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結婚を続けるのも、終わらせるのも勇気がいる…。人生の岐路に立つ夫婦たちに寄り添う「離婚弁護士」の視点で描いた法律ヒューマンドラマ【書評】

  • 2026.5.18

【漫画】本編を読む

『離婚しますか、しませんか?』(野際かえで:漫画、栗沢衣:脚本/KADOKAWA)は、離婚問題を扱う法律事務所を舞台に、さまざまな夫婦の事情と向き合う弁護士たちの姿を描いたヒューマンドラマ。DV、モラハラ、不倫、浪費、価値観の違い――。「離婚」という二文字の裏にある結婚の機能不全にスポットを当て、人が人生を選び直す瞬間を描く作品だ。

舞台は浅草の一角にある小亀法律事務所。そこで働くのは、人情派のベテラン弁護士・七澤慎と、合理的でドライな新人弁護士・海崎司。正反対の価値観を持つふたりのもとには、日々さまざまな離婚相談が持ち込まれる。相談者の感情に寄り添おうとする七澤と、法と現実を優先する海崎。ぶつかりながらも依頼人のために奔走する姿はバディものとしても読み応えがある。そしてふたりの真剣さと軽妙さが同居する掛け合いも見どころだ。

第三者から見れば別れるべき関係でも、当事者には生活や子ども、世間体、情、経済的不安など、簡単に割り切れない事情がある。些細に見える不満でも積み重なり、限界に達してしまったケースもある。夫婦の数だけ事情があり、正解もまたひとつではない。その当たり前でいて難しい現実が描かれている。

もちろん法律漫画としての面白さもある。感情だけでは解決できない問題に対し、法律がどう救いになり、どこに限界があるのか。相談者の人生に深く関わりながらも、最終的な選択を下すのは本人自身だ。いつの間にか読み手も、依頼人同様「自分ならどうするか」を考えさせられているだろう。

不倫やモラハラ、離婚を復讐劇として描く作品は少なくない。しかし、本作は「離婚するか、しないか」という問いを通じて、誰かと生きることの難しさと尊さを見つめ直させてくれる作品だ。

文=ヒルダ・フランクリン

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