1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. “1,200万の終身保険”に加入した60代夫婦→「早めに受け取りたい」払込完了から3年で解約するが…銀行で発覚した“想定外の事実”

“1,200万の終身保険”に加入した60代夫婦→「早めに受け取りたい」払込完了から3年で解約するが…銀行で発覚した“想定外の事実”

  • 2026.6.28
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関勤務のおがわ163です。20年間、金融機関の窓口で資産運用や家計相談に携わってきた経験をもとに、お金にまつわるリアルなエピソードをお届けしています。

「払込が終わったら早めに受け取った方がいい」そう思って保険を解約したら、待ち続けた夫との間に大きな差が生まれてしまった──そんな話を窓口でお聞きしました。今回は、同じ保険に加入していた60代夫婦の明暗を分けた「解約のタイミング」についてご紹介します。

「老後の年金が心配だから、早めに受け取りたい」

15年前、60代のAさん夫婦は老後の資金づくりのために、同じ円建て終身保険にそれぞれ加入しました。毎月10万円の保険料を10年間払い続け、払込総額はそれぞれ1,200万円。

払込完了を迎えた5年前、妻のAさんは「老後の年金が少ないから、早めに受け取って生活費の足しにしたい」と考えました。払込完了直後は返戻率が100%を下回ることを担当者から聞いていたため、3年待ってから解約。解約返戻金は約1,230万円(返戻率約102%)でした。

「払い込んだ分より少し増えて戻ってきたし、これで老後の足しになる」とAさんは安心していました。
一方、夫も妻から「そろそろ解約した方がいいんじゃない?」と勧められましたが、特に急ぐ理由もなかったためそのまま継続することにしました。

「もっと待てばよかった…」

払込完了から5年後の現在、夫が保険の内容を確認しようと銀行の窓口を訪れました。担当者から現在の解約返戻金を確認すると、その金額に夫は思わず目を見張りました。

「現在の解約返戻金は約1,300万円となっております。解約の必要がなければ、このままお続けいただくことでさらに増え続けますよ」

払込総額1,200万円に対して、約1,300万円。妻が解約した約1,230万円と比べると、約70万円もの差が生まれていたのです。
「同じ保険に同じ金額で入っていたのに、こんなに差が出るんですね」と夫。「妻は少し早まってしまったかもしれないな」と複雑な表情を見せていました。

後日、窓口でAさんにこの話をすると「もう少し待てばよかった…」と肩を落としていました。

では、なぜ解約のタイミングで差が生まれるのでしょうか。

円建ての終身保険は、払込完了後も保険会社が資産を運用し続けるため、時間が経つほど解約返戻金が増えていく仕組みになっています。
払込完了直後は、これまでかかった保険会社の費用(保険関係費用)がまだ回収しきれていないため、返戻率が100%を下回る場合があります。しかし時間が経つにつれて運用益が積み上がり、返戻率が高まっていくのです。

今回のケースでは、払込完了から2〜3年後(返戻率約102%)と5年後(返戻率約108%)では約70万円もの差が生まれました。「払込が終わったらすぐ解約」という判断が、大きな機会損失につながることがあるのです。

保険の解約タイミングは、慎重に考えることが大切

では、同じ状況を防ぐためにはどうすればよいのでしょうか。
円建て保険の解約を検討している方は、以下の点を確認しておくことをおすすめします。

  • 円建て終身保険は、払込完了後も保険会社が資産を運用し続けるため、一定期間は時間が経つほど解約返戻金が増えていく傾向があります。ただし、増加のペースや上限は商品によって異なるため、保険証券や設計書で将来の見込み額を確認することが重要
  • 払込完了後も継続するほど返戻率が上がる傾向があるため、すぐに現金が必要でなければ継続を検討する
  • 解約返戻金がいつ頃どの水準まで増えるかは、保険証券や設計書で確認できる
  • 老後資金として保険を活用する場合、公的年金の受取見込み額と合わせて「いつ・いくら必要か」を考えた上で解約時期を決めることが重要
  • 解約の前に一度、窓口や保険会社に相談して現在の解約返戻金と将来の見込み額を確認することをおすすめする

『払込が終わったら解約してもいい』ではなく、『いつ解約するのが最も自分にとって有利か』を考えることが大切です。なお、解約して受け取ったお金を別の方法(預貯金・NISA等)で運用した場合、保険を継続するより有利になるケースもあります。保険の継続が常に最善というわけではなく、ご自身の運用方針や必要な時期と合わせて判断することが重要です。


参考:
解約(公益財団法人 生命保険文化センター)

執筆:おがわ163
金融機関勤務(勤続20年)。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。窓口業務・資産運用相談の現場経験をもとに、生活に役立つお金の知識をわかりやすくお届けしています。

の記事をもっとみる