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工場を経営する50代男性→「高く売れるから」作業で出た“鉄クズ”を売却…7年後、税務調査の結果に“青ざめたワケ”【税理士は見た】

  • 2026.6.19
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは!税理士・元国税調査官の神崎遊です。

「従業員から“おやっさん”と慕われている夫なんです」

そう語るのはご主人が経営する会社で経理を担当している50歳男性のAさん(仮名)です。

ご主人は従業員20人を抱える町工場を経営していました。そんなご主人の“ある善意”が、後に思いもよらない結末を招くことになります。

「あなた!この鉄クズ高く売れるらしいわよ」

創業から1年ほど経つまでは、作業過程で発生した鉄クズはずっと放置していたとのこと。

ある日、金属価格が高騰しているニュースを見たAさんは、ご主人に報告。ご主人はすぐにリサイクル業者に売りに行くことにしたそうです。その時の売却代金は20万円。

「売れたお金は従業員のランチ代に使ってあげよう」

それからはご主人が言ったとおりにして、売却代金は従業員のランチ代に使われるようになりました。

「売ったお金は全額、従業員のランチ代に使っていたので、帳簿に記載していませんでした」Aさんは当時をそう振り返ります。

それから7年後、夫婦の会社は税務調査を受けることになりました。

税務調査官の一言で空気が変わった

税務調査当日、応接室にはAさんとご主人が並んで座っていました。会社設立から8年が経過し、初めての税務調査でした。

「それでは鉄クズの売却について確認させてください」

税務調査官からのその一言で、Aさんは背筋がヒヤッとしました。

「売却代金は従業員のランチ代と相殺しているので計上はしていません」

売上と経費(ランチ代)が同額なら、会社の利益は増えていないので問題ないだろう。そう、考えていたそうです。

「鉄クズの売却金額が分かる資料を見せてください」

「……捨ててしまいました」

その回答に、税務調査官は淡々とメモを取っていました。領収書等や帳簿が残っていないことから、税務調査官はリサイクル業者へ事実確認を行うこととなりました。その結果、過去7年間における鉄クズ売却金額が500万円にも上ることが判明。

「従業員のために使っているのだから説明すれば分かってもらえるはず」

しかし、結果はAさんの淡い期待を裏切ることとなりました。

「従業員のために使った」は通用しない

「売上として計上されていない以上、申告もれとして扱わざるを得ません」

しかも、鉄クズ売却時に受け取った書類を捨てていたことが重く見られ、重加算税の対象と判断されてしまいました。さらに、領収書等がないので従業員の飲食代を経費として立証できませんでした。

経費として認められるためには領収書等が保存されていることが原則です。しかし、Aさん夫婦は従業員に領収書等を持ってくるように指示していなかったのです。

そのため、最終的に本税、重加算税、延滞税を合わせて200万円以上を支払う結果になってしまいました。

ご主人が新入社員に伝えていること

ご主人は今では新入社員が入社する際に「領収書は必ず残しておくように」と口酸っぱく伝えているそうです。善意であっても、正しく記録されていなければ税務上は認められないことがあります。

売上や経費を正しく記録し、証拠書類を残しておくことの大切さを痛感させられる事例でした。


※本記事は元国税調査官としての実務体験を基に、複数の事例を再構成したものです。

執筆:税理士・元国税調査官 神崎遊

国税組織で12年間勤務し、法人税調査を中心に200件以上の税務調査に従事。現在は「ゆとり税務会計」を運営し、中小企業・個人事業主の税務支援を行っている。

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