのに『カチカチ』って音がするんですよ」

整備工場へ相談に訪れたドライバーは、このように話しました。症状が出るのは数日に一度程度。しかも数秒で止まってしまいます。

「ウインカーは普通に点くんですよね?」

「はい。だから気のせいかと思っていました」

このような場合、整備工場へ持ち込んでも症状が再現しないことが珍しくありません。診断機にも異常が記録されず、「様子を見ましょう」となるケースもあります。

しかし、このような“たまにしか起きない”症状こそ、電装系トラブルの初期段階である可能性があります。実際、この車も数週間後には発生頻度が徐々に増え始めました。さらに右左折時にはウインカーの点滅タイミングが不安定になり、レバーを操作しても反応が遅れたり、一瞬だけ点滅が止まったりするようになったのです。

原因はコンビネーションスイッチ内部の接点摩耗

さらに症状は悪化していきました。

「最近はハイビームへの切り替えも違和感があります」

詳しく点検を進めたところ、原因はコンビネーションスイッチ内部の接点摩耗でした。コンビネーションスイッチとは、ウインカーやヘッドライト、ハイビームなどを操作するレバー部分のことです。長年の使用によって内部の金属接点が摩耗すると、摩耗粉によるリークや接触抵抗の増加が生じ、電気信号が正常に流れなくなることがあります。

その結果、

・ウインカーリレーが誤作動する
・操作していないのにリレー音が鳴る
・ウインカーの点滅が途切れる
・ハイビーム切り替えが不安定になる

といった症状が発生します。

最初はリレー音だけだったものが、接点の劣化が進むにつれて電気信号の途切れが増え、さまざまな電装機能へ影響が広がっていくのです。

ウインカーは周囲へ進路変更や右左折を知らせる重要な保安部品です。正常に作動しない状態で走行すると、周囲の車両との意思疎通ができず、事故につながる危険性があります。さらにヘッドライトの切り替えにも影響が出始めれば、夜間走行時の視認性や安全性まで低下してしまいます。症状が進行すると、ライト点灯系統にも不具合が発生する可能性があり、単なる異音では済まなくなるケースもあります。

「たまに鳴る」段階で点検することが重要

今回の車両はコンビネーションスイッチAssyを交換したことで症状は改善しました。交換後はリレー音も消え、ウインカー・ライトとも正常に作動するようになりました。

もし初期段階の異音だけで点検していれば、原因も特定しやすく、安全面への影響も最小限で済んでいたでしょう。電装系の故障は、エンジンのように突然止まるわけではありません。だからこそ、「まだ使えるから」と放置されやすい特徴があります。

しかし電気接点の劣化は自然に回復することはなく、多くの場合は少しずつ進行していきます。

日頃から、

・ウインカーを出していないのにカチカチ鳴る
・レバー操作の感触が以前と違う
・ハイビーム切り替えが引っ掛かる感じがする

このような小さな違和感があれば、一度点検を受けることをおすすめします。

修理費用は車種や部品構成によって異なりますが、コンビネーションスイッチAssyの交換で改善するケースも少なくありません。一方で、症状を放置して電装系への影響が広がると、診断や修理の範囲が大きくなり、結果として費用が増える可能性もあります。

「たまに鳴るだけ」という小さな異変が、安全装備の不具合へ発展することもあります。原因不明のリレー音は決して軽視せず、早めの点検につなげることが、安全で安心なカーライフへの第一歩です。


ライター:松尾佑人(二級ガソリン自動車整備士・二級ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り、約8年間整備に従事したのち、現役メカニックに向けた故障診断アドバイザーや各種講習の講師として活動。年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路や配線図の読み解きを基盤とした電子制御システムの解説を得意としている。


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