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夜中に突然、“激しい頭痛と吐き気”に襲われた50代女性→翌朝、目を覚ますと…直面した“恐ろしい事態”に「放置しなければ…」

  • 2026.6.21
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

みなさまこんにちは。日々みなさまの周術期の安全を支える麻酔科専門医の松岡雄治です。今回は、頭痛と勘違いしやすい「目の危機」について解説します。

「夜中に突然、激しい頭痛と吐き気に襲われたけれど、いつもの偏頭痛だろう。暗い部屋で横になっていれば治るはず」50代女性のAさん(仮名)はそう思い込み、痛みをこらえて布団の中で目を閉じていました。

しかし、翌朝、片目の視界が激しくぼやけ、ほとんど見えない状態になっていました。救急受診した先で「急性緑内障発作」と診断されましたが、一晩放置しただけで視神経は不可逆的なダメージ(一生残る傷)を受け、片目に重篤な視力障害を残してしまいました。

遠近感が掴めず、車の運転もできなくなった不便な生活。「あの時、放置しなければ」と後悔しても、失われた光はすぐには戻りません。

眼球がパンパンに。暗い部屋が引き起こす「出口の閉鎖」

なぜ「暗い部屋で休む」という一見なんの害にもならないはずの行動が、取り返しのつかない視力低下を招いたのでしょうか。それは、目の中の液体の出口が、複雑な連鎖反応を経て塞がれてしまうからです。

【暗い部屋が視神経を壊すフロー】
・瞳孔の拡大(散瞳):暗い部屋に入ると、光を取り込もうとして瞳孔が大きく開きます(黒目が大きく見える状態)。
・瞳孔ブロックの発生:瞳孔が開くことで虹彩と水晶体が密着し、目の中の栄養液(房水)の流れがせき止められます。
・虹彩の膨らみ:せき止められた房水の圧力で、虹彩(茶目)が前方へ押し出されます。
・出口(隅角)の完全閉鎖:栄養液の出口に蓋をしてしまいます。
・眼圧の異常上昇と視神経の破壊:行き場を失った房水は目の中に溜まり、眼圧が急上昇します。繊細な視神経にも圧力がかかり、一晩で不可逆的なダメージを与えるのです。

【眼圧上昇から症状が至るメカニズム】
・眼圧が高まると目に分布する三叉神経が刺激されて頭痛が生じます。
・また、三叉神経を介して、迷走神経が刺激されることで吐き気を生じるのです。

「いつもの偏頭痛」という思い込みと、見逃されやすい「目のSOS」

「頭痛と吐き気か、疲れているのかな」「頭が痛いし眩しいから部屋を暗くして寝ていよう」。

そう自分に言い聞かせ、痛みをやり過ごそうとするのはごく自然な対応です。痛みの原因が「目」にあるとは想像もつかないかもしれません。また実は早めに対応すべき状態だと気づくのはさらに難しいでしょう。

急性緑内障発作では、眼圧が正常値の数倍にもなり、激しい頭痛や嘔吐を引き起こします。

さらに危険なのが、痛みを和らげようと「暗い部屋で休む」という対応です。前述の通り、暗闇は瞳孔を開かせ、出口を塞ぐ一連の流れ(瞳孔ブロック)を引き起こす引き金となってしまいます。また、市販の風邪薬や胃腸薬の中には瞳孔を開かせる成分(抗コリン作用)が含まれているものがあるため、自己判断で頭痛を抑える効果もあるからと服用するとさらに悪化させる危険があります。

手遅れになる前に、確認すべき3つのサイン

取り返しのつかない視機能障害を招く前に、激しい頭痛や吐き気を感じたら「目」の異変を振り返ってみてください。以下のサインがある場合、眼球がパンパンになっている可能性があります。

1. 電灯の周りに虹のような輪が見える(虹視症)

眼圧の急上昇によって角膜(黒目)がむくみ、光が乱反射している特徴的なサインです。

2. 急に視力が落ちる、目がかすむ(霧視)

角膜がむくむことで、すりガラス越しに見ているように視界がぼやける危険な状態です。

3. 白目が真っ赤に充血し、目が石のように硬くなる

異常な圧力で眼球が張り詰め、充血します。特に、一般的な疲れ目の充血と異なり、白目と黒目の境目が強く充血する毛様充血を起こすことが特徴的です。

「頭痛」と「吐き気」は要注意。我慢せずにぜひお気軽に受診してください。

「頭痛と吐き気から目の緊急疾患だと気付けないことは無理もありません。

しかし、頭痛と吐き気が同時に起こるのは緊急疾患が多いことはぜひ知っておいていただきたいサインです。頭の中で出血が起きた時や、今回のケースなどが該当します。

急性緑内障発作は早期に発見し、レーザーや手術で房水の通り道を確保すれば、重篤な視力障害を十分に防ぐことができる病気です。しかし、一方で、放置すると数日で失明の危険すらあるとてもこわい病気でもあります。

「急な激しい頭痛と吐き気」に襲われたら、まずは「見え方の変化」がないかチェックしてみてください。そして少しでも目に異常を感じたら、暗い部屋で我慢せず、迷わず眼科や救急外来を受診してください。


監修者・執筆:松岡 雄治

総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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