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「私を産んで後悔してる?」と聞いた→母が見せたスマホの写真

  • 2026.5.15
ハウコレ

私は、結婚を1カ月後に控えた28歳です。母とは長年同居してきましたが、お互い忙しくてあまり深い話をしたことがありませんでした。明日には新居へ引っ越すという夜、母の本心がふと気になり、口にしてはいけないことを聞いてしまったのです。

押し入れから出てきた絵本

実家を出るための片づけをしていた私は、押し入れの奥から子どものころの絵本を見つけました。表紙には小さなクレヨンの落書きがあり、それを見ているうちに、ずっと胸の中にあったモヤモヤがふくらんできたのです。母は仕事と家事で一日中忙しくしていて、子どものころの私はいつも「お母さんは私のことを後回しにしている」と感じていました。覚えているのは、夕飯のあとに書類を広げる母の背中ばかりです。本当にあのとき、母は私のことを大切に思ってくれていたのでしょうか。

思わずぶつけた質問

夕食を終えてお茶を飲みながら、何気ない会話を交わしていたときでした。私は箸袋を折ったり広げたりしながら、母にこう聞いてしまったのです。「私を産んで後悔してる?」。聞いてから、子どもじみた質問だと自分でもわかっていました。それでもどうしても、確かめてみたかったのです。それから「ちょっと待ってね」とだけ言って、エプロンのポケットからスマホを取り出したのです。

「お守り」というフォルダ

母が見せてくれたのは、「お守り」という名前のフォルダでした。開いた瞬間、私はスマホから目を離せなくなりました。中に並んでいたのは、寝ている私の顔の写真。それも数十枚、いや、数百枚はありそうでした。赤ちゃんのころのもの、小学生、中学生、つい先週とおぼしきものまで。「これ、お母さんのお守り」。母は涙をこらえながら、ぽつりぽつりと話してくれました。「仕事で辛い夜、寝てるあなたの顔を撮ってたの」。私が知らない場所で、母は20数年も私の寝顔を集めていたのです。

そして...

母は最後に、こう言ってくれました。「後悔したことは、一度もないよ」「でも、自信がなくなった夜なら、何度もあった」と。その言葉に、私が長年抱えてきた誤解がほどけていきました。「ごめん、お母さん」。気がつけば、頬が濡れていました。母は首を振って「謝らないで。聞いてくれてありがとう」とだけ返しました。翌朝、新居の片付けをしながら、私は母にメッセージを送りました。「お母さん、ありがとう」。たった一行に、20数年分の思いを込めたつもりです。母のスマホには、これからもまだ、私の写真が増えていくのかもしれません。

(20代女性・営業職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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