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「タイヤを替えても直らない…」100km/h付近で発生する謎の振動…プロが指摘した“意外な盲点”

  • 2026.6.30
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

高速道路を走っているときだけハンドルが細かく震える。そんな症状が出ると、多くの人は「タイヤのバランスが悪いのだろう」と考えます。実際、高速域で発生する振動の原因としてタイヤは代表的な存在です。しかし、タイヤを交換しても改善しないケースも少なくありません。

今回は、100km/h前後で発生する振動を放置した結果、あと一歩で走行不能になるところだった事例をもとに、高速走行時限定の振動に隠された危険な故障について解説します。

「タイヤが原因だと思っていた」高速域だけ現れる不思議な振動

「最近、高速道路を走るとハンドルが少しブレるんですよね」

整備工場を訪れたドライバーはそう話しました。症状が出るのは100km/h前後。街中を走っているときにはほとんど気にならず、一般道では違和感もありません。

「タイヤのバランスじゃないですか?」

「たぶんそうだと思います。ちょうどタイヤも古かったので交換したんですが」

ところが、タイヤ交換後も症状は消えませんでした。さらにホイールバランスの再調整も実施しましたが改善なし。通常、高速走行時のハンドル振動は、タイヤの偏摩耗やホイールバランス不良が原因として挙げられます。そのため、まずタイヤを疑うのは自然な流れです。しかし、この車はタイヤ関連の点検を行っても異常は見つかりませんでした。

それでもドライバーは、

「高速だけだし、街乗りは問題ないから大丈夫だろう」

と判断し、そのまま使用を続けていました。ところが数か月後、振動は明らかに悪化していきます。以前はハンドルが軽く震える程度だったものが、車体全体に伝わるような振動へ変化していったのです。

アクセルを踏むと悪化。原因はドライブシャフト内部の摩耗だった

再び整備工場を訪れた際、整備士はある特徴に気付きました。

「アクセルを踏むと振動が強くなりませんか?」

「そう言われると、加速中が一番ひどいですね」

実はここが重要なポイントでした。タイヤやホイールが原因の場合、速度に比例して振動が発生することはありますが、アクセル操作によって症状が大きく変化することはあまりありません。一方で、駆動系の異常は加速時に症状が強く現れることがあります。そこで車両をリフトアップし、足回りや駆動系を詳しく点検したところ、原因は意外な場所にありました。

ドライブシャフトのインナージョイントです。ドライブシャフトはエンジンやトランスミッションの動力をタイヤへ伝える重要な部品で、前輪駆動車では走行中、常に回転し続けています。点検すると、インナージョイント内部に大きな摩耗が発生していました。ジョイント内部の部品がすり減ったことで、本来スムーズに回転するはずのシャフトにガタが発生していたのです。

「振動の原因はこれです。加速時にシャフトが暴れてしまっています」

街乗りでは回転数や負荷が比較的小さいため症状が目立ちません。しかし高速走行中はシャフトの回転速度も上がるため、わずかなガタでも大きな振動として現れることがあります。その結果、100km/h付近でハンドルや車体全体が震えるようになっていたのです。

放置すると走行不能になることも。高速域の振動は軽視しない

さらに点検を進めると、ジョイント内部の摩耗は想像以上に進行していました。

「この状態だと危なかったですね」

ドライブシャフトのインナージョイントは摩耗が進行すると、最終的には内部部品が破損する可能性があります。破損した場合、エンジンの力がタイヤへ伝わらなくなり、自走できなくなることもあります。もし高速道路上で症状が急激に悪化すれば、走行継続が困難になる危険性も否定できません。

今回の車両はドライブシャフトを交換することで症状は解消しました。交換後の試運転では、100km/hを超えても振動は発生せず、加速時の違和感も完全になくなりました。

高速道路で発生する振動というと、多くの人がタイヤやホイールを疑います。しかし実際には、ドライブシャフトやハブベアリング、サスペンションなど、さまざまな部品が原因となる場合があります。特に注意したいのは、「タイヤ交換をしたのに改善しない振動」です。

「交換したのに直らないけど走れるから大丈夫」

そう考えて放置すると、故障が進行して思わぬトラブルにつながることがあります。高速域限定であっても、ハンドルや車体に振動を感じた場合は早めの点検が重要です。特にアクセルを踏んだときに振動が強くなる場合は、タイヤ以外の駆動系トラブルが隠れている可能性があります。

高速道路を安全に走行するためにも、「高速だけだから大丈夫」と自己判断せず、原因をしっかり突き止めることが大切です。


ライター:松尾佑人(二級ガソリン自動車整備士・二級ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り約8年間整備に従事し、現役メカニックに向けた故障診断アドバイザーや各種講習の講師として活動。 年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路や配線図の読み解きを基盤とした電子制御システムの解説を得意としている。


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