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高齢母を“扶養”に入れた50代息子→「税金も安くなって一石二鳥」かと思いきや…3年後、男性を待ち受けていた“想定外の支出”

  • 2026.6.30
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。金融ライターの金融の毒出し先生です。

「実家で一人暮らしをしている75歳の母親が心配だから、私たちの家で一緒に暮らそう。生活費もこちらで面倒を見るから、年末調整で母親を『扶養家族』に入れれば、税金も安くなって一石二鳥!」

50歳男性会社員・Aさん(仮名)。彼は、離れて暮らしていた高齢の母親と同居を始め、住民票を一つにまとめました。手続きの結果、彼の所得税と住民税は合わせて年間約8万〜10万円も安くなりました(※納税者の所得税率等により実際の節税額は異なります)。

「親孝行もできて、しっかり節税もできた。使える制度は賢く使うに限るな!」親をサポートしながら税負担も軽減できるという、制度に則った合理的な選択でした。しかし数年後、この選択が別の制度において大きな負担増を招くことになります。

同居から3年後の要介護認定と、介護費用の負担増

同居を始めて3年後、母親が脳梗塞で倒れ、要介護4の認定を受けました。自宅での介護が困難となったため、家族は特別養護老人ホーム(特養)のユニット型個室への入居を決定しました。

しかし、その後に届いた利用料の請求書は、事前に想定していた金額を大きく上回るものでした。自治体の窓口に確認したところ、次のような理由が明らかになりました。

特養に入居する際、食費や部屋代の負担を軽減する「負担限度額認定(補足給付)」という制度があります。しかし、この認定を受けるには、本人の収入だけでなく「住民票上の世帯全員が住民税非課税であること」が要件となります。

母親が単身世帯のままであれば低所得者の要件を満たし、食費と部屋代は月額約5万円に抑えられていた可能性がありました。

しかし、住民税を課税されている息子と同居(同一世帯)にしたことで、世帯全体が「課税世帯」と判定され、軽減措置の対象外(第4段階)となったのです。その結果、食費と部屋代は満額の月額約10万円となり、月約5万円、年間にして約60万円以上の負担増となりました。結果として、年末調整による税制上の軽減額を上回る支出が生じることになったのです。

背景にある「税制」と「社会保険制度」の仕組みの違い

このような現象が起きる背景には、日本の「税制」と「介護保険制度」における「世帯」の捉え方の違いがあります。

  • 所得税・住民税(税制): 現役世代が親を経済的に扶養している場合、その負担を考慮して納税者の税負担を軽減する「扶養控除」という仕組みがあります。
  • 介護保険制度(社会保障): 利用者の負担額(特に居住費・食費の軽減措置)を決定する際、本人の所得だけでなく、「同一世帯の全員が住民税非課税かどうか」が重要な基準となります。

つまり、親の収入自体が少なくても、住民票を同一にしている同居家族に一定以上の所得(課税対象)があれば、世帯全体に負担能力があるとみなされ、介護費の軽減措置が受けられなくなる仕組みになっています。

総合的なシミュレーションと慎重な判断が必要

一つの制度におけるメリット(税制上の扶養控除)だけに注目すると、別の制度(介護保険の負担軽減策)において予期せぬ不利益を被る可能性があります。

仮に、母親が実家で一人暮らし(単身世帯)のまま、息子が仕送りを行う形で「別居扶養」にしていれば、息子の扶養控除を適用しつつ、母親の介護費用も低所得者向けに据え置かれていた可能性がありました。

別居や世帯分離を行えば必ず介護費が軽減されるわけではありません。負担限度額認定を受けるには、世帯の非課税要件に加え、「親自身の預貯金等の資産が基準以下(単身の場合、段階に応じて原則500万円〜1,000万円以下」であるという資産要件も満たす必要があります。

親の高齢化に伴う同居や扶養を検討する際は、目先の税負担の軽減額だけでなく、将来的な介護リスクや親の資産状況までを含めた総合的な試算が必要です。住民票の扱いを含め、FP(ファイナンシャルプランナー)やケアマネジャー、自治体の相談窓口などの専門家に相談した上で、慎重に判断することが推奨されます。


執筆・監修:金融の毒出し先生

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