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「せっかくの限定車両だから…」つい夢中になる駅ホームの撮影。現役鉄道会社社員が伝える「SNS時代」の意外な落とし穴

  • 2026.7.10
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出典:PhotoAC ※画像はイメージです

皆さま、こんにちは。現役鉄道会社社員の福本明文です。

電車を利用する際、人気キャラクターのラッピング広告が施された車両や、レトロなデザインの特別車両などを目にして、思わずスマートフォンを向けて写真を撮った経験がある方は多いのではないでしょうか。鉄道ファンに限らず、電車を撮影して楽しむ人が増えるのは大変嬉しいことです。しかし一方で、駅のホームという特殊で危険な環境下での撮影時のマナーが課題となっています。

今回は、誰もが知っておきたいホームでの写真撮影のマナーについてご紹介します。

「幸せの黄色い新幹線」に群がる人々

先日、筆者が新幹線を利用した際、向かいのホームに黒山の人だかりができているのを見かけました。そこに停まっていたのは、2027年以降に運用終了予定となっているJR西日本所属の黄色い新幹線「ドクターイエロー」(T5編成)でした。

集まっていたのは本格的なカメラを構えた鉄道ファンというよりは、家族連れやたまたま通りかかった一般の方々が大半で、誰もが「幸せの黄色い新幹線」をスマホに収めようと夢中になっていました。

しかし、スマホでの手軽な撮影だからこそ、ヒヤリとする光景も目立ちました。前に立つ人を避けるために、ホーム柵から身を大きく乗り出して撮影しようとする人や、車両と我が子を一緒にカメラに収めようと、子どもをホーム柵より上へと高く持ち上げている保護者の姿があったのです。ホームに立つ駅員が懸命に注意を呼び掛けていましたが、あまりの賑わいに手が回っていない様子でした。

言うまでもなく、こうした行為が原因で列車との接触や転落といった事故が起きれば、本人の命が危険にさらされるだけでなく、新幹線の運行そのものに影響を及ぼします。

「自分はファンじゃないから」では済まされない危険性

鉄道各社もこうした事態に警鐘を鳴らしています。例えばJR東日本では、ウェブサイトなどで「当社施設内等における録音・撮影マナーに関するお願い」を公開し、危険な行為や、ホーム上での自撮り棒、三脚などの使用を控えるよう呼び掛けています。

「自分は鉄道ファンではないから関係ない」と思うかもしれませんが、旅行に出かけた際など、思い出として乗車する特急列車と記念撮影をしたことを思い返してみてください。ついテンションが上がって黄色い点字ブロックの外側や、ホームの端といった危険な場所で撮影していなかったか、思い当たることのある方も少なくないのではないでしょうか。

プライバシーと収益目的の撮影

さらに最近、特にクローズアップされているのがプライバシーへの配慮です。

鉄道の係員や他の乗客を無断で撮影することは控えるべきですし、もし風景の一部として他人が写り込んでしまった写真をSNS等にアップロードする場合には、顔や名札が判別できないよう加工を施すなどの配慮が求められます。これは、誰もがスマホに搭載された高性能なカメラを持ち歩き、日常的にSNSを活用する現代ならではの新しいマナーと言えます。

また、鉄道施設内での収益目的の撮影も問題視され始めています。記憶に新しいところでは、阪急電鉄が、SNS等における収益性のある投稿など営利活動につながり得る撮影や、個人のお客様によるライブ配信等のための撮影をお断りするという注意喚起を行い、話題となりました。企業として、自社の施設が無断で営利目的に利用されることを防ぎ、他のお客様の安全とプライバシーを確保するのは当然のことですが、どこからが趣味でどこからが営利かの線引きが難しいという現状もあります。

安全を守りながら楽しんでほしい

鉄道会社は、利用者の皆さんに親しんでいただけるよう、さまざまなデザインの車両やキャラクターとコラボした車両を走らせる工夫を行っています。ホームでカメラを向ける人が増えたのは、その取り組みが実を結んだ結果でもあり、鉄道会社としては厳しく撮影を制限するよりも、マナーと安全を守った上で鉄道を楽しんでほしいという気持ちが大半であると考えられます。

筆者自身も一人の鉄道会社社員であり、また、いち鉄道ファンとして、より多くの方に鉄道の魅力を知ってほしいと願っています。だからこそ、駅のホームという場所が持つ危険性を理解し、誰もが気持ちよく安全に過ごせるよう、撮影時のマナーを意識して守っていただけるようお願いします。


参考:
当社施設内等における録音・撮影マナーに関するお願い(JR東日本)
鉄道施設内での撮影について 個人のお客様による趣味等での撮影について(阪急電鉄)


ライター:福本明文
大学卒業後、鉄道会社に総合職として入社し、同業界に15年以上従事。鉄道部門だけでなく、タクシーやバス、小売りといった関連事業にも幅広く携わる。現在はWebライターとしても、広報を担当した経験を活かし、コラム記事の執筆からSNSへのコンテンツ提供まで多岐にわたって活動中。


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