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「駐車場が空いてない…」W杯で限界を迎えるクルマ移動、海外ファンが実践する“ラスト1マイルの渋滞回避術”

  • 2026.6.30
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

サッカーのワールドカップ観戦において、いまやチケットの確保と同じくらい頭を悩ませるのが会場へのアクセスです。駐車場料金の高騰や大渋滞を前に、クルマで会場の目の前まで行くという発想が限界を迎えつつあるようです。

そこで注目を集めているのが、電動キックボードなどを活用したラスト1マイル移動。大規模イベントにおける最新の移動事情と、これからのクルマとの賢い付き合い方をひも解きます。

駐車場探しで疲弊…?大イベントで限界を迎えるクルマ移動

心待ちにしていたスポーツ観戦や音楽フェスへ出かけたものの、会場付近の大渋滞に巻き込まれてイライラしてしまった経験はないでしょうか。あるいは、ようやく目的地周辺に到着したのに空いている駐車場がまったく見つからず、周辺を右往左往しているうちにイベントが始まる前からすっかり疲れ果ててしまった、という方もいらっしゃるかもしれません。せっかくの非日常を楽しむイベントなのに、移動のストレスで台無しになってしまうのは非常にもったいないことです。

実はこうした会場へのアクセスに関する悩みは、日本の日常的なイベントに限った話ではありません。世界中から人が集まるビッグイベントでも、交通渋滞や駐車場不足は深刻な課題となっています。

今まさに北米で開催されているワールドカップでも、会場周辺の駐車場代の高騰や渋滞が問題として挙げられています。それならばタクシーや配車サービスを利用すればよいと考えるかもしれませんが、こちらも決して万能な解決策にはならないようです。イベントの前後には需要が極端に集中するため、料金が通常の数倍から数十倍に跳ね上がる現象が起きます。ときには1,000ドル近い請求額になるという報告もあるほどで、経済的な負担は決して小さくありません。

このように、自家用車であれ配車サービスであれ、クルマを使って会場の目の前まで行くというこれまでの当たり前が、世界中の大規模イベントにおいて少しずつ限界を迎えつつあると言えそうです。

会場の手前で降りる?W杯で大量投入される電動モビリティ

会場の目の前までクルマで行くことが難しくなっている状況に対して、いま大きな期待を集めているのが、目的地の手前でクルマを降りるという新しいアプローチです。

実際に、電動自転車や電動キックボードのシェアサービスを展開するLime(ライム)は、ワールドカップが開催されるアメリカやメキシコの一部の都市を中心に、計1万4,000台もの電動自転車と電動キックボードを追加で投入しています。

こうした開催都市における大規模なモビリティ投入は、観光客向けの単なるサービス拡充にとどまりません。利用者がシェアモビリティを1回利用することで、渋滞の原因となるクルマ1台と、そのクルマが占有する駐車場1台分のスペースを物理的に減らすことができるという明確な狙いがあります。

ここで重要になってくるのが、「ラスト1マイル」と呼ばれる目的地までの最後の短距離移動という考え方です。目的地までの全行程をひとつの移動手段で完結させるのではなく、少し離れた場所にクルマを停めて、残りの数キロだけを小型の電動モビリティで移動する。こうした新たな潮流が、大規模イベントを支える切り札として生まれつつあります。

渋滞を横目にスムーズに。海外ファンが支持する身軽な移動

このラスト1マイルを別の手段で補うスタイルは、単なる妥協策ではなく、利用する側にとっても非常に大きなメリットをもたらしています。

実際に海外のサッカースタジアム周辺で電動キックボードなどを利用するファンからは、試合終了後の激しい混雑や高額なタクシー料金を避けて、自分のペースでスムーズに抜け出せるという好意的な声が上がっています。さらに、厳しい交通規制が敷かれたエリアや満員の公共交通機関を気にすることなく、周辺のイベントエリアなどを自由に巡ることができる身軽さも、多くの支持を集める理由になっているようです。

