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“700万円”を30社に分散投資→「これだけ分けておけば安心」と思いきや…30代男性が犯していた“痛恨のミス”

  • 2026.6.30
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。ファイナンシャルプランナーの柴田です。筆者の感覚的には、最近は配当株を始める方が多い印象です。「寝ていてもお金が入ってくる」というメリットを感じる方が増えているのでしょう。筆者自身も高配当株投資をしており、入金通知が届くたびにハッピーな気分になります。

さて、相談者のAさん(35歳・男性)は、高配当株が好きで30社に分けて700万円を投資していました。「これだけ分けておけば安心」と考えていたのですが、過去に下落相場を迎えたとき、保有銘柄のほとんどが同時に20〜30%下落してしまいました。

よく見ると、30社の中身は銀行・保険・証券・リースといった金融系ばかり。銘柄数は多くても、実は「同じ性質のもの」に集中していたのです。

銘柄を増やしても「同じ動き」なら分散にならない

分散投資の目的は、値動きの異なるものを組み合わせて、全体の値下がりを和らげることにあります。ポイントは「値動きが異なる」という部分です。

たとえば銀行・保険・証券・リースは、どれも金利の動向に大きく影響を受けます。金利が下がると利ざやが縮みやすく、業績への不安から株価がそろって下がりがちです。つまり30銘柄を持っていても、すべてが金利という同じ要因で動くなら、1つの大きなカタマリを持っているのとあまり変わりません。これが「同質ポートフォリオ」と呼ばれる状態です。

専門的には、2つの資産がどれくらい同じ動きをするかを「相関」という指標で測ります。同じ業種の銘柄は相関が高く、片方が下がればもう片方も下がりやすい。だから銘柄数を10から30に増やしても、全部が同業種なら分散効果はほとんど増えないのです。

「景気敏感株」と「ディフェンシブ株」を混ぜる

業種を分けるときに役立つのが、株式を性質で二分する考え方です。

ひとつが景気敏感株(シクリカル株)です。景気の波に業績が左右されやすい銘柄で、金融・自動車・鉄鋼・機械・不動産などが代表例です。景気が良いときは大きく伸びる一方、後退局面ではまとめて下がりやすい傾向があります。

もうひとつがディフェンシブ株です。景気に関係なく一定の需要がある業種で、食品・医薬品・電力やガス・生活必需品などが当てはまります。日々の生活に欠かせないため、不況時でも売上が大きく落ち込みにくく、株価が比較的安定しやすいのが特徴です。

Aさんが持っていた金融系は、典型的な景気敏感株です。景気敏感株ばかりで固めると、好況時には全体が伸びても、ショック時には一斉に値下がりします。ここにディフェンシブ株を組み合わせておけば、片方が落ち込んでも、もう片方が下支えする働きが期待できます。景気敏感株とディフェンシブ株のバランスは、分散の質を測るひとつの目安になります。

真の分散は「4つの軸」で考える

景気敏感株とディフェンシブ株のバランスは、より大きな枠組みの一部にすぎません。単純な銘柄数ではなく、次の4つの軸でバラけているかを意識すると、分散の質が大きく変わります。

  • セクター(業種):先ほどの景気敏感株とディフェンシブ株を混ぜるのは、この軸での分散にあたります。影響の受け方が違う業種を組み合わせることで、一方が落ち込んでも他方が支える可能性が高まります。
  • 地域:日本だけでなく、米国や欧州、新興国にも目を向けると、特定の国の経済状況に左右されにくくなります。
  • 資産クラス:株式だけでなく、債券や不動産(REIT)などを組み合わせる考え方です。一般に株式と債券は値動きの方向が異なる場面が多く、片方の下落をもう片方が和らげてくれることがあります。
  • 通貨:円資産に偏っていると、円の価値が変動したときの影響を一身に受けます。外貨建ての資産を持つことで、為替の動きによるリスクを分けられます。

冒頭の投資家は、銘柄数こそ多かったものの、この4軸でみると「日本・株式・円・金融セクター(しかも景気敏感株)」の一点に集中していました。これでは分散とは言えなかったのです。

高配当株好きが陥りやすい「業種の偏り」

ここで注意したいのが、高配当株を好む人ほどセクターが偏りやすいという落とし穴です。高配当株投資家にとって「あるある」かもしれません。

恥ずかしながら、筆者も高配当株投資を始めたばかりのころは、業種が偏っていました。コロナショック時に際に大きな含み損を抱えて「うひゃー!!!」となった経験があります。

配当利回りの高い銘柄は、銀行・商社などの景気敏感株に集まる傾向があります。利回りだけを基準に選んでいくと、知らないうちにこれらの景気敏感株が多くを占めてしまいやすいのです。

これらの業種は、景気後退や業績悪化の局面で連動して下がりやすい性質があります。配当を目当てに集めたつもりが、いざというときに資産全体が同時に目減りする、というリスクを抱えることになります。

不安になった方は、次の手順で自分の保有状況を確認してみましょう。

まず、保有銘柄をセクター別に分類し、それぞれの構成比率を出してみます。このとき、景気敏感株とディフェンシブ株のどちらに偏っているかもあわせて見ると、リスクの傾きが把握しやすくなります。1つの業種が全体の半分以上を占めていれば、偏りのサインです。

また、金額の大きい銘柄が偏っていると、ポートフォリオ全体がその業種に引っ張られます。最後に、株式だけになっていないか、債券や海外資産を組み入れる余地はないかを検討してみましょう。

分散とインデックス投資、どちらが楽か

ここまで読んで「自分で管理するのは大変そう」と感じた方も多いかもしれません。

その場合の選択肢が、インデックス投資です。世界全体の株式に広く投資する投資信託(全世界株式型など)を1本買うだけで、景気敏感株もディフェンシブ株も含め、多くのセクター・地域・通貨に自動的に分散されます。個別銘柄を30社管理する手間と比べれば、はるかにシンプルです。

もちろん、自分で銘柄を選ぶ楽しさや、個別の高配当を狙う面白さもあります。大切なのは、どちらの方法をとるにせよ「銘柄数ではなく、値動きの異なるものに分けられているか」という視点を持つことです。判断に迷うときは、専門家に自分のポートフォリオを見てもらうのもひとつの方法です。「分けているつもり」が本当に分散になっているか、一度立ち止まって確認してみてください。

まとめ

投資先の企業は別でも、値動きの似た同業種ばかりを集めると金融ショックのような局面では、一斉に下落してしまいます。大切なのは、景気敏感株とディフェンシブ株を混ぜることを起点に、セクター・地域・資産クラス・通貨という4つの軸で値動きの異なるものに分けられているかという視点です。

まずは自分の保有銘柄をセクター別に分類し、上位銘柄の偏りや株式への集中を点検することから始めましょう。高配当株投資は、利回りだけでなくポートフォリオ全体を俯瞰しなければなりません。また、購入するタイミングも見計らう必要があり、手間がかかる投資法である点を押さえておいてください。


※本記事は情報提供を目的としており、特定の投資商品・銘柄への投資を勧めるものではありません。投資の最終的な判断はご自身の責任でお願いします。

執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,200記事以上の執筆実績あり。

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