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家族で焼肉に行った夜。「胃もたれしている…」“市販の胃薬”を飲んで放置→数日後、40代女性の身体を襲った“恐ろしい異変”

  • 2026.6.9
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

みなさまこんにちは。周術期の全身管理を通じ、多くの救急疾患に向き合う麻酔科専門医の松岡雄治です。

今回は、食べ過ぎだと考えたみぞおちの不快感と痛みが、実は胆嚢炎による敗血症だったというケースをご紹介します。

「ちょっと食べ過ぎちゃったかしら、また胃もたれしているみたい」

久しぶりの焼肉を家族で楽しんだ夜。みぞおちの痛みを市販の胃薬でやり過ごそうとした40代女性のCさん(仮名)。しかし数日後、Cさんは、敗血症によるショック状態で救急搬送され、胆のう摘出と集中治療を余儀なくされる過酷な現実でした。

なぜ「いつもの胃痛だろう」という油断が、大変な未来につながってしまったのでしょうか。

胃薬で対応している間に着々と進行する「臓器の壊死」

なぜ「ただの胃痛」が、集中治療が必要な敗血症にまで発展するのでしょうか。その背景には、胆のうにできた石(胆石)が引き起こす恐ろしい連鎖があります。

【胆のう炎・胆管炎が悪化するフロー】

  • 石の詰まり:脂っこい食事の刺激で胆のうが強く収縮し、胆嚢の中にできた石が、胆嚢から腸に続く管に転がり落ちて排出経路を塞ぎます。
  • 細菌の猛繁殖:せき止められて行き場を失った胆汁の中で、腸内細菌が一気に繁殖し激しい炎症が起こります。
  • 壊死と敗血症:パンパンに腫れた胆のうが壊死したり、増殖した細菌が血液に乗って全身を駆け巡る「敗血症」を引き起こしたりして、命を脅かすこともあります。

「いつもの食べすぎ」という油断と「胆石」は意外と身近だという現実

「仕事も頑張ったし、週末くらい脂っこいお肉をお腹いっぱい食べたい」「胃が痛いときには、胃薬を飲んで寝れば治るだろう」。忙しい日々で、せめて食事くらいは制限なく楽しみたいと思うのは、人間としてごく自然な心理です。

また、胆嚢に石ができるなんてきっと珍しいことだと感じられるかもしれません。
しかし、実は、成人の約10人に1人が胆石を持っており、肥満の方の場合、胆嚢に石を持っている割合は25%にも上るとされています。その多くは普段、無症状のままお腹の中に潜んでいます。そこに焼肉や天ぷらなどの脂質の多い食事を大量にとると、消化のために胆のうが強く収縮し、石が管へと押し出されやすくなるのです。

恐ろしいのは、自分で「ただの消化不良」と思い込み、本当は胆のうが炎症を起こして悲鳴を上げているのに放置してしまうことです。

重症化を防ぐために、確認すべき3つのサイン

食後にみぞおちの痛みを感じたとき、それが「ただの胃痛」か「危険な胆のうの炎症」かを見極めるため、以下の3つをご確認ください。

1. 右脇腹や右肩へ抜ける痛みがある

胃の痛みでは、みぞおち付近が痛みますが、胆のうが原因の場合、右側のあばら骨の下から右肩や背中にかけて、突き抜けるような強い痛み(放散痛)が走ることがあります。

2. 痛みが数時間以上、一定して続く

ただの胃痙攣のように波がある痛みではなく、激しい痛みが数時間以上持続します。

3. 発熱や寒気を伴う

胃もたれとの違いとして全身症状が挙げられます。細菌が繁殖し、全身に炎症が広がっている危険なサインです。胃もたれではこういったことは基本的にありません。

食後に普段と違う痛みや違和感を感じたら

「脂っこいものを食べたから胃に不快感を感じるだけ」と自分に言い聞かせ、病院に行くのをためらってしまうお気持ちはよくわかります。痛みが強かったとしても、胆嚢からの出口に石が嵌り、炎症が起きていると気づくのは難しいでしょう。

まずは、「食後に激痛と発熱があったら、すぐに消化器内科を受診する」と心に留めておきましょう。受診することで、全身状態が悪化した状態で緊急手術をしたり、術後に集中治療を受ける必要がなくなるかもしれません。その気づきを無駄にしないためにも、普段と違うご自身の不調を感じた時には、ぜひお気軽に受診してください。


監修者・執筆:松岡 雄治

総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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