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互いに浮気してもよいという選択。我慢でも離婚でもない「浮気公認」夫婦が問いかける、現代の結婚のかたち【書評】

  • 2026.5.11

【漫画】本編を読む

『浮気公認夫婦です。私たちの歪んだ結婚生活』(やまみー/竹書房)は、夫の不倫をきっかけに「お互いの浮気を認める」という独自のルールを選択した夫婦の日常を描く、センセーショナルなコミックエッセイだ。

主人公・やまみーはパートと育児に追われ多忙な毎日を過ごしているが、ある日、夫の浮気が発覚する。やまみーは「別れるか離婚か」という決断を迫るが、夫はどちらも選べないと答えたため、話し合いの末に夫婦はなんと「浮気公認」という道を選ぶ。以後、夫は恋人と、やまみーも出会い系サイトで出会った男性と関係を持ちながら生活していくことになる。

一般的な価値観では浮気は裏切りとされるが、この物語ではそれをあえて夫婦間の「制度」として組み込むことで、関係の再構築を試みている。離婚でも泣き寝入りでもない、第三の選択肢としての「公認」が、全か無か、白か黒かで割り切る「結婚の一般常識」の是非を問いかけてくるようだ。

とはいえ、この「公認」の関係は決して安定したものではない。互いに自由を得たはずなのに、なぜか嫉妬心や不安にかられ、価値観のズレは増幅していくのだ。夫が恋人と過ごす時間、妻が新たな関係を築く過程。それらは対等ではあるはずなのに、感情のバランスは常に不安定で揺らいでいる。この特殊な状況から、夫婦はどのような未来を迎えるのか。

不倫をテーマにした作品が溢れている昨今、「結婚とは何か」と問いかけるものも少なくない。そんななかで「浮気公認」という常識の外側にあるはずのこの夫婦を見ると、現代の新しい結婚観として、読み手は自身の価値観や倫理観を揺さぶられる……かもしれない。個性や特性を重視する現代社会において本作は、危うさをにじませながらどこか説得力もある作品である。

文=ヒルダ・フランクリン

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