1. トップ
  2. エンタメ
  3. 15歳で「東宝シンデレラ」の頂点に立った正統派美少女。NHKドラマ主演に抜擢「ヒロイン女優」の新境地とは

15歳で「東宝シンデレラ」の頂点に立った正統派美少女。NHKドラマ主演に抜擢「ヒロイン女優」の新境地とは

  • 2026.7.1
undefined
2025年4月、映画『お嬢と番犬くん』大ヒット御礼舞台挨拶に登壇した福本莉子(C)SANKEI

人気のある原作を実写化するとき、まず難しいのが配役だ。少女漫画、少年漫画、児童文学、原作小説。読者には「この役はこういう人物だ」という像が先に出来上がっていて、そこから外れた俳優を立てればすぐに醒める。配役の段階で勝負の半分は決まっている、と言われる所以である。

その「決まった役」を続けて任されてきた俳優がいる。福本莉子だ。橋下美緒、高橋凜々、木下仁菜子、月岡美琴。少女漫画の天使から、人気少年漫画の堅物社長、王道少女漫画のヒロイン、原作小説の若手看護師まで、原作の読者が見ている前で像を崩さない仕事を、ほぼ間断なく重ねてきた。派手な称号ではない。原作ファンの目に晒される枠の常連という、地味だが強い席である。

原作モノの出発点に置かれた舞台『魔女の宅急便』

福本のキャリアは、2016年の第8回東宝シンデレラオーディションでのグランプリ受賞から動き始める。約9,500人の応募から選ばれ、Seventeen賞も同時に獲った。15歳のときだ。

注目したいのは、2年後にこの新人が初舞台でいきなり任された仕事の質である。2018年、新国立劇場の舞台『魔女の宅急便』で初主演を引き受けた。13歳で家を出る魔女のキキ役。原作は角野栄子の児童文学で、スタジオジブリ作品でも世代を超えて親しまれてきたキャラクターだ。

オーディションで掴んだ一人の新人に、初舞台で「キキ」を背負わせる。これは新人発掘というより、「原作の像を崩さない俳優」として東宝芸能が早い段階で見立てを定めた判断と読める。福本莉子は最初の主演から、原作モノを背負う席に置かれていた。

主役を立てる側で原作の温度を保つ

2021年、テレビ朝日系ドラマ『消えた初恋』で、福本は橋下美緒役を任された。目黒蓮と道枝駿佑が並ぶ作品の中心に立つヒロインで、原作はマンガアプリで人気を集めた少女漫画だ。

橋下美緒は、誰にでも優しい「天使」と評される人物として書かれている。実写化でいちばん滑りやすい型でもある。安易に演じれば「あざとさ」に振れ、原作ファンの熱を一気に冷ます。福本はその罠を踏まなかった。声を作らず、芝居の誇張も避け、誠実な温度で美緒を立てた。

評価はすぐに返ってきた。第110回ザテレビジョン ドラマアカデミー賞 助演女優賞。主役の隣で原作の温度を保ち続けた仕事が、業界の側から裏書きされた一本だ。原作ファンの厳しい視線に晒される枠の中心に、福本という名前がここで確かに刻まれた。

少年漫画の堅物を一貫して持続させる

2023年、TBS系ドラマ『トリリオンゲーム』で、福本は高橋凜々役を任される。人気少年漫画の実写化作品でもあった。

凜々は「就活全敗の超真面目な新入社員が、入社初日に社長に抜擢される」という、原作の中でも芝居の難度が高い人物だ。直角の動き、抑揚の薄い声、感情を一旦しまう姿勢。生身で出した瞬間にコメディとして崩れるか、堅さが芝居っぽさになる。福本はこの「堅さの極致」を最終話まで持続させた。

凜々役はそのまま2025年公開の劇場版『トリリオンゲーム』へ続投する。「凜々=福本莉子」と確定したから可能になる持ち送りで、配役の精度を別の角度から証明する出来事でもあった。

王道少女漫画の連ドラ初主演を引き受ける

2025年、WOWOW『連続ドラマW-30 ストロボ・エッジ Season1』で、福本は木下仁菜子役を任された。咲坂伊緒の代表作の実写化で、高橋恭平とのW主演だった。

『アオハライド』を手がけたスタッフが再結集したことでも知られる枠で、原作ファンの厳しい視線が最初から集まっていた。福本は原作の仁菜子像から大きく逸脱しない造形に徹する。少女漫画原作の主要役を、看板に背負って引き受ける現在地に、ここで自然に到達した。

助演でアカデミー賞を獲り、続編まで含めて凜々を背負い、そのうえで王道少女漫画の連ドラ主演を任される。それぞれの作品で評価が積み上がっていく順序がそのまま、配役側の信頼の重ね方になっている。脇で蓄えた精度が、主役の規模で試される位置に、福本は若くして到達したのだ。

原作小説の主役・看護師としての着地

2026年6月からNHK BSで放送が始まる『勿忘草の咲く町で〜安曇野診療記〜』で、福本は主演を任される。原作は夏川草介。地域医療と終末期医療を正面から扱うヒューマンドラマで、福本が演じる月岡美琴は若手看護師という役どころ。

明朗快活で前向きという原作の人物像は、福本が原作モノを通して通してきた「誠実な芯」と素直に重なる。少女漫画の天使、少年漫画の堅物、王道少女漫画のヒロインを順に背負ってきた俳優が、原作小説の主役の看護師に着地する。映像化された児童文学の舞台から、漫画原作、小説原作まで、原作のジャンルをまたいで主要役を任されてきたの現在地が、看護師というもう一つの「決まった役」にちょうど重なった形だ。

出発点に置いた舞台『魔女の宅急便』のキキから、いま安曇野の月岡美琴まで、現場側が「この人なら崩さない」と判断し続けた起用の連なりが、そのまま現在地になっているのだ。


※記事は執筆時点の情報です

の記事をもっとみる