少し離れた場所から小型モビリティを活用することは、イベントの行き帰りのストレスを取り除き、より自由度の高い移動を実現する合理的な選択として、現地の人々に受け入れられ始めているのです。

便利な反面、注意も必要。知っておきたいルールと課題

自由で快適な選択肢として広がりを見せている電動キックボードですが、もちろんあらゆる問題を解決してくれる魔法の乗り物というわけではありません。便利さの裏側には、私たちがしっかりと向き合うべき課題も存在しています。

日本においても、特定小型原動機付自転車としての普及が進む一方で、一部の利用者によるマナーの欠如が悪質な放置駐車を招き、社会問題として指摘されています。また、歩行者との接触リスクや、悪天候時には著しく利便性が低下するといった弱点も無視できません。

とくに懸念すべきなのは、警察庁の発表データにおいて、電動キックボード等における飲酒運転絡みの事故率が自転車に比べて非常に高い水準にあるという点です。イベントでお酒を楽しんだ後に、軽い気持ちで乗ってしまうケースがあるのかもしれませんが、これは大変危険な行為です。利用する際には、地域ごとの細かな走行ルールや専用駐輪場の有無を事前に確認し、何よりも歩行者や自分自身の安全への配慮を怠らないことが不可欠です。

日本のレジャーにも。これからの賢いイベント移動術

安全への配慮というクリアすべき課題はあるものの、混雑を予測してスマートに移動を設計するという考え方そのものは、日本のレジャーにおいても大いに役立つはずです。

夏の花火大会や大型の音楽フェス、あるいは人気の観光スポットなどでも、周辺の大渋滞を避けるための取り組みが全国各地で少しずつ広がりつつあります。

たとえば、あえて会場から数駅離れた場所にクルマを停め、そこから公共交通機関に乗り換えて会場へ向かうパークアンドライドは、その代表的な例と言えます。また、会場周辺で空き駐車場を探してぐるぐると走り回る無駄な渋滞を防ぐために、事前に確実な駐車スペースを予約できる駐車場シェアリングサービスを活用してスムーズに現地へアクセスする工夫なども、各地で注目を集めています。

こうした日本での渋滞回避の工夫も、ワールドカップで推進される電動モビリティの活用も、根本にある「混雑を予測してスマートに移動を設計する」という発想は共通しています。だからこそ、これからの大規模イベントや観光地巡りでは、いかにクルマで目的地にギリギリまで近づくかではなく、どこにクルマを停めてどのようにアクセスするかという事前の設計がより重要になってくるのではないでしょうか。

クルマは非常に素晴らしい移動手段ですが、状況に応じて「あえて使わない」という選択や、いかに効率的に活用するかを見極めることも大切です。

駐車場探しや渋滞でイベント前に疲弊してしまわないために、世界中が注目するワールドカップの新しい移動スタイルをヒントにしてみてはいかがでしょうか。混雑を上手に避ける工夫や、最後の道のりを別の手段で楽しむ余裕を持つことができれば、レジャーに出かける際の不快な渋滞を回避し、より快適に休日を満喫できるかもしれません。



ライター:Masaki.N
自動車メーカーで車体開発エンジニアとして設計・先行開発に携わった後、マーケティング/市場リサーチ領域で商品導入・訴求設計にも従事。さらに自動車サブスク系ITベンチャーでマーケティングを担当し、ユーザー視点のコミュニケーション設計を経験。現在は自動車ライターとして、新車情報、技術解説、モデル比較、中古車相場、維持費、業界動向まで幅広く執筆。SEO記事・コラム・インタビューなど媒体横断で制作し、専門知識を生活者の言葉に翻訳して「買う/持つ」の判断を支援します。加えて、カスタムを含む実車取材・体験を通じて得た一次情報を記事に落とし込み、机上の知識にとどまらない“現場感”のある解説を強みとしています。


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