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【しばわんこと季節を学ぶ】「願いごとってなんだろう?」大人も考えさせられる七夕まつりの絵本『しばわんこのたなばたまつり』【書評】

  • 2026.5.15
しばわんこのたなばたまつり 川浦良枝 / 白泉社
しばわんこのたなばたまつり 川浦良枝 / 白泉社

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短冊に願いごとを書いて星空を見上げる七夕の日。願いが星に届くように祈るのですが、もし雨がふってしまったら——。『しばわんこのたなばたまつり』(白泉社)は、子どもたちが七夕に体験した、ふしぎな冒険のお話です。

空飛ぶ「たなばたごう」で天の川へ

七夕の日、短冊に願いごとを書くしばわんこたち。でも、お天気は曇りぎみ。みけにゃんこは、「雨がふってお星さまが見えないと願いごとが届かないの?」と心配しています。そこで、しばわんこは、みけにゃんこのために「空飛ぶ船」の絵を描きました。雨がふっても天の川に飛んでいける船で、その名も「たなばたごう」です。

「あまのがわに いってみたいな。」

「おりひめさまたちに あいたいな。」

「ねがいごとを きいてもらえますように。」

そう願って、みんなが一斉に目をつぶると…いつの間にか、みんなは「たなばたごう」に乗り込んでいました。

空を飛んでいる途中で雨風が吹き荒れますが、かささぎたちが「たなばたごう」を守ってくれました。かささぎは、七夕で織姫さまと彦星さまが出会えるように、天の川に翼を広げて橋を架ける…と言われている鳥です。

こうして天の川に着いたみんなは、織姫さま、彦星さまと対面。願いごとを伝えるのですが…。

願いごとってなんだろう?

“ほしうさぎ”や“ほしのこ”が登場する天の川の風景は、夢のように美しくてうっとり。本作を一緒に読んだ息子は、初めて見る織姫さまと彦星さまの姿を「こういう人たちなんだね」とまじまじ眺めていました。

引用----

おりひめさまと ひこぼしさまは みんなの はなしを じっと きいてあげました。

すると、みんなは とても あんしんして しあわせな きもちに なったのです。(p26より引用)

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子どもたちは織姫さまと彦星さまに願いごとを聞いてもらい、安心します。そんな姿を見ていたら、「願いごとってなんだろう」と考えてしまいました。

願いごとを聞いてもらうだけで子どもはしあわせな気分に

本作で、織姫さまと彦星さまは、子どもたちの心が、願いを持つことで強くなり、それが夢の実現につながるように祈っています。2人は夢を叶えるのではなく、子どもたちが夢を叶えられるように見守る存在なのです。一方の子どもたちは、話を聞いてもらっただけで、願いが叶ったかのように、しあわせな気持ちになっています。

願いごとを叶えるのは子ども自身。でも、子どもは自分を守ってくれる存在がいるだけで安心できる。この絵本を読んだ子も、雨がふっても願いを聞いて見守ってくれる織姫さまと彦星さまの存在を知り、安心してくれるのではないでしょうか。その安心感が、彼らの心を成長させるかもしれません。

織姫さまと彦星さまの姿は、親の存在にも重なります。七夕は親にとって、子どもの密かな願いを知るための絶好のチャンスでもあります。短冊に書かれた言葉を見て、子どもに何かをしてあげたいと考える人は少なくないはず。七夕って、親子の絆を再確認できるいい機会なのかもしれませんね。

素敵な展開で、七夕の味わい深さを教えてくれた本作。今年の七夕は子どもの願いごとをじっくりと聞いて、「どうしたら叶うだろうね」と一緒に考えてみたいと思います。

文=吉田あき

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