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全3話のNHKドラマ“続編”に歓喜「心から待っていた」「ドラマも原作も傑作」短いからこそ“余韻が残った”シーズン1

  • 2026.6.13

2024年にNHK総合で放送されたドラマ『リラの花咲くけものみち』続編が、2026年夏に放送される。SNS上でも「ドラマも原作も傑作」「つづきを心から待っていた」とすでに期待の声が絶えない本作。シーズン1は全3話で短尺なのにも関わらず心が揺さぶられたのは、獣医の現場に宿る“1秒の重み”を視聴者に追体験させたからだろう。引きこもりだった18歳・聡里(山田杏奈)が、北海道で命に触れる。その割り切れなさが、余韻になって残った。

※以下本文には放送内容が含まれます。

説明を削って、1秒に重みを持たせる

全3話という短さは、連続ドラマとしてはともすると、駆け足に思いがちかもしれない。しかし『リラの花咲くけものみち』においては、その短さはタイパの象徴などではない。むしろ無駄な説明を削ぎ落としたうえで、視聴者を否応なく現場に放り込む。
獣医の世界は、迷っている間にも動物たちの容体が変わる。判断が遅れれば、命に関わる。

だからこのドラマは、ある意味、視聴者に対して丁寧な姿勢ではない、と言えるかもしれない。理解する前に、身体で、感覚に訴えかける。心が追いつけないままに進んでいく時間が、逆に“命の決断のスピード感”を身体に刻みこむ。

タイパ至上主義の時代に対して、本作がやっているのはその逆だ。短いからこそ、1話ごとの1秒が重い。見終えたあと、すぐ次へ流せない余韻が残る。それは“速さ”のための短さではなく、“割り切れなさ”を圧縮する短さなのだ。

停止から、前進へ

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山田杏奈(C)SANKEI

主人公・岸本聡里は、3年前まで引きこもっていた。友だちは、今は亡き犬のパールだけ。祖母の牛久チドリ(風吹ジュン)との生活で少しずつ立ち直り、動物を救いたいという夢を抱いて獣医師を志す。
慣れない北海道での寮生活、初めての獣医学、共同生活、アルバイト、友情、そして恋。彼女にとっての初めての体験が連続する眩しさは、同時に息苦しさでもある。

ここで描かれる成長は、何かを完全に乗り越える強さと同義ではない。無力感に襲われ、逃げ出したくなり、それでも現場に残る選択を繰り返す強さだ。聡里は少しずつ、獣医としての速度に身体を合わせていく。引きこもりの時間は、外界から切り離された止まった速度だった。獣医の現場は、その反対に、進み続ける速度だ。

北海道の白樺道や原始林、初夏に咲くリラの花は、命が生きる速度を黙って提示する装置として効いていた。人間の都合で止められない季節と自然の移ろいが、聡里の一歩と重なっていく。

救うために、救えない命

このドラマが、原作とともにSNS上でも傑作と称されるのは、動物たちが可愛いからではない。もちろんその側面もあるだろうが、それ以上に救いたくても救えない命を、逃げずに正面から捉えているからだろう。
馬や牛などの産業動物、犬や猫などの伴侶動物。命が生活や産業と結びつく現実が、ドラマの手触りを厚く硬くする。生まれる瞬間に心が震えた直後に、無情な死が訪れる。時に迫られる、命の選択。

それらは、3話でまとめてしまうには重すぎるかもしれない。だからこそ、本作は結論を急がない。答えを出さないまま、視聴者の生活へそっと返す。その返し方が、いちばん誠実だった。

2026年夏に放送予定の続編では、聡里たちは国家試験を突破し、獣医師として歩み出す。そこへ、特定家畜伝染病という過酷な試練が……。命を救うために命を絶つ、シーズン1が抱えた割り切れなさは、続編でもさらに試されることだろう。
新たに上川隆也演じる犬飼健太郎が加わるのも心強い。導き手が必要になるほど、現場は苛烈になるはずだから。

3話という短さだからこそ、1秒が重い。そして重い1秒は、見終わってからも心の中で鳴り続ける。


出典:ドラマ『リラの花咲くけものみち』NHKアーカイブス

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X:@yuu_uu_

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