1. トップ
  2. 暮らし
  3. 駐車場で見つけた10円玉サイズのシミ→数ヶ月間放置した結果…待ち受けていた“数十万円”の大誤算

駐車場で見つけた10円玉サイズのシミ→数ヶ月間放置した結果…待ち受けていた“数十万円”の大誤算

  • 2026.6.26
undefined
出典:PhotoAC ※画像はイメージです

元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

駐車場に停めた車の下に、10円玉ほどの小さなシミを見つけたことはありませんか。

「毎回ではないし、少しだから大丈夫だろう」「車検も近いし、そのとき見てもらえばいいか」

そんな判断が、思わぬ高額修理につながることがあります。

今回は、わずかなオイル漏れを放置したことでエンジン内部に深刻なダメージが発生し、最終的に大掛かりな修理が必要になった事例を紹介します。

小さなシミだから大丈夫。その判断が危険だった

ある日、Aさんは自宅の駐車場で車を動かしたあと、地面に小さな黒いシミが付いていることに気付きました。大きさは10円玉程度。

「オイルかな?」

と思ったものの、その後は何日も跡が付かないこともあり、特に気にしていませんでした。実際、オイル漏れは初期段階では毎回同じ量が漏れるとは限りません。エンジンの温度や駐車時の傾き、走行距離などによって症状が変化するため、「今日は漏れていないから大丈夫」と判断してしまうケースは少なくありません。

実はこのオイル漏れの原因は、エンジンオイルシールの劣化でした。ゴム製のシールが経年劣化によって硬化し、わずかな隙間からオイルがにじみ出していたのです。ここで注意したいのが、最近の車の多くにはエンジン下部にアンダーカバーが装着されていることです。

「地面のシミが小さいから漏れも少量だろう」

と思われがちですが、実際にはアンダーカバーの裏側にオイルが溜まり続けていることがあります。整備工場でカバーを外してみたら、想像以上の量のオイルが付着していたというケースも珍しくありません。つまり、地面にシミが見えた時点で、すでに漏れが進行している可能性があるのです。

オイル警告灯が一瞬点灯。すでにエンジンは悲鳴を上げていた

それから数か月後。Aさんは特に異常を感じることなく車を使い続けていました。ただ、ある日の走行中に違和感を覚えます。

「今、警告灯が一瞬光った気がしたな」

信号待ちで確認すると消えていたため、そのまま運転を続けました。実はこの時、漏れ量は徐々に増加しており、エンジンオイル量は確実に減少していました。エンジンオイルは単なる潤滑剤ではありません。金属同士の摩擦を防ぎ、冷却や洗浄など重要な役割を担っています。その量が不足すると、エンジン内部の各部品は正常な油膜を維持できなくなります。

ところが警告灯は、「少し減った」段階では点灯しません。多くの場合、かなり危険な状態になって初めて点灯するため、「警告灯が消えたから問題ない」と考えるのは非常に危険です。

そしてある日、高速道路を走行中に状況が悪化しました。エンジン内部の油圧が低下し、クランクシャフトを支えるメタルベアリング部分の潤滑が不足。金属同士が直接接触する状態が発生したのです。

しばらくすると、「カタカタ」という異音が聞こえ始めました。本来は直ちに停車すべき危険な状態ですが、Aさんは不安を感じながらも何とか帰宅しました。しかしエンジン内部ではすでに深刻な摩耗が進行していました。

初期なら数万円、放置すれば数十万円になることも

翌日、整備工場へ入庫したAさん。診断結果を聞いて驚きました。

「かなり内部まで傷が入っていますね。エンジンの分解修理が必要です」

「そんなに悪かったんですか?」

「最初のオイル漏れの段階で修理していれば、比較的軽い作業で済んだ可能性があります」

漏れの原因となったオイルシール交換だけで済む段階であれば、比較的費用を抑えられた可能性がありました。しかしエンジン内部の摩耗が進行した結果、オーバーホールや部品交換が必要となり、修理費用は大幅に増加してしまったのです。

もちろん修理費用は車種やエンジン構造、交換部品の範囲、依頼先によって大きく異なります。数万円程度で済むケースもあれば、数十万円規模になるケースもあります。特に近年の車は構造が複雑化しており、エンジン脱着を伴う作業になると費用負担も大きくなりがちです。だからこそ重要なのは、「まだ走れるから大丈夫」という判断をしないことです。

駐車場にできた小さなシミは、単なる汚れではなく車からのSOSかもしれません。オイルのにじみや漏れは自然に直ることはなく、多くの場合は徐々に悪化していきます。もし車の下に黒っぽいシミや油の跡を見つけたら、早めに整備工場で点検を受けることをおすすめします。小さな異常の段階で対処することが、結果的に大きな故障や高額修理を防ぐ最善の方法なのです。


ライター:松尾佑人(二級ガソリン自動車整備士・二級ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り約8年間整備に従事し、現役メカニックに向けた故障診断アドバイザーや各種講習の講師として活動。 年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路や配線図の読み解きを基盤とした電子制御システムの解説を得意としている。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる